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zoom RSS 第56回 成長ホルモンと脂肪燃焼についての迷信

<<   作成日時 : 2011/03/21 13:33   >>

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アップデート 2013/01/12

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Q:筋トレは成長ホルモンの分泌を促し、脂肪分解を高めるので、その後に続けて有酸素運動をすると、脂肪燃焼の効果が高まる!これってホントですか?

A: 成長ホルモンが脂肪分解に関与することは事実です。加えて、テストステロン、エストロゲン、プロゲステロン、インターロイキン−6 および心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)といったホルモンも同様に脂肪分解に関与します。しかし、これらホルモンは,インスリンやカテコールアミンに比較すると、第二義的な役割にしか過ぎません。
ちなみに、副腎からアドレナリン(エピネフリン)/ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)/ドーパミンの3種類のホルモンが分泌されますが、これらを総称してカテコールアミンと呼びます。

成長ホルモンは、筋量アップに大事なアナボリックホルモンであると語られてきましたが、最近の研究によって、 “成長ホルモンには筋タンパクの合成(同化)作用はない” ことが判明しています。しかし、このような米国発の新情報は一般の人には広く伝わらず、間違い情報が依然として巷間に満ち溢れているのが現状です。
このような「成長ホルモン神話伝説」が底流する風潮の中で、“筋トレは成長ホルモンの分泌を促し、脂肪分解を高める作用があるので、引き続いて有酸素運動を行うと脂肪が燃焼しやすい”という類の話が生まれ、そして語り継がれていると言っても蓋し過言ではないでしょう。

脂肪の “分解” と “燃焼”をごちゃまぜにして理解しておられる方が多いですが、脂肪分解とは、単に脂肪細胞に蓄積された体脂肪(トリグリセリド)が分解されることであって、脂肪燃焼とは違います。

・ 脂肪分解(Lipolysis):脂肪細胞に蓄積された体脂肪が分解されること。
・ 脂肪動員(Mobilization):分解された体脂肪が血中に遊離脂肪酸として分泌されること。
・ 脂肪燃焼(Burning):多くのプロセスを経て骨格筋や肝臓で酸化(燃焼)されること。

筋肉の成長の研究で、成長ホルモンを注射投与するとLBMは増加したが、それは水分と結合組織の変化であって、筋量アップではないことが判明していますが、その研究の一環として、成長ホルモンは脂肪減少に影響することが判明しています
加えて、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、翌日の脂肪分解に重要であることも判明しています。
この研究で、空腹中あるいは低炭水化物ダイエットの期間中に、成長ホルモン反応をブロックすると、脂肪分解が制限され、その結果、筋肉が減少することが報告されています・・・脂肪酸が欠乏し、タンパク異化が生じることを意味します。

扨て、筋トレによる成長ホルモンの分泌に関し、80年代に多数の研究が行われ、William Kraemer研究チームにより、ハイレップス・ショートレスト(3セットx10レップス、1分間レスト)で筋トレを行うと成長ホルモンの分泌が高まることが報告されました。これがきっかけとなり、このトレーニング方法は脂肪減少にも適していると考えられるようになりました。

更に、この考え方が広がった発端は、ドイツのCharles Poliquinの“German Body Composition Training.”です。
、トレーニングのホルモン反応に関するドイツの研究に基づいて考案されたものです。それは、複数セット、ハイレップス、ショートレストが、成長ホルモンの分泌亢進と乳酸生成を惹起し、脂肪減少を昂進させるというものです。

しかし、この考え方には問題があります。
成長ホルモンは脂肪分解に確かに関与しますが、その作用が生じるのは極めてスローなのです。つまり、成長ホルモンが多量に分泌されても、約2時間経過するまでは脂肪分解及び血中脂肪酸は大きく昂進しません。
因みに、筋トレ数分後には有酸素運動を行うのが一般的だと思いますが、“成長ホルモンで促された脂肪酸の燃焼を促進させる云々”という考え方は、論理的にも、生理学の見地から言っても正しくありません。

「第46回 筋量アップのトレーニング」でデプレッショントレーニングについて触れましたが、デプレッション(Depletion)とは、肝臓や筋肉のグリコーゲンを枯渇させることで、脂肪減少を主眼としたトレーニングとしても、大々的に採り入れられています。負荷は1RMの60%以下の低強度で、3〜4セット、15〜20レップス以上行うのが、このトレーニングの特徴です。又、インターバルを短くして、他種目を行っていくサーキットスタイルのトレーニングもあります。これらのトレーニング方法は、脂肪減少の急性的効果もありますが、成長ホルモンの分泌とは関連がありません。
つまり、筋肉内の脂肪酸化が高まることで、アドレナリン(エピネフリン)/ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が増加し、血中への遊離脂肪酸の放出(動員)やグリコーゲン枯渇に、大きな急性的な影響を及ぼしているのです。このメカニズムには成長ホルモンは関与していません。

高強度の筋トレ後に低強度の有酸素運動を行うことは、脂肪減少の効果はあるでしょうが、それは他のホルモン反応やグリコーゲン枯渇などのメカニズムによるものであって、成長ホルモンは短期的なプロセスには関与しません。

参考記事
The Body Recompositon by Mr Lyle McDonald

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