Nice Body Make・・・よもやま話

アクセスカウンタ

zoom RSS 第958回 新説 “Insulin-Carbohydrate Model” Part1

<<   作成日時 : 2016/08/28 16:33   >>

トラックバック 0 / コメント 0


画像


Dr David Ludwig はDr Stephan Guyenetの反論に対して次のように答えています。

Ludwig Responds to Whole Health Source Article

わたしは “Always Hungry”という本を書きました。
肥満治療への従来型アプローチ “カロリーイン/カロリーアウト” に代わるものとして “体重コントロールのInsulin-Carbohydrate model” を示すためです。
この斬新な考え方では、脂肪細胞がインスリンやその他アナボリック信号によって刺激され、過剰カロリーを取り込んで蓄積するので体重の増加が生じます。
これが起こると血液中のカロリー濃度は枯渇し、身体の他組織へ循環するカロリーは非常に僅かとなります。脳はこの問題を知覚すると、空腹感の高揚や代謝率の低下といった飢餓状態に似た反応を呈して長期的な体重減少に抗します。
この意味で、従来の低カロリー食は、血流中の利用可能な燃料供給をさらに制限することで根本的な問題を悪化させてしまう対症療法です。

インスリン分泌を高める主要な動因の一つは加工度の高い炭水化物で、肥満の蔓延の始まりに相当する1970年代から始まる低脂肪食の流行時に、アメリカ人の食事に溢れ返りました
ストレス、睡眠不足、運動不足、および内分泌撹乱環境汚染物質などの非食事性の因子もまた、ホルモンや神経性インプットを介して脂肪細胞に影響を与える可能性があります。

体重が長期的に主要な生物学的な制御下にあることは、一世紀近くの間に分かったことです。しかし残念ながら、依然として行動論的手法に焦点を置いたままの臨床治療のパラダイムは、実際面で非常に悪い結果となっているにも拘わらず変えることが出来ていないのは残念なことです。新しい考え方を取り入れる時が来たのです。

Whole Health Sourceで公開されたStephan Guyenetの主張(グリーン部分)に対して以下の通り回答しました。


1. 過食があなたを太らせるのです。余分なカロリーが脂質or炭水化物いずれであれ、また、それらがインスリンレベルに及ぼす影響を問わず、過剰にカロリーを摂取することが脂肪の増加を引き起こすことは、ランダム化比較試験が示しています。(4, 5)
もしあなたが非常に多くのカロリーを摂取すれば、摂りすぎた理由にかかわらず、脂肪は個人差があるものの増えるのです。だから過食が肥満を理解するための重要な概念となっているのです。

長期的に見ると違います。被験者に無理矢理に食べさせる古典的な研究では、大量に過食することで短期的に体重を増やすことが出来ます。しかし、体は動的に応答します。つまり、被験者は食べ物に全く興味を失い、被験者の体は余計なカロリーを燃焼しようとして代謝率は高まりがちとなります。実際に、過食研究における被験者は非常に激しい違和感を特徴的に報告しています。試験が終了すると、体重は一般的にベースラインまで戻ります[Leibel, Roberts, Norgan, Sims] ・・・これは実験動物でもよく報告されている現象です。

Insulin-Carbohydrate model”と一致して、過食での長期的な体重増加に拮抗する代謝応答(基礎代謝率)は、過剰カロリーがピーナツ(タンパク質/脂質)の場合では高まりましたが〔from 6.657+/-1.1 MJ/24 h to 6.762+/-1.1 MJ/24h〕、キャンディ(主に高GI値の炭水化物)では変わりませんでした〔from 6.896+/-0.98 MJ/24 h to 7.256+/-1.1 MJ/24h〕。〔Claesson]

更に言うと、Guyenetは特に過食(症)でない肥満の多くの実験モデルを無視しています。そこでは、メラノコルチン信号の欠陥のように、過食が脂肪蓄積の増加に続いて生じています。[Asai]
食事誘発性の肥満に関しては、高GI値(vs低GI値)のデンプンを与えた齧歯類の研究が次のような一連の事象を示しています:先ず血中インスリン濃度が高まり、次に脂肪組織がアナボリックに変容し、3番目に脂肪過多の昂進、4番目にはエネルギー消費の低減、そして5番目にエネルギー摂取量が高まっています。
余分な体重増加を防ぐための食事制限で、高GI値を与えた動物は依然として脂肪過多が進んでおり(延いてはCVDリスク因子の増加と関連)、これは従来のカロリーイン/カロリーアウトmodelを否定する発見です。[Kabir, Kabir, Lerer-Metzger, Pawlak, Pawlak]

視床下部の損傷やレプチン欠損のような過食症の原型モデルでも、代謝欠陥が過食に先行し、食事を標準レベルに制限しても過剰脂肪の発症を防げない。[Friedman, Dubuc, Bray]


2. 空腹は私たちが食べる数ある理由の中の一つに過ぎません。一般的には、食事の終わりに依然として空腹だという理由でデザートは食べません。空腹という理由で、アルコールを飲まないし、コーヒーにクリームや砂糖を入れません。豊かな世界で我々の食行動の多くは空腹とは殆ど関係ありません。事象を対象とする研究者は、これを非ホメオスタティックな食行為と呼びます。


これも長期的には違います。
食物摂取量は、多くの環境や心理的な影響に基づいて、日毎に大きく変わります。私たちの多くは感謝祭では食べ過ぎます。しかし、絶食の後はたくさん食べ、饗宴の後は控え目にすることによって、我々は長期的には一貫して適正摂取量の過不足を補っています。年間2ポンドの割合で体重が増える人でさえも、統合的なカロリーバランスはすこぶる安定しています。

ホメオスタティックな食行為から快楽を区別するためのヒトでの長期的な研究は行われていないけれど、方法論的に困難なことでしょう。
飢えている人は実際に食べれるものなら何でも食べるでしょうが、食べ過ぎた人は最高に美味しい食品でもあまり魅力を感じないでしょう。

食品の代謝効果が長期的に摂食行動を支配することは動物研究によって示されています。
げっ歯類は砂糖水の味が好きなようで、無制限にアクセスし過食して太ります(ヒトと大して変わらない)。
しかし、砂糖水に非常に辛い科学物質を入れると、その嫌悪味の本能的な嫌悪感を克服して更に太ります。[Sclafani]
ヒトでは、高GI食は、明らかに美味しさとは関係なく代謝効果を介して、報酬や欲求を媒介する重要な脳の中心部である側坐核を活性化することが示されました。[Lennerz]


3. 脂肪とグルコースの血中レベルは、肥満や高インスリンの人たちでは正常もしくは高まりがちですが低くはなりません。(6,7,8)
その理由はインスリン抵抗性です。過体重や肥満者はリーンな人より循環エネルギーレベルが低くはないので、かれらがもっとたくさん食べるという理由の説明にはなりません。肥満は体内飢餓の状態ではないです。


肥満が発症した後の静的解析は、その動的な段階中よりも誤解を招きます。
多くの疾患の生理学的メカニズムは、身体が新たな(病的ではあるが)定常状態に達する前の発症の間にのみ観察できます。例えばアジソン病を考えてみましょう。これは腎臓のナトリウム保持に一翼を担う重要なホルモンであるアルドステロンを産生する能力を失ってしまう疾患です。この状態が発症すると、尿中のナトリウムは明らかに亢進しています。しかし、血中ナトリウム濃度が低下し続けるにつれて、腎臓に運ばれるナトリウム量は減り、尿中ナトリウムが減少します。疾患後期での尿中ナトリウムの静的解析では、全体像を考慮することなく間違って正常と解釈される可能性があります。

実際に、多くの二次病態生理学的変化は、視床下部の炎症/中枢レプチン抵抗性/末梢インスリン抵抗性(幸いに、これらは食事を通じて潜在的に可逆的でありますが)を含め、病因を分かり難くしてしまう肥満に伴って発症します。
従って、血液中のカロリー濃度の横断的解析は、インスリン抵抗性の状態での血清インスリンレベルを測定する方法で標的器官におけるインスリン作用について何も語れないのと同様に有益ではありません。
更に、横断的研究は、研究対象の個人個人が体重増加または体重減少の過程にあるかどうか重要な識別は我々には教えてくれません。

肥満の自然経過はヒトにおいて十分に研究されていませんが、動物による研究が関連のメカニズム洞察に非常に参考になります。
げっ歯類における実験的な視床下部損傷の直後に、インスリン分泌および脂肪細胞の自律神経系の刺激が高まり、過食前の除脂肪体重を犠牲にして脂肪組織にカロリーをリダイレクトします。[Friedman, Bray, Penicaud]
これらの知見は、げっ歯類における肥満の高GI食モデルと完全に一致しています。

グルコース、遊離脂肪酸、ケトンなどカロリーは体が燃料(4〜6 kcal/L,24)として絶えず必要としている故、その血中トータルレベルはしっかりとコントロールされています。[Walsh]
これら燃料の循環レベルや酸化の急性的な低減が、激しい空腹と食物摂取を引き起こします。[Friedman, Thompson]
逆に、脂肪酸合成酵素阻害またはB3アゴニストの投与など、代謝燃料の可用性を高める薬理学的な操作は食物摂取を低減させます。[ Cha, White]
燃料の可用性はどれだけ食べたかではなく、食べるものによって急性的に影響されます。これはカロリーイン/カロリーアウトmodelでは無視されています。

12名の子供を対象としたクロスオーバー研究では、同じようなカロリー内容で低/中/高GI値の食事を朝食および昼食で割り当てました。
低/中GI値の食事に比べて、高GI値の食後の血糖値とインスリンレベルは、予想通り最初はより高かったが、3〜5時間には血中のグルコースと遊離脂肪酸レベルは最も低くなりました。また、その時点でストレスホルモンが急増し、過食は高GI値の食事の後に続いて起きました。[Ludwig]
別の研究では、血中のトータルカロリーは、低/中程度の炭水化物食に比べて、高炭水化物の食後遅いタイミングで低くなり、エネルギー消費の下落と一致していました[Walsh]

実際、高GI値の炭水化物食を摂取した後の低血糖は、非常に一般的となっています。[Lev-Ran, Brun]

グルコースは、低血糖を防ぐために静脈内に投与された場合でも、インスリンレベルが上がると空腹を高め、遊離糖の嗜好性を高め、且つ過食を引き起こすことが報告されています(恐らく遊離脂肪酸を抑制するため)。[Rodin]

取りまとめますと、これらの知見は、高GI値の炭水化物食へのホルモン反応が如何に代謝燃料へのアクセスを制限し、体重増加を引き起こす可能性があるかを理解するためのメカニズムを示しています。


4. 肥満や高インスリンの人たちの脂肪細胞には脂肪に対する高い親和性はない。
実際には、彼らは低インスリンレベルの人たちに比べて脂肪細胞から高率で脂肪を分泌しています。(9)
繰り返しますが、これは彼らがインスリン抵抗性であるという事実と関連しているのかも知れない。


もう一度言いますが、横断的解析は誤解を招く場合があります。関連する質問は、誰かが肥満かリーンかどうかではなく、体重増加(或いは減少)のプロセスなのかどうかと言うことです。そのような基本的な情報は静的分析から識別することはできません

肥満の多くの動物モデルが重要な発症の初期段階の間に、たとえば視床下部損傷、高GI食、または末梢インスリン投与などで、脂肪細胞でのインスリン感受性の亢進と筋肉でのインスリン抵抗性をはっきりと示しています。[Cusin]


5. 太るのは脂肪組織や膵臓ではなく、脳によって調節されています。脳が食物摂取、エネルギー消費、および脂肪組織の代謝を調節し、体脂肪の格納サイズを調整することは膨大な研究論文が示しています。(10)
脂肪組織やインスリンを分泌する膵臓にこれを調節する固有のメカニズムがあることは明らかになっていません。体が太ることに影響する遺伝的差異は脂肪組織やインスリンシグナリングではなく、傾向としては脳機能に影響を与える遺伝子に存在します。

もちろん脳は空腹や代謝率を媒介します。しかし、末梢性および外的な影響についての事実は何も分かってはいません。
代謝ホメオスタシスのどんなモデルでも脳は体からのインプットが必要であり、循環代謝燃料や末梢ホルモンの濃度、および胃腸管および脂肪組織から脳に情報を伝達するする豊富な求心性自律神経支配が関与していると考えられます。
[Yamada, Coppack]
主張に反して、インスリン産生腫瘍、インスリンプロモーターの遺伝的変異、直接末梢インスリン投与、更に、他のモデルでの過剰な体重増加によって示されるように、簡単なメカニズムが肥満へのインスリン分泌の亢進と関係しています。[Le Stunff, Cusin, Sigal]

実験動物で、脳以外の多数の生化学的経路の遺伝子操作、例えば、筋肉固有のインスリン受容体切除[Kim]、脂肪固有の11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素1型〔グルココルチコイド代謝に関与する酵素〕の過剰発現[Masuzaki]、肝臓固有のsterol regulatory element binding protein 1〔糖質を脂肪に変換するDNLを調節する転写因子〕の過剰発現[Knebel]は肥満をもたらします。
実際に、実験的なインスリン投与後の肥満発症は、このホルモンの末梢アナボリック作用(同化)が中枢カタボリック作用(異化)を支配するという説得力のある証拠を提供しています。[Cusin]


6. 高インスリンレベルは将来の体重増加を予見しません。(13、14)
これは何度も試験された仮説の基本的な予見であり、大半のエビデンスが高インスリンによる体重増加という予見をサポートしていません。

血清インスリンレベルはインスリン作用の意味のある指標とはなりません。
循環インスリンレベルは次の二つの理由で高まります。
食事、内因性の原因、直接インスリン投与に起因する第一の高インスリン血症は、インスリン作用の亢進と体重の増加をもたらします。そして、第二の高インスリン血症はインスリン作用の低下をもたらすインスリン抵抗性によって生じる代償プロセスです。
この識別は殆どの観測分析で出来ておらず、従って有益な情報はありません。

第一の高インスリン血症の単純モデルはインスリン投与です。不適切なインスリン治療を受けて1型糖尿病を有する人々は、食べる量とは関係なく常に体重が減少します。
逆に、2型糖尿病のインスリン開始または1型糖尿病における過剰治療は予想通り体重増加を引き起こします。この効果の要素は代謝であり、尿中グルコースの減少における単純な違いではないです。[Carlson]

動物ではインスリン投与は体重増加を引き起こします。体重増加を防ぐために食物摂取が制限されている場合にも、動物は依然として過剰に太り、インスリンがLBMを犠牲にして代謝燃料を脂肪細胞に向かわせることが示されています。[Torbay]
また、トランスジェニックマウスを使った実験で、第一のインスリン血症は脱共役タンパク質の白色脂肪組織の発現を増加させ、エネルギー消費を高め、食餌誘発性の肥満から動物を保護することがわかりました。研究者らは、高インスリン血症は食事誘発性の肥満とその合併症を促すと結論づけました。[Mehran]


<Tobe continued>









テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

第958回 新説 “Insulin-Carbohydrate Model” Part1  Nice Body Make・・・よもやま話/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる