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zoom RSS 第767回 栄養療法

<<   作成日時 : 2014/10/23 11:57   >>

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『健康的な食生活』、『定期的な身体活動』、および『薬物療法』が糖尿病管理の三大要件とされています。その中で栄養療法について、世界最大の糖尿病の研究所と言われる米ジョスリン糖尿病センター/肥満臨床プログラム/糖尿病入院患者管理部門の医長で、ハーバード医科大学の助教授を兼任し、更に、減量を通じて糖尿病管理の改善を図る “Why WAIT program” にダイレクターとして関っているDr Osama Hamdyの所見を紹介します。

尚、米国糖尿病学会の成人糖尿病患者の栄養療法に関する考え方は、直近の公式声明の中で明らかにされているのでご覧ください。

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糖尿病食の略史
A Brief History of the “Diabetes Diet”
Posted on June 12, 2014

医学的栄養療法(MNT)は糖尿病の有力な管理ツールであり、予防および治療に大きな役割を果たすだけでなく、多くの糖尿病合併症を防ぐために役立つ。

炭水化物、脂肪およびタンパク質による食事構成は長年に亘って論議されている。1921〜1922年のインシュリン発見の前には、食餌構成を修正することが糖尿病治療に利用可能な唯一のツールだった。19世紀の終わりに、Dr Fredrick AllenはMorris townにある精神医学研究所で、飢餓テクニックを用いて1型および2型糖尿病の治療を行い、1型糖尿病患者をインスリン無しで数年生き長らえさせることに成功している。

他方、BostonではDr Elliot Joslinが患者に炭水化物を殆ど与えず、1800kcalの食事で炭水化物は10gのみとし、1日の総カロリーに占める各栄養素の凡その比率は、炭水化物:2%、タンパク質:20%、脂質:約75%というものだった。これが後にアトキンスダイエットとして生まれ変わる。 

Dr Joslinは、糖尿病は炭水化物不耐性疾患であり、糖尿病患者は炭水化物を減らすか避けるべきであるという考え方の信奉者であった。彼は炭水化物を制限した食事を介して、当時は脂肪過多糖尿病と呼ばれていた2型糖尿病の多くの患者を治療した。亦、彼はインスリンが発見される前この療法で多くの1型糖尿病患者を生き長らえさせた。

インスリンの導入によって、1型糖尿病患者はカロリー管理することで健康な一般人と同様の炭水化物を食すことが出来るようになった。しかし、理想的な食餌構成は依然として未解決の争点として残された儘だった。

20世紀の前半に、Elliot Joslin et alは炭水化物:40%/タンパク質:20%/脂質:40%の食事を全ての糖尿病患者に推奨した。この食事構成は糖尿病の標準食として広く医療従事者に受け入れられることになり、冠動脈疾患の発症リスク増大の懸念が持ち上がる1970年代後半まで続いた。疾患リスク増大の原因として脂質の過剰摂取が指摘されたのである。

医学会では脂質の摂取比率を30%に引き下げ、その引き下げ分を炭水化物かタンパク質で穴埋めする必要性に迫られた。

遺憾ながら、炭水化物を10%増やす決定が下され、糖尿病食の構成は炭水化物:凡そ50〜55%/脂質:30〜35%/タンパク質15〜20%に変更となった。

今や、この食事プランが肥満の蔓延を有意にもたらし、糖尿病管理を難しくさせた(補足説明:註1)ことに我々は気付いている。現在では、タンパク質を適切に増やすことが糖尿病管理/減量/血圧および脂質プロファイルの改善へのより良き選択肢であるというエビデンスが数多く示されている。

註1:
食事プラン決定の背景として、米国農務省が栄養学者プリティキン氏の主導で科学的根拠のない食事ガイドを作り、多額のPR費を費やして世界的に広めたことが指摘されています。その内容は「高炭水化物・低タンパク質・低脂肪」で、炭水化物60%、脂質30%、タンパク質10%とし、食肉など動物性タンパク質を減らすように推奨するものでした。その結果として、肥満、糖尿病、胃腸障害、その他の病気が増えたと云われています。厚生労働省は米国の影響を受けて、炭水化物の目標量50%〜70%を推奨する「日本人の食事摂取基準」を策定したと見られています。


ウェイトマネジメントにおけるタンパク質の役割
Protein’s Role in a Weight Management Diet
Posted on June 26, 2014

減量中には、タンパク質の摂取量を体重1kg当り1.5〜2g(総摂取量の大凡20〜30%)に増やすことが、過体重または肥満の2型糖尿病(腎機能正常)に示唆されている。タンパク質の摂取量を増やしても血糖値は上がらないが、インスリン反応が高まりA1cの有意な減少をもたらす。

さらに、高タンパク質の食事は空腹感を抑え満腹感を促し、摂取カロリー制限下で身体活動量を高めて減量する際の筋肉の減少を抑止する。

糖尿病患者のタンパク質の摂取量は、トータルカロリーに対する比率ではなく、体重1kg 当たりで計算することが望ましい。それはカロリー制限でダイエットする際にタンパク質の不足が生じないようにするためである。
糖尿病で慢性腎疾患の患者の場合は、タンパク質の摂取量は体重1kg当り0.8〜1kgが推奨されるが、その他の糖尿病患者は1g未満にするべきではない。

高タンパク/低炭水化物のカロリー制限食が、糖尿病患者には最も有用なウェイトマネジメントのツールとなった。臨床実践での糖尿病ウェイトマネジメント用にジョスリン糖尿病センターで開発されたWhy WAIT (Weight Achievement and Intensive Treatment)プログラムで、タンパク質30%(体重kg当たり1.5〜2g)および炭水化物40%の高タンパク質/低炭水化物カロリー制限食を、総合的な糖尿病ウェイトマネジメントプログラムの一環として12週間行った。

プログラムを終えた患者の体重は平均してー24.6ポンド(約11kg)/10.3%減少し、ウエストは平均3.6インチ(約9cm)減少した。82%が目標A1c7%未満を達成した。

同じ程度の減量では、低炭水化物食よりも高タンパク質食による減量食の方が、長期で心血管疾患リスクプロファイルに一層有用な効果があるものと考えられる。
カロリー制限してタンパク質の摂取量を適度に高めることは、有効的且つ実践的な減量戦略になると考えられる

糖尿病患者は老化に伴い毎年1ポンドの筋肉を失う。運動せずにタンパク質が少ない食事を続けると筋肉の減少を早めるということを是非とも認識していただきたい。筋肉量を最大限にするには相当量の筋力トレーニングを行わなければならない。筋肉がより大きくなると当然のことだがインスリン感受性は高まる。更に、より高い代謝率が維持でき、糖尿病患者の長期での減量維持に役立つであろう。

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