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zoom RSS 第548回 米国糖尿病学会が推奨する栄養療法

<<   作成日時 : 2013/10/17 04:46   >>

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健康的な食生活、定期的な身体活動、および薬物療法は、糖尿病患者の管理における3大要件となっています。今般、米国糖尿病学会(ADA)は2008年に発表された成人糖尿病患者の栄養療法に関する見解表明をアップデートし、各項目のエビデンスレベルをA・B・C・Eのグレード方式で表記しています。なお、今回の表明文には、2型糖尿病の予防および糖尿病合併症/妊娠糖尿病の管理に関する栄養療法は含まれていません。
因みに、原文では各項目に対して詳しい補足説明が加えられていますが、長文となるのでその部分の和訳は割愛します。

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Diabetes Care
Publish Ahead of Print, published online October 9, 2013
Nutrition Therapy Recommendations for the Management of Adults with Diabetes

栄養療法の有効性
栄養療法は、1型および2型糖尿病のすべての患者に対して、全体的な治療計画の一つの有効な構成要素としてお勧めします・・・A

糖尿病患者は、治療目標を達成するためには、糖尿病の栄養療法に詳しい登録栄養士(registered dietitian:日本で言う管理栄養士)による個別的なメディカル栄養療法を受けるべきである・・・A

・1型糖尿病患者は、炭水化物をカウントしてインスリン分泌を抑える教育プログラムに参加することで、血糖コントロールを改善することが出来る・・・A

・毎日のインスリン投与量が決まっている患者では、炭水化物の摂取量とタイミングを一定にすることで、血糖コントロールを改善し、低血糖リスクを低減することができる・・・B

部分的な調整や健康的な食品の選択といったシンプルな食事プランは、日常生活をおくる上での健康に対する理解力、および計算技能や数学的な情報を評価する能力が劣っている2型糖尿病患者には、より適していると考えられる。これは高齢者にとっても有効的な食事プラン戦略かも知れない・・・C

糖尿病患者は、国家基準に則った糖尿病自己管理教育(diabetes self-management education:DSME)や自己管理のサポートを受けるべきである・・・B

糖尿病の栄養療法は、医療コストの削減(B)やHbA1c値の低減などの結果改善(A)をもたらすので、栄養療法は医療保険の対象として十分に控除されるべきである(E)

エネルギーバランス
過体重や肥満の成人2型糖尿病患者では、健康的な食事パターンを維持しながら、摂取エネルギーを減らして減量を促進させることを推奨する・・・A

或る糖尿病患者で特に発症後の早い段階では、適度な減量は臨床的な利点(高血糖、血圧、脂質の改善)をもたらすと考えられる。
適度の減量を達成するためには、継続的なサポートを得ながらの集中的なライフスタイルへの介入(栄養療法、身体活動、および行動変化に関するカウンセリング)が推奨される・・・A

栄養素の最適な組み合わせ
全ての糖尿病患者への三大栄養素(炭水化物/タンパク質/脂質)の特定の理想的なカロリー比率はないことはエビデンスが示唆している・・・B
それ故、栄養比率は現行の食事パターン、嗜好、代謝目標の個別的評価に基づいて決定されるべきである(E)・・・B E

食事のパターン
様々な食品/食品群を組み合わせた食事パターンが糖尿病管理に許容される。特定の食事を他の人達に推奨する場合は、個人的な嗜好(例えば、伝統、文化、宗教、健康への信念や目標、経済)および代謝目標を考慮する必要がある・・・E

炭水化物
糖尿病患者への理想的な炭水化物の摂取量に関するエビデンスは不十分である。
したがって、目標設定は各患者と共同して行われるべきである・・・E

炭水化物の摂取量とインスリンは食後血糖値に影響する重要因子と考えられるので、食事プランを進めていく上で考慮されるべきである・・・A

炭水化物カウンティングや経験ベースの推定により炭水化物の摂取量をモニタリングすることは、血糖コントロール達成のための重要な戦略であることには変わらない・・・B

健康のためには、炭水化物の摂取は、特に脂肪、Sugars、ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒穀物、豆類、および乳製品から摂取することが奨められるべきである・・・B

GI指数とGL負荷
高GI食品を低GL食品に置き替えると血糖コントロールは程ほどに改善する可能性がある・・・C

食物繊維と全粒穀物
糖尿病患者は、食物繊維と全粒穀物の量は少なくとも一般の人に推奨されている量を摂取すべきである・・・C

でんぷん食品を砂糖に置き替え
他の炭水化物をスクロース(砂糖)含有の等カロリーの食品と置き換えても、血糖値への影響は同じようなものだが最小量にすべきである・・・A

フルクトース(果糖)
果物に含まれる果糖 “free fructose”は、等カロリーの砂糖やでんぷんに比べて、血糖値の改善にはベターな結果をもたらす可能性があり(B)、“free fructose”は過剰(12%以上)に摂取しない限り、中性脂肪に悪影響を及ぼすとは思われない(C)・・・B C

糖尿病患者は、体重増加や心血管代謝リスクの悪化を低減するため、高果糖コーンシロップや砂糖を含む清涼飲料水(sugar-sweetened beverage=SSB)の摂取は制限または避けるべきである・・・B

人工甘味料(non-nutritive sweetener=NNS)と低カロリー甘味料
人工甘味料を使う場合には低カロリーの甘味料に置き替えることで、他の食品を食べ過ぎ無い限り、総摂取カロリー/総炭水化物摂取量を減少させる可能性がある・・・B

タンパク質
糖尿病性腎疾患の所見のない糖尿病患者にとって、血糖コントロールを最適化し、心血管疾患リスクを改善するためのタンパク質の理想的な摂取量に関するエビデンスは不十分である。従って、目標は個別化されるべきである・・・C

糖尿病性腎疾患(微量アルブミン尿/顕性アルブミン尿)を有する糖尿病患者には、タンパク質の摂取量を通常以下に減らすことは、血糖、心血管疾患リスク、糸球体濾過量(GFR)の低下の経過を変えないので、推奨しない・・・A

2型糖尿病患者では、摂取されたタンパク質は、血漿グルコース濃度を高めずインスリン反応を昂進させるようである。したがって、タンパク質を多く含む炭水化物食品は、低血糖症の治療or予防には使用されるべきではない・・・B

総脂肪
糖尿病患者にための理想的な総脂肪摂取量に関するエビデンスは不十分である。したがって、目標は個別化されるべきである(C)。脂肪の量より、質の方が遥かに重要である(B)・・・C B

一価不飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸
2型糖尿病患者では、地中海スタイルの一価不飽和脂肪酸が豊富な食事パターンは、血糖コントロールと心結果疾患リスク因子に有用なので、低脂肪/高炭水化物の食事パターンの効果的な代替として推奨することができます・・・B

n3多価不飽和脂肪酸
糖尿病患者に心血管疾患の予防と治療のために、n3多価不飽和脂肪酸(EPAとDHA)のサプリを奨めるのはエビデンスがサポートしていない・・・A

長鎖n3多価不飽和脂肪酸(脂肪の多い魚からのEPA/DHA)とαリノレン酸(ALA)を含む食品を増やすことは、観察研究において、リポ蛋白、心臓病の予防、及び正の健康アウトカムとの関連に有用な効果を及ぼすことから、一般の人達と同様に糖尿病患者にも推奨される・・・B

特に脂肪の多い魚を少なくとも週2回(2人前)食べることを、一般の人達と同様に糖尿病患者にも推奨する・・・B

飽和脂肪酸、食事性コレステロール、及びトランス脂肪酸
糖尿病患者に推奨される食事性の飽和脂肪酸、コレステロール、およびトランス脂肪酸の摂取量は、一般の人達への推奨量と同じです・・・C

植物スタノールと植物ステロール
植物スタノールと糖尿病や脂質異常症の患者は、典型的な強化食品で見られる1.6〜3g/日の植物スタノールor植物ステロールを摂取することで、総コレステロール及びLDLコレステロールを緩やかに下げる可能性がある・・・C

微量栄養素とハーブサプリメント
ビタミンやミネラルのサプリは、欠乏していない限り明確な利点を示すエビデンスはない・・・C

ビタミンE、C、カロチンなどの抗酸化物質のサプリを日常的に摂取するのは、有用性と長期的な安全性についての懸念に関するエビデンスが欠如しているのでアドバイスし得ない・・・E

糖尿病患者の血糖コントロールを改善するために、クロム、マグネシウム、ビタミンDなど微量栄養素の日常的な摂取をサポートするエビデンスは不十分である・・・C

糖尿病の治療にシナモンやのその他のハーブサプリをサポートする十分なエビデンスはない・・・C

全ての微量栄養素の摂取推奨量に見合うように、食品の選択肢の最適化を含む食事プランを個別的に設定することを推奨する・・・E

アルコール
糖尿病患者が飲酒するなら、適量(成人女性は1日1杯以下、成人男性は1日2杯以下)とすべきである・・・E

糖尿病患者では、飲酒は特にインスリンまたはインスリン分泌促進剤を使用している場合には、遷延性低血糖症のリスクを高める可能性がある。従って、遷延性低血糖症の認識と管理に関する教育と自覚が不可欠である・・・C

 
ナトリウム
ナトリウム摂取量は、糖尿病患者も一般の人たちと同様に、2,300 mg /1日未満にすることを推奨する・・・B

高血圧を合併する糖尿病患者では、ナトリウム摂取は個別的に更に減少させるべきである・・・B


アップデート(2013年10月18日)

炭水化物に関する補足説明
全ての糖尿病患者に共通する “ある1つの炭水化物の摂取量を特定する” エビデンスは不十分である。摂取量の目標設定は各患者と協同して行われるべきである。
高炭水化物食と比較して、炭水化物の含有量を21gから総摂取量の40%まで下げた食事が血糖値やインスリン感受性の改善を示す幾つかの研究があるが、他方、4つのランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial)では血糖値の有意差は示されていない。
これらの研究の多くは小規模/短期間で、而もリテンション率が低い。

同様に幾つかの研究は、高炭水化物食に比べて低炭水化物食の方が、中性脂肪、VLDL中性脂肪、VLDLコレステロール、総コレステロール、HDLコレステロールなど血清中脂質やリポ蛋白の改善を示したが、一方では有意差が認められなかったとする研究もある。
これらの研究はリテンション率が低く、サイズ効果を検出する確率ロスや偏った結果を招く可能性があることに注意しなければならない。
多くのレビュー研究では、多量栄養素の内容結果の解釈を混同することで体重減が生じている。

このように研究結果にはバラつきがあるが、炭水化物の摂取量をモニタリングすることは、食後血糖値の改善には有用な戦略である。炭水化物の量およびタイプのいずれも血糖値に影響し、炭水化物の総摂取量は血糖反応の主要な予測因子であるというエビデンスは存在する。
加えて、DCCT(Diabetes Control and Complications Trial)は、血糖値を良い状態にコントロールし続けることが、本当に合併症の発症・進行の防止に役立つのかを明らかにするために行われた研究ですがこの研究での集中治療群、及びDose Adjustment For Normal Eating (DAFNE) trialでの炭水化物の摂取量と身体活動の変化に基づくインスリン用量の調整に焦点を当てた栄養療法を受けた患者でA1Cが低減した。

野菜、果物、全粒穀物、豆類および乳製品から炭水化物を摂取することが奨められるべきである。脂肪、Sugars、あるいは、ナトリウムを添加した食品から炭水化物を摂取することは勧められない。

アップデート(2013年10月21日)

食事のパターンに関する補足説明

様々な食品/食品群を組み合わせた食事パターンが糖尿病管理に許容される。特定の食事を他の人達に推奨する場合は、個人的な嗜好(例えば、伝統、文化、宗教、健康への信念や目標、経済)および代謝目標を考慮する必要がある・・・E

これまで研究された1型糖尿患者および2型糖尿病患者のための食事パターンについて、糖尿病の栄養素ゴールに及ぼす影響を評価するためのレビューが行われた。地中海食、ベジタリアン食、低脂肪食、低炭水化物食およびDASH食のレビューが行なわれた。

地中海スタイルの食事パターンは、ミックスナッツ(クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)やオリーブ油が使われることで、糖尿病患者の脂質、血圧、中性脂肪などの心血管疾患リスク因子を改善し、心血管疾患や総卒中が軽減されることが観察されている。さらに、カロリー制限した地中海食で血糖コントロールは改善される。しかし、これらは主に地中海沿岸地域での研究であり、他の地域にも一般的に適用できるかどうかについては、更なる研究が必要である。

2型糖尿病患者でのベジタリアンおよび低脂肪ビーガンについての6件の研究(実験期間12~74週間)をレビューした結果、エネルギー摂取量の制限や体重減少がある場合を除いて、いずれも血糖コントロール/心血管疾患リスク要因は一貫して改善されなかった。ベジタリアン食およびビーガン食の質を評価するには更に詳しい研究が必要である。

低脂肪食は米国で減量および心臓血管の健康を促進するための戦略として奨励されており、糖尿病患者に対するライフスタイル介入の効果についての“Look AHEAD trial”では、カロリー制限された低脂肪食で程ほどの成果が見られた。
しかし、システマティックレビューと4件の研究およびメタ解析では、脂肪の総摂取量を下げても、血糖コントロールやCVD危険因子は改善しなかった。
低脂肪食の利点は、エネルギー摂取量を減らし、体重減少が生じている場合に多く見られる。

低炭水化物食に焦点を当てたレビュー研究では、低炭水化物食の定義が一貫していない。超低炭水化物(21–70g/日)から中度低炭水化物(摂取カロリーの30〜40%未満)とバラつきがあり、糖尿病患者への等カロリーでの炭水化物の特定推奨量に関するエビデンスは不十分である。

DASHとはDietary Approaches to Stop Hypertensionのことで、高血圧にストップをかけるための食事のパターンですが、DASH食の効果についてのエビデンスには限界がある。1件の糖尿病患者についての小規模な研究では、ナトリウムを2,300 mg/日に制限することで、A1C、血圧、その他の心血管疾患リスク因子が改善した。血圧の改善は、ナトリウムやその他の食品/栄養素の低減など全体的な食事のパターンによるものと考えられる。

エビデンスは、いくつかの主要栄養素/食事パターンが血糖やCVDリスク因子の改善につながる可能性があることを示唆している。
全ての糖尿病患者に有用と決定づけられる理想的な食事パターンはない。糖尿病患者にとって、どの食事パターンを選ぼうとも重要なのは総エネルギー摂取量である
食事のパターンは、食品のアベイラビリティや特定の健康食品への理解、更に個人の嗜好/文化/宗教/知識/健康信念/予算/収入の問題などによって影響されるので、これらの諸要因を各人個別化評価して考慮すべきである。

アップデート2014年4月7日

タンパク質に関する補足説明
いくつかのランダム化比較試験(RCT)で、通常タンパク質食(トータルカロリーの15〜19%)と比較して、高タンパク質食(トータルカロリーの28~40%)が糖尿病の評価項目に及ぼす影響が調べられた。
1つの研究は高タンパク質食でHbA1cが低減したことを証明している(148)。しかし、他の研究群は血糖コントロールに影響しない事を示している(149-151)。幾つかの試験では、通常タンパク質食に対し高タンパク質食が血漿トリグリセリド、総コレステロール、LDLコレステロールを改善したことが示されている(148,150)。
しかし、二つの試験ではCVDリスク因子の改善が認められなかったと報告されている(149,151)。しかし、この研究の解釈は小さなサンプルサイズに基づいたものであり(148,151)、期間も6ヶ月に及んでいない(148–150)。
微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿の糖尿病性腎疾患を有する個体におけるタンパク質レベルを比較する幾つかのランダム化比較試験では、サンプルサイズは大きく、且つ期間も長くなっている。
4つの研究ではGFR/アルブミン排泄率に差異が認められていないが(152–155)、一つの小規模の研究では、低タンパク質食が腎臓へ好影響する可能性があることが示された(156)。しかし、二つのメタ解析では低タンパク質食による腎臓パラメーターへの明確な利点は認められていない(157,158)。
これらの研究の解釈に影響を与える一つの要因は、タンパク質の実際の摂取量が、目標タンパク質の摂取量とは異なっていることである。二つの研究が、対照群よりも低いタンパク質群において、実際のタンパク質の摂取量が多かったことを報告している。
栄養状態は血液の総たんぱくとアルブミンなどの値で評価しますが、2000年以降の5つレビュー研究のいずれも、低タンパク質食での栄養失調は示していません。しかし、両方のメタアナリシスでは、以前の研究でこのエビデンスが見出されている。
タンパク質の種類が糖尿病や非腎臓病の人たちに及ぼす影響についての研究は非常に限られている。Gross et al.による微量アルブミン尿患者を被験者とした研究では、赤肉を鶏肉に置き換えて通常タンパク質食/低タンパク質食を比較したが、血糖や脂質の評価項目での有意差は認められなかった(156)。
糖尿病性腎疾患の個体では、タンパク源を大豆ベースに置き替えることでCVDリスク要因は改善されるとしても、たんぱく尿を変えるとは思われない(159,160)。
2型糖尿病の個体では、タンパク質は血糖レベルに有意な影響を与えるとは思えないが、インスリン反応は高まると思われる。この理由から、低血糖症の治療や低血糖の予防にはタンパク質の使用は勧められない。 タンパク質の1型糖尿病における血糖値へ影響についは今一つ明らかではない(165,166)

アップデート2014年11月23日

飲酒に関する補足説明
第781回 米国糖尿病学会が推奨する栄養療法(飲酒)を参照してください。


アップデート2014年11月26日

脂質に関する補足説明
第786回 米国糖尿病学会が推奨する栄養療法(脂質)を参照してください。










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