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zoom RSS 第116回 運動前のストレッチはホントに必要なのか!?

<<   作成日時 : 2011/06/26 10:33   >>

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アップデート 2012/10/28
こちら → 運動前のストレッチは有害!?

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日本人10人中の8〜9人が、運動前にストレッチするのが当たり前だと思っています。
あなたもそうではありませんか?
スポーツ科学の分野は急速に進歩していますが、一般レベルには、多くの最新情報が幅広く浸透していないのが実状です。
今回はスタティックストレッチング(Static Stretching)について詳しくお話します。

・前屈みで両手を地面に付ける
・壁に両手を突いて、じわじわ脚の裏を伸ばす
・そのポーズで限界まで静止する
我々がストレッチと呼んでいるのは、このようなスタティックストレッチング(Static Stretching)のことで、Staticとは「静的」を意味します。
私たちは、こんなストレッチを何十年もの間やってきました。
運動前にストレッチすることにより、筋や腱の引き伸ばし、柔軟性、筋群間の協調性が高められ、運動パフォーマンスが向上するものだと、誰もがそう固く信じていました。

ところが、10年程前から、運動前のストレッチは神経系をこわばらせ、ジャンプ、スプリント、テニスやゴルフのスィングなど運動パフォーマンスに悪作用することが、多くの研究者から報告されました。当然のことながら、ストレッチを止める有名選手やコーチが続出しました。
昨年、米国スポーツ医学会The American College of Sports Medicineは運動競技前のストレッチについての新しいガイドラインを出し、The European College of Sport Sciencesは、「ストレッチは運動パフォーマンスを損ねる」という公式見解を発表しました。
きっと皆さんの多くは、こんな事実があったことすら知らなかったのではないですか?

その流れの中で、ストレッチの科学的な再評価の研究が活発に行われ、現在に至っています。第11回の「筋トレ前のストレッチ Yes or No?」でお話しした件も、このような中で行われた研究の一つです。
それでは、最近のストレッチに関する研究を徹底的に考察してみましょう!

 英国のNorthampton大学とオーストラリアのEdith Cowan大学の研究チームによる研究結果が、「Effect of Acute Static Stretch on Maximal Muscle Performance」と題され発表されました(2011年6月8日)・・・U.S. National Library of MedicineのPub Medデータベースから引用。
その内容は、これまでのストレッチに関する100件以上の研究をレビューした結果として、ストレッチのマイナス効果は、静止したポーズが1分間といったような長い時間の時に起きることが判った。従って、ストレッチは30秒以内の短いポーズにして行うべきだと言うものです。

 同様の研究がカナダのニューファウンドランド記念大学により行われ、「A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance」というタイトルで同誌に取り上げられています(2011年3月4日):静止ポーズを短くするか、或いは少しでも辛いと感じたら止めると言う内容です。

 米国フロリダ州立大学の研究では、女子長距離ランナーを被験者とし、トレッドミルで実験した結果、ストレッチは、持久力パフォーマンスを損なわないと報告している。
The Effects of Static Stretching on Running Economy and Endurance Performance in Female Distance Runners during Treadmill Running.(2011年5月23日)

 これらの研究に共通して言えることは、短いストレッチがメリットをもたらすことでなく、パフォーマンスを損なわないということを言っており、それならば何故やる必要があるのだろうかと素朴な疑問が出てきます。

 米国ノーサンプション大学のAnthony Kay講師は、「ストレッチは関節のモーション域を広げ、筋肉の剛性を弱めるが、筋歪障害リスクを減少させる」と主張しています。

 ニューヨークのNicholas Institute of Sports Medicine and Athletic Training at Lenox Hill Hospitalの
DR Malachy McHugは、「筋歪障害はジョッギング、水泳、サイクリングでは一般的ではない。そういった運動は、オーバーユース障害を起こしやすい。しかし、最新の研究では、ストレッチはオーバーユース障害リスクを減少させないことが判っている」と述べている。

 Memorial University of NewfoundlandのDavid Behm氏は、ホッケーのゴールキーパー、体操選手、チェアリーダー、ダンサー等は事前にストレッチを行うべきかも知れないが、一般的な運動では、チョットやるだけでは害はないけれど、同時に得るべきメリットもないようだと言っています。

 McHugh博士は、運動前に楽しくストレッチをやっているのなら、どうぞ続けてください!
運動競技前のルーチンを変えることからくる精神的な悪影響は、ストレッチを止めるメリットよりも大切かも知れない・・・しかし、ストレッチしないのなら汗をかくほど運動しない方が良い!
反面、短いストレッチを行うべき理論的な根拠はありませんよ!
このように語っています。

 もうひとつ追記しますと、サイクリングとストレッチに関する研究結果が、Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports(2011年5月12日)に掲載されています。
イタリアのミラノ大学の研究者が、9名の健常者を被験者として、最大酸素摂取量の85%の高強度で、サイクリング前にストレッチした場合としない場合について、運動効率とへとへとに疲れるまでの時間にどのような違いが生じるか実験を行いました。その結果、酸素摂取量に両者の有意な差異はなかったものの、ストレッチをした後は効率が4%低く、疲れきる時間は26%減少したというものです。
このことは、ストレッチに誘引される筋神経活性化と粘弾性特性が、マイナス効果をもたらすことを意味します。
低強度のジョッギングでは遅筋繊維Type-1が主として使われますが、高強度のサイクリングでは
速筋繊維Type-Ubが使われます。従って、この実験結果を類推解釈すると、同じくType-Ubを使用する筋トレも、ストレッチがマイナス効果を及ぼすことを意味し、第111回の「.筋トレ前のストレッチ Yes or No?」での研究結果と矛盾します。

以上のことを総合的に賢察し端的に言ってしまうと、ストレッチは、サイクリング競技、パワーリフティング、スプリントなど記録を狙う競技の前にはやるべきでないが、安全を第一と考えるなら短くやれば良いかも知れないということになります・・・つまり「諸刃の刃」として二者択一ということなのでしょうか!
当面の間は議論が続き、統一見解が出るまで時間がかかりそうですね!

<参照記事>
Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 2011年5月12日
“Cycling efficiency and time to exhaustion are reduced after acute passive stretching administration”
ニューヨークタイムズ 2011年6月22日
「To Stretch or Not to Stretch」 by Mr Gretchen Reynolds










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