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zoom RSS 第853回 低強度 vs 高強度筋トレによる筋量アップ効果

<<   作成日時 : 2015/05/27 09:10   >>

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“低負荷レジスタンストレーニングでも高負荷と同様の筋肉の成長が認められた”というSchoenfeld BJ et al.の研究論文に関してLyleが解説記事を書いています。皆さんにも大いに参考になると思うので紹介します。

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背景:

長い間、“筋肉の成長を昂進する最良の方法は高負荷/低レップスである”ことが、揺るぎない信条として享受されてきました。
筋肥大ゾーンは、通常では高強度でセット当たり8〜12レップス(5〜15がベター)であると定義されています。
一般的には運動単位の活動(動員)様式は、“サイズの原則”に従って筋線維の単収縮張力の低い順から秩序正しく動員される。つまり、通常の生理学的条件では筋繊維タイプはSO(I)→FOG(IIA)→FG(IIB)の順に動員され、速筋タイプFGUbの動員閾値がもっとも高い。因みに、最も成長をもたらすのはこの速筋タイプFGUbで、最大筋力の80-85%の高負荷を必要とする。

同時に、近年では、筋肉の増大はこれだけでは無いことを示唆する研究が出てきました。それは加圧トレーニングで、血流を制限すると最大筋力の20%の軽い負荷で筋繊維が動員され、高強度ウェイトトレーニングと同様の増大がもたらされることが分かりました。

同様に、いくつかの最近の論文では、比較的低負荷でも高レップスでオールアウトすると、高負荷と同様の高閾値の筋繊維を動員する可能性があることが発見されました。しかし、これら研究での筋肉の増大に関して共通して言えることは、トレーニング歴のない被験者を使っていることです。ご存知のように初心者の場合は、たとえ何であろうとかなりの増大が得られるのです。因みに、トレーニング歴の或るリフターについては何ら触れていません。

私にpre-publication版を送ってくれた本研究の主筆者Brad Schoenfeldにお礼を述べたいと思います。それでは、アブストラクトを見るだけでは間違って伝わる可能性があるので詳しく見ていきましょう。

論文内容:

1.5〜9年のトレーニング歴のある若い男性24名を被験者として募集したが、このうち4名は個人的な理由2名は軽傷で辞退することになった。

全員のベースライン時の強度をマッチさせ下記2群に無作為に割り付けた。
・レジスタンストレーニング低負荷LL群25〜35reps x 3セット オールアウト (9名)
・レジスタンストレーニング高負荷HL群8〜12reps x 3セット オールアウト(9名) 

両群共に同じ7種目(フラットベンチ、ミリタリープレス、ワイドグリッププルダウン、シーテッドケーブルロウ、バーベルバックスクワット、マシンレッグプレス、マシンレッグエクステンション)を週3回x 8週間行った。
ワークアウトは監督され、テンポは上げ1秒/下げ2秒で行い、各群設定レップスでオールアウトするよう重量調整し各週増やしていくようにした。

被験者には食事を同レベルで維持するよう指導した・・・このやり方は常にちょっと不確かではあるが、現実的には全員を代謝室にキープするのは不可能あるいは物凄く費用が掛かる。トレーニング後にホエイプロテイン24gを割り当てた。

二頭筋、三頭筋および大腿四頭筋の厚さを測定し筋肉サイズの変化を調べた。
最大強度は1RMベンチ/スクワットで測定、筋持久力はベンチプレス1RMの50%でのトータルレップス数で測定した。

荷重/レップス範囲のみ変動的だが、その他は同じようにキープされており、これは基本的に非常に良い対照研究と言える。

結果:

24名の内18名が実験研究を完遂した;4名は個人的理由、各グループ1名トータル2名は軽微な傷害

面白いことに筋肉の増大は各群共に多かれ少なかれ同程度だった。
二頭筋:低負荷群5.3% vs 高負荷群8.6%
三頭筋:6.0% vs 5.2%
大腿四頭筋:9.3% vs 9.5%
差異はいずれも統計学的に有意ではなかった。

ベンチプレス1RMでは高負荷群は低負荷群を上回り(6.5% vs 2.0%)、スクワットでも同様であった(19.6% vs 8.8%)
ベースラインでの強度レベルを調整しても、依然として高負荷群が優っていた。

筋持久力の点では、低負荷群のみ16.6%改善した。

Lyleコメント:

それではどこから始めましょうかね。
拳上負荷を上げると低負荷より筋肉が増強することはほぼ明らかになっていますが、最大強度への多大な神経系効果があるとすると、さして驚くことではありません。低負荷群のみで筋持久力の改善が見られたというのもそんなに衝撃的なことではありません。

筋肉の成長反応は、筋繊維タイプT及びタイプUの成長に違いがあるとされているが、明確な群間差はないということなので興味深い。

“ピリオダイゼーション(期別け)が異なる筋繊維を優先的に発達させるのに効果的だ”という考え方は、何年も前から言い尽くされてきており、“Body Recompositionのperiodization for bodybuilders series”でも鋭意説明しています。本論文の研究者も高負荷と低負荷を組み合わせるとベストの結果をもたらすと言っています。尤もこの研究では実験されていませんが・・・

ところが、本研究では加圧トレーニングと同じ様に、現実的には低負荷群/高負荷群のいずれも同じ程度のサイズアップが得られています。

しかし、他に考慮しなければいけない事項があります。それは、低負荷群は高負荷群の3倍近いレップスを行っているということです。両群共に3セット行っているので、低負荷群はトータルで75〜105レップス、高負荷群は24〜36レップスになり、同じ結果を得るために低負荷群ではより多くのワークアウトを行っています。

付け加えますと、非常に高レップスのトレーニングは悲惨であり苦痛であるという事実です。
これはすべてのワークアウトでUD2.0 depletion(枯渇)をやっているようなものです。
レップス当たり3秒ゆえ、セットタイムは高負荷群で24-36秒、低負荷群で75-105秒です。

75〜105秒というのは嫌気的解糖の真只中で、産生されたアシドーシスによって地獄のような苦痛が伴います(研究者とのプライベートな会話の中で、低負荷群の半数が放棄したと聞きました。この様なタイプのトレーニングではよくあることです)

私自身バックスクワット50セットと片脚レッグプレス25セット(2秒ポーズ約2.5分セット)をやったことがありますが、どちらも経験したくないほど酷いです。
高負荷群が3セットの代りに9セットやってトータルレップスを同じにしたら、どういうことが起こるのかと疑問に思うこともまた興味深いことです。

Lyleの結論:

間違いなく、これは高負荷を用いなくても略同じ筋肉の成長が得られることを明確にする興味深く且つ出来の良い対照試験です。しかし、現実世界での実質的な側面から見ると、筋肉の成長には低負荷トレーニングは効率が悪く有効性に欠けることを主張したい。

最終結果が同じ程度の成長に対して、10倍の苦痛レベルで3倍のレップスを行っている。軽い拳上重量でバカ騒ぎしているマッチョな男性は見かけないし、ジムで注目を集めることが重要なカギであることは周知の通りです。

低負荷トレーニングは加圧トレーニングと同様に、特定のセットアップを必要とするだけでなく、耐え難いほどの痛みを伴うがそれ以上の成長は得られず、私には実用的な観点から理解できません。

高関節力は回避すべき傷害ケースや局所筋持久力を改善する必要のあるアスリートには役立つでしょうが、他の人たちには意味がありません。

主筆者Brad氏から出版前の先行公開論文を送付いただいたこと、並びにeメールで私のコメントや質問に適宜お答え頂いたことに重ねてお礼を申し上げます。
たまにはストレングストレーニングに関する良い内容の応用研究を見るのも良い事です。

参照記事
Body Recomposition
Mr Lyle McDonald
Effects of Low-Versus High Load Resistance Training – Research Review

研究論文
The Journal of Strength & Conditioning Research
Schoenfeld BJ et al.
Effects of Low- Versus High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men

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