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zoom RSS 第553回 アナボリックホルモンは筋肥大に必要ですか?

<<   作成日時 : 2013/11/03 11:06   >>

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レジスタンスエクサイズ誘発性のアナボリックホルモンと呼ばれる内因性テストステロン/成長ホルモン/IGF-1は、ホントに筋タンパク合成と筋肥大を促進するために必要なのですか?

南カリフォルニア大学(米国)のSchroeder and Villanueva氏らは、『アナボリックホルモンの昂進は、筋タンパク合成を急性的に高めたり、或いは小筋群の肥大を促進するには必要ないかもしれないが、レジスタンスエクササイズへの機能的順応性を最大限にするために必要であり、延いてはライフスパンでの男女の全身的な筋量・筋力の機能的パフォーマンス向上を最適化するためには理想的である』という見方をしています。
当該マックマスター大学(カナダ)との共同研究論文の中では、反論の考え方も併せて明記されています。

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Medicine & Science in Sports & Exercise
November 2013 - Volume 45 - Issue 11 - p 2044–2051
Are Acute Post–Resistance Exercise Increases in Testosterone, Growth Hormone, and IGF-1 Necessary to Stimulate Skeletal Muscle Anabolism and Hypertrophy?
By Schroeder, E. Todd; Villanueva, Matthew; West, Daniel D. W.; Phillips, Stuart M.

実勢的な概観
レジスタンスエクササイズ(RE)後の急性的なアナボリックホルモンの増加は、骨格筋のアナボリズム(合成/同化)と筋肥大を高めるために“必要”ではないかも知れない。しかし、本論文のDiscussionの項で我々が支持するように、レジスタンスエクササイズ後のこれらホルモンの増加は、筋タンパク合成と筋肥大を最大化するために“optimal”である ・・・(註)Optimalには、「最適」、「最上」、「表現され又はほのめかされた制限のもと、最も好ましく可能性のある」などの意味があります。

当該プレゼンテーションでは、テストステロン(T)及び成長ホルモン(GH)の増加は、インスリン様成長因子1(IGF-1)増加を必然的に包含している。更に、トレーニング歴、モード、強度、ボリューム、セット間のインターバル休憩(RI)などがレジスタンスエクササイズへの応答に絶対的な影響があることを認識しつつ、男性での順応に限定して述べている。

スコープの定義
急性的なレジスタンスエクササイズ(RE)誘発性のテストステロン(T)と成長ホルモン(GH)が筋タンパク合成に与える影響についての研究では、トレーニング有経験/未経験の若者(18〜30歳)および高齢(60〜80歳)の男性が被験者とされている。しかし、それら研究群の大多数はトレーニング状態や年齢に関係なく、TおよびGHの分泌を高めるために、大きな筋肉群を使うRE即ち多関節種目を2〜4セット、8〜12RM、セット間インターバル(RI)2分以下で行っている。
更に、最近のエビデンスは、「多関節種目、2〜8セット、3~6RM、セット間インターバル90秒以下」、或は、「5セット、3〜5RM、セット間インターバル3分後に、テストステロン(T)と成長ホルモン(GH)を有意に促すため30秒のインターバルを挟んで追加セット25〜35 RM」という内容のstrength REプロトコル/短期レジスタンストレーニング (RT)を示唆している。それ故に、レジスタンスエクササイズ(RE)がエクササイズ後のアナボリックホルモンの亢進をもたらし得るという有力なエビデンスが存在する。
ここで、“レジスタンスエクササイズ(RE)によってテストステロン(T)と成長ホルモン(GH)が急性的に高まると、筋タンパク合成と筋肥大につながるのか?”という疑問が提起される。

肯定研究群
次に掲げる研究群は方法論は異なっているが、実勢的な概観を支持する有力なエビデンスを示している。3つの研究は、短期レジスタンストレーニング(RT)を行なって急性的に昂進したホルモン反応が生理的にヒト骨格筋に及ぼす影響を調べたものであり、2つの研究は、急性的に高まったテストステロンが筋タンパク合成を起こす分子メカニズムに及ぼす生理的な影響を調査したものである。

Kvorning et alは、レクレーショナリーに活発だがトレーニング経験の無い20〜30歳の男性を二つのグループに分けて、一方のグループにはGnRHアゴニスト薬剤(ゴセレリン)を投与してテストステロンの内因性産生を抑止し、もう一方のグループは対照群(プラセボ群)とした。両群に同じ全身レジスタンストレーニング(RT)プログラムを8週間やらせた。トレーニング頻度は週3日、セッション1〜8 (3〜4セット×10RM、RI:2分)、 セッション9〜16 (3〜4セット×6RM、RI:3分)、 セッション17〜24 (3〜4セット×10RM、RI:2分)とした。
プログラムの3分の2はテストステロンと成長ホルモンを急性的に昂進させるようにデザインされた筋肥大トレーニングだった。
対照群では、トレーニングセッション合計24の少なくとも16に反応して、テストステロンと成長ホルモンの有意な急性昂進が観察されたが、ゴセレリン群ではいずれのトレーニングセッションにも反応はなかった。
脚LBM(除脂肪体重)の増加は、ゴセレリン群と比較してプラセボ群で大きかった(P<0.05)。更に、全身LBMでの臨床的に重要な増加についても、両群間の統計学的有意差への強い傾向が示された(P=0.07)
これらの知見は、内因性テストステロン、安静時レベルとレジスタンスエクササイズ(RE)への急性反応の大きさ、および短期レジスタンストレーニング(RT)への筋肥大反応の間の暗黙的な関連性を示している。

Goto et alは、年齢19〜22歳のトレーニング未経験の男性を被験者として、週2日の頻度でレッグプレスとレッグエクステンションを行った。期間毎にトレーニング内容を変えるピリオダイゼーション方式を採用し、全員に6週間の筋肥大RTプログラム(2ラウンドx3セットx 10〜15RM、RI:30秒、ラウンド間インターバル3分、エクササイズ間インターバル3〜5分)を行なわせた後で、4週間のcombination-type RTプログラム(5セットx 3〜5RM、RI:3分、5セット目が終わった30秒後に1セット追加25〜35RM)と4週間のstrength RTプログラム(5セットx3〜5RM、RI:3分)を比較した。
Combination-type REはstrength RTに比べて、成長ホルモンの有意に大きな急性亢進が見られた。トレーニング最後の4週の段階では、筋断面積はCombination-type REに反応して増加し、strength RTに反応して減少した(P=0.08)
このことは、短期RTでの高強度反復セットx 低レップスの直後に低強度1セット行うことで、成長ホルモンの急性反応が高まり、筋断面積が増大する可能性があることを示唆している。

三つ目は我々が最近行った研究で、レクレーショナリーに活発な年齢 64〜72歳の22名の男性を被験者として、フリーウェイトまたはマシンで全身REプロトコルを週3日の頻度で行わせたものである(結果は未発表)。
これもピリオダイゼーション方式で、4週間の筋肥大RTプログラム(2〜3セットx 4 ~
6RM、RI:60秒)を行った後で、8週間のstrength RTプログラム(2〜3セットx 4〜6RM、RI:60秒)と8週間のstrength RTプログラム(2〜3セットx 4〜6RM、RI:4分)のセット間インターバルが異なる二つのプログラムを行わせて比較検討した。
RI(セット間インターバル)の長いStrength REプロトコルと比較して、RIの短いStrength REプロトコルでは、テストステロンと成長ホルモンの急性亢進は有意に大きかった。
最後の8週間のRTの段階で、全身LBMはRIの長いStrength REプロトコルと比較して、RIの短いStrength REプロトコルで、テストステロンと成長ホルモンの有意に大きな急性的な亢進が観察された。この知見は、短期Strength RT/ショートインターバルを行うことで、テストステロンと成長ホルモンが急性的に昂進し、その結果LBM増が高められることを示唆している。

Willoughby & Taylorは、年齢17〜21歳の9名の男性を被験者とし、48時間区切りで三つの筋肥大REを連続的に行なわせて、テストステロンの急性昂進が骨格筋のアンドロゲン受容体(AR)のmRNAとタンパク質の発現、ならびに筋原線維タンパク質含有量に及ぼす影響を調査した。
1)テストステロンは、3つすべてのRE後に高まった(P<0.05)
2)アンドロゲン受容体(AR)のmRNAとタンパク質の発現は、2番および3番目のトレーニング後48時間高まり(P < 0.05)、RE直後の急性的なRE誘発性テストステロンの昂進と関連した(P < 0.05)
3)筋原線維タンパク質含有量は、3番目のトレーニング後48時間高まった(P < 0.05)
これらの知見は、RE誘発性のテストステロン昂進へ反復的に暴露すると、急性的AR発現と延いては筋原線維タンパク質の増加でのアップレギュレーションを媒介することを示唆している。これは恐らく結合性リガンド容量が高まったことと、T-ARシグナル伝達経路を介することに因るものと思われる。

Spiering et alは、年齢22〜30歳の6名の男性を被験者として、control REプロトコル(両脚エクステンション、5セットx5レップス、90〜95%1RM、RI:2分)とhigh-T REプロトコル(上半身プロトコル:4セットx10レップス、80%1RM、RI:2分、及び上記と同じcontrol REプロトコル)を実施した。
テストステロンの急性反応は、control REプロトコルに比べhigh-T REプロトコルで有意に大きかった。
筋肉組織の分析では、high-T REプロトコルのみが短期REへのアンドロゲン受容体(AR)反応を高めることが明らかになった。
RE誘発性のテストステロンの急性的な昂進は、AR mRNAの翻訳を高めAR半減期を増大させることで、RE後の筋肉のARコンテンツのカタボリズム(分解/異化)を防いだ。
このエビデンスは、テストステロンが最大限に昂進すると、T–AR相互作用を介してREへの筋肥大反応が最適化されるであろうというRE処方を示唆している。

反論研究群
アンドロゲン除去療法(去勢テストステロンレベル)を受け、RTプログラムに参加している前立腺がんの男性を被験者とした研究で、筋量・筋力の有意な改善が示された・・・改善と言っても、“良くてもまあまあ”と云った程度だが。
Wilkinson et alは、年齢21〜22歳の男性10名に8週間のRTプログラムを行わせた。頻度は週3日で、トレーニング内容は、片脚のレッグプレスとニーエクステンション(3セットx6〜10レップス、80〜90% 1RM、RI :3分)だが、テストステロン/成長ホルモン/IGF-1ともに有意な変化は認められなかった。しかし、CTスキャンは筋断面積の有意な増大を示していた。これらの知見は、テストステロン/成長ホルモン/IGF-1の急性的な昂進を誘発しなかった片脚REが、筋肥大を高める可能性があることを示唆している。しかし、“REとテストステロンサプリのいずれも独立的に筋肥大を高めること”、更に “REとテストステロンサプリを組み合わせることで、より大きなアナボリック反応さえもたらすこと”が分かっているため、このアナボリック反応がoptimalであるかどうか決めつけるのは難しい。

まとめ
筋タンパク合成と筋肥大を最大限に高めるRE誘発性のアナボリックホルモン昂進の役割を否定することは、RTへの筋肥大順応性に関わる生理学的メカニズムにおけるこれらホルモンの重要性を明らかに過小している。前述の肯定的研究群は、“アナボリックホルモンの急性内因的な昂進は、骨格筋の受容体へ影響し筋肥大反応をもたらすだけでなく、RE誘発性の順応性、延いてはライフスパン面での健康とパフォーマンスを最適化するために重要である”ことを示している。

挑戦的な考え方への返答
レジスタンスエクササイズ(RE)後のアナボリックホルモンの亢進は、RTプログラム後の筋肉のアナボリズムをある程度まで促進するのに恐らく必要ではないであろう。そして、最近の文献レビューでは、RE後のアナボリックホルモン反応が、筋肥大に有意な役割を果たしているのかどうかについての決定的な研究は存在しないことが示唆されている。
我々は、“これらホルモンの促進は、良くデザインされ適用可のRE刺激への統合的反応の1つとして、筋肥大と筋力アップを最適化するために重要であり、筋量と筋力産生における慢性的な機能改善につながる”という考え方を維持する。

Phillips et alは、RE後のテストステロン/成長ホルモン/IGF-1の急性的な変化がRTに及ぼす慢性的な影響を研究するために、ホルモン暴露を“low & high”の2群に分けると云うユニークな手法を採っているが、両群ともにRE前後にホエイプロテインのサプリを摂取している。アミノ酸は、筋肉タンパク質の分解抑制/筋肉タンパク質の合成促進を介して筋肥大を調節するホルモン分泌促進物質であることは良く知られており、故に、この研究デザインでのプロテインサプリが主要な交絡因子となっているということを我々は強調する。
プロテインサプリのアナボリック効果は文書化されている。

Dillion et alは、血漿中テストステロン濃度が非常に低く、且つREを行っていない高齢の女性を被験者として、アミノ酸サプリを3ケ月間割り当てた結果、筋タンパク合成が有意に高まり、LBMが増えたことを示した。このことは、アミノ酸サプリはREを行わなくても筋タンパク合成に影響することを示している。

Phillips et alは、若い女性を被験者とした研究で、無脂肪牛乳を摂取すると炭水化物に比較して筋量・筋力がより大きく増大したことを報告した。さらに、REの1時間後にカゼインとホエイプロテインを摂取すると、対照群(プラセボ)に比べてより大きな筋タンパク合成が観察された。したがって、プロテインサプリを摂取してREを行うと、アミノ酸が分子転写と筋タンパク合成に関与する翻訳プロセスに強力な影響を及ぼすので、アナボリックホルモンの急性亢進を介しての増強効果は被い隠され得るということが主張できる。

RE後の筋原線維のタンパク同化の性差別比較では、RE後の栄養摂取の有無に関らず、(1)短期RE後に測定された筋タンパク合成は、筋原性シグナルの慢性的アップレギュレーションと常に並行して生じない(2)必ずしもRTプログラムへの長期的な筋肥大反応の前兆ではないという2点を強調している。
また、血漿中の循環テストステロン濃度は、男性は女性と比べて約10倍高く、これは男性の思春期後の筋肉量がより大きいことを示す主要な理論的根拠であると信じられている。
最後に、テストステロンレベルの低い高齢女性は、高い人に較べて最大筋力と筋肥大の増大は低鈍であった。

Phillips et alは、以前にREの期間を28時間未満に短縮して、どの筋タンパク質合成が運動後に高まるか報告した。更に、彼らは被験者に1〜6週間は72時間に一度、7〜15週間は48時間に一度というRTプログラムを組んでトレーニングをやらせた結果、1週間当たりのREセッションは平均1.87になった。この頻度でのトレーニング刺激は不十分であり、筋肉の成長が最小限となったことに関連していると思われる。
REプログラムのスキームデザインが不十分なために、短期トレーニングによる筋肥大順応への刺激が不足しているのならば、慢性的な順応反応に寄与するか寄与しないかのメカニズムを単離識別して、RE誘導性の筋肥大の欠如を正当化することは困難となる。

最後に、
肘屈筋についての研究に挑戦すべきである。
アナボリックホルモンは肘屈筋の肥大ではどのように関連しているのだろうか?
肘屈筋のような筋量の小さい小筋群では、RTに反応して筋量は更にどの位成長し得るのだろうか?
大半のREプロトコル、特にアイソレーション種目(単関節種目)前のコンパウンド種目(多関節種目)/中〜高ボリューム/中〜高強度/セット間インターバル短縮のトレーニングは、アナボリックホルモンの一時的な亢進を必然的に誘引する。
臨床医やフィットネス専門家から見て価値のないREプロトコルで高められる順応性の研究は、有意義な価値観/適用性/臨床的意義を下げてしまうと我々は考えている。

結び
アナボリックホルモン環境は、RTへの機能的順応を最大限にするために必要である。RE後のアナボリックホルモンの亢進は、筋タンパク合成を急性的に刺激したり、或いは小筋群の肥大を促進するには必要ではないかもしれないが、ライフスパンでの男女の全身的な筋量・筋力の機能的パフォーマンス向上を最適化するためには申し分がない。

挑戦的な考え方
レジスタンスエクササイズ(RE)に対する内分泌応答の領域での普及的な見方では、運動後のテストステロン/成長ホルモン/IGF-1 の急性応答はその後の骨格筋アナボリズムに重要であるとされている。もしそうであれば、運動プログラムはホルモン反応を高め、延いては筋量・筋力アップなど筋肉の順応を昂進するために巧みに操作し得る。それは魅力的な話ではあるが、我々は、“運動後のテストステロン/成長ホルモン/IGF-1の増加は、骨格筋のアナボリズムと肥大化を促進するためには必要ではない”、更に、“これらホルモン反応を測定しても、長期的なレジスタンストレーニング関連の順応への洞察方法での成果を殆どもたらさない”ということを強く主張する。

運動誘発性ホルモンは筋肥大を調節すると言う考え方が実勢的ではあるが、この主張を裏付けるエビデンスには驚くべき欠如がある。
実際に、Wilkinson et alの研究では、遊離テストステロンおよびIGF-1の測定可能な変化がないのに、有意な筋力・筋量アップが観察された。更に最近では、我々は「エクササイズ誘発性のテストステロン/成長ホルモン/IGF-1の亢進が筋肉のアナボリズムに必要か、或はアナボリズムを高めるかどうかについて2つの研究を行った。
そこでは近似基礎ホルモン濃度(low)及び下半身のルーチン筋トレで高まったホルモン濃度(high)のいずれかに肘屈筋が暴露されるように設定した研究デザインを用いて、運動後のホルモン濃度が短期的/慢性的なレジスタントレーニングでのアナボリズムに及ぼす影響を調べた。
エクササイズ後に栄養素が欠乏していると正のnet蛋白バランスが起こらないので、この研究では、低ホルモン環境と高ホルモン環境下でアナボリック反応が生じるように、エクササイズ後にホエイプロテインを割り当てた
低ホルモン条件下で、テストステロン/GH/IGF-1が基礎ホルモン濃度と同レベルであるにも拘わらず、筋原線維タンパク質合成は急性的に高まり、トレーニング後に筋量・筋力が増大した。すなわち、前にも報告したように、エクササイズ後のテストステロン/GH/IGF-1の増加は、アナボリックプロセスを高めるために必要なかったのである。
さらに、テストステロン/GH/IGF-1がエクササイズ後に上昇したときに、筋タンパクの急性合成やトレーニングによる筋量・筋力増大の促進効果は認められなかった。したがって、我々のこの急性メカにズムについての調査結果は、我々が慢性的トレーニングの研究で観察した結果を鏡映している。
ここで注目されるポイントは、レジスタンスエクササイズと栄養摂取後に生じる筋タンパク合成を高める主要な決定要因であると云う理由から、筋タンパク合成が急性的に測定されているということである。タンパク質付着による筋量アップに関する提案や検証モデルによれば、エクササイズとアミノ酸の摂取後のタンパクバランスの亢進の期間を繰り返すことで筋肥大がもたらされる。
我々の以前の研究に類似したデザインモデルの研究で、エクササイズによって生じる内因性ホルモンの亢進が、筋力と筋肥大で優れた適応を支えたことを示唆する対照的な知見が報告されている。
方法論的な考察であるにもかかわらず、研究群間で異なる知見があることに対して、“我々の研究でのエクササイズの順序が、ホルモン昂進の影響を覆い隠したかも知れない”という提唱があった。特に我々の研究では足の前に腕のトレーニングを行ったため、腕部のホルモン濃度の高い血液が下半身に循環してしまったために順応性が損なわれたのだと示唆されたのである。そこで、最近、脚のトレーニング前後に肘屈筋トレーニングをしたときの肘屈筋へのホルモン輸送を推定するために、上腕動脈の血流およびテストステロン/GH/IGF-1濃度を測定した。その結果、ホルモン輸送の差異は無く、“表向きのアナボリック特性は、エクササイズ順序によるホルモン輸送の不足に起因する”と云うエビデンスは認められなかった。
その他の研究でも、“エクササイズ誘発性のテストステロン/GH/IGF-1は筋肉アナボリズムの重要な調節因子である”という論文をサポートするエビデンスは認められていない。
我々のエクササイズ誘発性のホルモンと筋力・筋量アップ関連の大規模なコホート研究でも、
ホルモン反応が筋力および筋肥大におけるトレーニング順応性の変化に関与していないことを示している。
さらに、高反応と低反応による筋力・筋量アップは、ホルモン反応によって明白にされなかった。コンセプト実証試験では、運動後のテストステロン反応が45倍(ベースライで20倍)低かった女性で、筋タンパク合成が男性と同レベルに昂進したことを実証した。
つまり、運動後のテストステロンの"利点“が無いにも拘わらず、女性が筋タンパク合成率をしっかりと高めることが出来たということである。運動誘発性のテストステロンが、エクササイズ後のアナボリック反応に本当に必要ならば、損なわれているべきである。
我々は、筋肉自体に内在し全身的なエクササイズ誘発性ホルモンが昂進するメカニズムが、筋収縮を介して筋肥大をもたらすというパラダイムを更にサポートするエビデンスとしてこれらのデータを表示する。

Doessing et alは、外因性の成長ホルモン(GH)は超生理学的に全身性GH/IGF-1濃度を高めるが、筋タンパク合成を刺激することなく、寧ろコラーゲンタンパク質の合成を刺激することを実証した。
エクササイズ誘発性のGH/IGF-1が、コラーゲンタンパク質の合成を高めながら結合組織を強化し、それがレジスタンストレーニグの結果として筋肉をより大きくより強くする利点となるかどうかは不明である。

実用的な観点から述べると、我々の肘屈筋肥大の研究では、高GH/IGF-1の条件下で、低GH/IGF-1(basal)と比較して形態学的(筋繊維or筋断面積)又は機能的測定(1 or 10 RM or isometric strength)に差は生じなかった。
それ故、条件間の結合組織の組成に一部未測定の違いがあったならば、筋力や筋肥大へのメリットはなかった。我々は、エクササイズ誘発性GHがトレーニングによって誘発される表現型を記述しないことを知っている。例えば、ピークGH濃度と曲線下面積(AUC)は、レジスタンスエクササイズよりも70% VO2maxでのサイクリング後により大きくなる。
Doessing et alによるこれらの観測と研究に基づいて、一時的な運動誘発性GHまたはIGF-1濃度が筋肥大を促進するという尤もらしいメカニズムを想定することは難しい。
GHとは対照的に、外因性のテストステロンが筋肥大を刺激する能力は明確であるが、運動誘発性の環境でのテストステロンの本当のアナボリック効力とは何だろうか?
投与による外因性テストステロンのアナボリック特性は、エクササイズ後のホルモンプロファイルを測定するための理論的根拠として頻繁に且つ一般的に挙げられており、骨格筋のアナボリックポテンシャルのプロキシとして解釈されている。しかし、重要なポイントは、外因性のテストステロン投与中の筋量付着は累積的なアンドロゲン暴露に関連しており、それは投与量と期間の両方の影響を受けて産生されるということである。

図1は、この点と外因性から内因性テストステロンへの適用が欠陥のある比較である理由を示している。基本的に、著しく高い累積アンドロゲン量を表し筋肥大をもたらす外因性テストステロン投与での持続的な増加と比べると、一過性(〜30分)性質を有する運動誘発性テストステロンは取るに足らない。


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我々はレジスタンスエクササイズに対する内分泌反応の全てのニュアンスをテストしたとは主張しません。例えば、成長ホルモンの多数のアイソフォームは個別に調査されるまでは、常に魅惑的な憶測が付きまとう。しかし、すべてのアイソフォームのための骨格筋受容体が存在しなければ、それもstraw-man argumentに過ぎない・・・straw-man argumentとは、議論において対抗する者の意見を歪めて、それに基づいて反論するという誤った論法、あるいはその歪められた架空の存在自体を指します。

同様に、ホルモン応答に影響を及ぼす可能性のある何百ものレジスタンスエクササイズプログラムの組み合わせあるが、“我々が使ったホルモンモデルは、表現型的に優れた順応性で示されるホルモンが複雑に介するアナボリック反応の為の十分な機会を与えた”ことを提案します。

それでは、エクササイズ誘発性ホルモンによって支えられていない理論が意味するのは何でしょうか?
実用の観点から言って、エクササイズプログラムはホルモンニュアンスをベースにしてデザインされる必要が無いことを意味します。ホルモン反応から派生するアナボリック効果を捉えることを目的として、大筋群エクササイズと小筋群エクササイズをペアにする必要がない事を意味します。
基礎科学の観点から言うと、レジスタンスエクササイズで生じる筋肥大は、筋肉内の内在プロセスによって媒介される。そして、それは筋肥大の原因や影響力のあるものとして全身的ホルモン反応を測定することではなく、我々が更なる調査を必要であると見なす領域である。

実勢的な概観への返答
我々は、大きなホルモン反応が "optimal" なアナボリック環境を提供するというエビデンスを主張する本プレゼンテーションの著者であるSchroeder & Villanuevaに異議を唱える。もちろん、“エクササイズ後の急性的なアナボリックホルモンの亢進は筋肥大を刺激するために必要ないかも知れない”という最初の譲歩には反対しない。
これは当然ながら、ホルモン以外のメカニズムが明らかに全体の肥大化反応を決定づけることができることを意味します。

Schroeder & Villanuevaの論文は、 “このプレゼンーションでは、テストステロンと成長ホルモンの増加とは、IGF-1の増加も必然的に包含する"と述べることで始まっているが、これは問題である。何故なら、IGF-1の反応が曖昧であるのに対し、運動誘発性GH反応は堅牢で使われる大筋群に関連しているからである。

問題は著者が引用している二つの研究内容を単に調べることで浮彫にされる。
1つは、男女各8名を被験者として、Protocol-I及びProtocol-2のHREP(heavy resistance exercise protocols)を実施しているが、「SM-C(IGF-1)はPI/P2両方のHREPに反応してrandom significant increaseを示したこと」「P-2 HREPは成長ホルモンの明確で持続的な昂進を示したこと」を示している。
もう一つは、「IGF-1は成長ホルモンの変化に追随しなかったこと」「10レップス+インターバル1分のエクササイズでGH AUCがより大きかったが、IGF-1 AUCには差異はなかったこと」を示している。

この様に、“エクササイズ後のIGF-1の変化は、エクササイズ後の成長ホルモンの変化にimpliedされていない、つまり必然的/暗黙的に包含されるものではない”ことがはっきりしている。

その他のポイントとして、エクササイズ誘発性の成長ホルモンが筋力・筋量アップを媒介するというエビデンスは殆ど無く、成長ホルモンを補充して見られる多くの効果は、字数の制限もあるので此処で引用しないが、IGF-1によることが多くの研究によって証明されている。最も明白なことだが、成長ホルモンは筋原線維のタンパク合成や肥大を高めない。

著者らは、 更に男性への適用を制限すると述べているが、女性を外した理由は、女性は著者が所謂“最適なホルモン”と称するパラダイムに便宜的にフィットしないからではないかと思われる。
例えば、女性の運動誘発性テストステロン反応は、男性よりも45倍低いにもかかわらず、男性と比較して類似した筋タンパク合成と筋肥大の応答を示している。

Schroeder & Villanuevaは、“短期RTを行って生理学的に高まった急性ホルモン反応がヒト骨格筋に及ぼす影響を調べた3件の研究が選択された”と続けている。
先ず、Schroeder & Villanuevaは、上述の成長ホルモンに関するGoto et alの独自の視点を誇張している。
第二に、26番目にリストされた参照文献は、テストステロンを慢性的に去勢レベルに近い濃度まで薬理学的に除去した研究である。
我々は、“これは、エクササイズ誘発性の生理的/急性的なホルモン反応が筋肥大に及ぼす影響(次のセクションで詳しく説明)を反映した実験的なパラダイムである”と云う観点に不同意である。
最後に、第3の研究はSchroeder and Villanuevaの研究室で行われた未発表の研究であるため、綿密に精査することが出来ない。

Schroeder and VillanuevaはADT(アンドロゲン枯渇療法)を受けているがん患者における筋力トレーニングの研究を引用しているが、運動誘発性の質問との関連性に疑義がある。ADTは1日24時間テストステロンを去勢レベル近くまで減少させることを忘れてはいけない。
このように関連性に制限があるにも拘わらず、ADTを受けているがん患者でも高強度筋力トレーニングによって、健康な人と同等の堅牢な筋力・筋量アップが得られというのは興味深い。

Schroeder and Villanuevaが引用しているその他の参照文献も、それらが提供する洞察に限界がある。
例えば、Willoughby and Taylorは、レジスタンスエクササイズ群とエクササイズを行わない対照群との比較を行っている。
Spiering et alは、アンドロゲン受容体の含有量の相違を示しているが、この研究の評価項目はアンドロゲン受容体の含有量のみである為、これらの知見が筋肥大を包含するかどうかを決定することは不可能である。
要約すると、研究文献についてのSchroeder and Villanuevaの解釈は、幾つかのケースで提起された疑問をサポートするには不十分で正しくないという見方を我々はしている。

Schroeder and Villanuevaは、二つの興味深い研究を引用することによって、彼らの考え方に引き寄せようとしている。独創的で影響力の強い考え方ではあるが、これらの研究はテストステロンの血中濃度がレジスタンスエクササイズで筋肥大を媒介するのかどうかについては殆ど追及していないと我々は考える。
つまり、性腺機能低下レベルまでテストステロンを除去したり、超生理学的なテストステロン血中濃度にするために外因性テストステロンを投与するのは、エクササイズ誘発性エストロゲン暴露を擬態しようとするモデルではない。
薬理的量による昂進やテストステロン除去が、一時的な運動後の血中テストステロン濃度への関連性を “imply” するために使用することができない理由はいくつかある。

先ず、エクササイズ後のホルモン濃度の上昇は(図1参照)薬理学的介入で見られるように、長期的なハイポまたはアンドロゲン過剰に比べて束の間である
第二に、薬理学的誘発性ホルモン濃度は、通常の日内変動や一過性的に運動後に発生するものよりもはるかに大きい。
最後に、薬理学的アンドロゲン高血症は、異なる化学構造、排泄動態と半減期、および内因性アンドロゲンに対する受容体親和性を有するテストステロン誘導体を投与することで達成され、適切に運動後に生じる通常の一過性的なホルモン変化を擬態しない。

我々は、累積アンドロゲン暴露の変化が筋肥大に如何に影響するかを説明するために、公表されたデータを用いて図2を構築した。図2によると、萎縮が低テストステロン血症中に発生するが、筋力トレーニングは部分的または潜在的に十分な肥大反応を誘発することができる。


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上部中央では、テストステロンの運動後の昂進は、累積アンドロゲン暴露と肥大には殆ど影響しない。
外因誘発性アンドロゲン高血症は筋量を高め、筋力トレーニングはさらに筋量アップを促進する。要約すると、高アンドロゲン血症または低テストステロン血症の状態は、一時的な(〜30分)運動誘発性ホルモンの変化に殆ど類似していないので、冒頭で提起された質問を支えるものとしてこういった状態を呼び起こす議論の妥当性を我々は見出せない。

全体として、累積アンドロゲン曝露に基づいている仮説は、テストステロンの一過性運動誘発性の亢進が筋肥大に重要な影響を持っていない理由を説明している。

最終陳述
運動後のホルモン反応を測定することで筋肥大への潜在的影響を推論しているだけで、この主張にはエビデンスが欠如している。エクササイズ誘発性のホルモンはレジスタンスエクササイズ後の筋肥大を調節に重要であるというエビデンスが欠けており、因果関係の解釈は正しいと認められない。
また、薬理学的な除去と外因性アンドロゲン投与は適切なモデルではなく、そこから筋エクササイズ誘発性のホルモン濃度の変化が筋肥大に及ぼす影響について結論を引き出すことは妥当ではない。

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