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zoom RSS 第961回 Insulin-Carbohydrate Model/マイコメント

<<   作成日時 : 2016/09/08 15:47   >>

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肥満の真の原因は?
肥満解消にベストの食事パターンは?


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言葉の定義は、著者が自分勝手に解釈し都合よく使いまわしているのが実状です。
このことが正しいか正しくないかは別問題として、少なくとも自分はどのように定義しているのかを明確にしないと、読者に多大な誤解や混乱を与えることになります。
定義は文章の命です。

皆さんは日本語および英語で、原因/要因/主因/動因/誘因/素因の違いを認識できていますか?
恐らくご存じない方が多いでしょう。
ネットで調べても解釈は錯綜しており、総体的/相対的に明確に規定している堅牢な情報ソースが見当たりません。

それでは、当ブログではどのように考えているのかについての説明から入っていきます。
勿論これが絶対に正しいとは敢えて言いません。
ひとつの叩き台として肥満問題の議論を解消する糸口となり、より良き方法を見出すための参考となれば幸甚かと願う次第です。

因果律
因果律(Causality)とは、学問の領域によって解釈が異なりますが、哲学ではどのような事象もすべて何らかの原因の結果として生起し、原因のない事象は存在しないという考え方です。

原因
原因(cause)はひとつであり、ある事象を起こしたもの…因果関係(causal relationship)
肥満の原因はエネルギー収支バランスがプラスになっていることです。

要因
要因(factor)は複数あり、ある事象に影響あるもの…相関関係(correlative relationship)
・主因(primary factor):もっとも重要な要因
・動因(drive):個人の内的・生物学的/生理学的/生化学的/心理学的要因によって引き起こされるもの
・誘因(inducement):ストレスなど外的・社会的要因によって引き起こされるもの
・素因(predisposition):ある結果を引き起こすもと/ある病気にかかりやすい素質

具体的には、相関関係を形成する因子としては、遺伝子、栄養素、血糖値、GI値/GL値、インスリン/レプチンなどホルモン作用、空腹感、満腹感、食べる順番、睡眠、食べる組み合わせ、依存性、常習性、健康度状態などが挙げられよう。これらの中には理論的/定性的に正しくても臨床的/定量的には効果サイズが僅少なもの、個人の特異的な体験やおばあちゃんの言い伝え、更には道徳・倫理・しつけといったいわゆる都市伝説の類と呼ばれるものまでが含まれます。

それではこれら諸点を念頭に入れて、 “Insulin-Carbohydrate Model”を主唱するDr. David Ludwigの論説 “JAMA Increasing Adiposity” や “Dr. David Ludwig clears up carbohydrate confusion” にざっと目を通してみましょう。

Insulin drives glucose and fatty acid into the storage:
インスリンはグルコースや脂肪酸を貯蔵へ動因すると表現しています。

chronic overeating represents a manifestation rather than the primary cause of increasing adiposity:
慢性的な過食は肥満増加のprimary causeというより寧ろシークエンスであると書かれています。primary causeは一般的に主要因または主原因とも訳されますが、原因は一つという考え方からすると主(要)因と解釈すべきでしょう。

such as excessive insulin treatment…predictably cause weight gain…:
過剰なインスリン治療は体重増加を引き起こすと思われると記述されています。しかし、
ニューヨークタイムズ紙の記事「Rethinking Weight Loss and the Reasons We’re ‘Always Hungry’」では “I like to think of insulin as the ultimate fat cell fertilizer”…つまり、インスリンは脂肪細胞の究極の肥料だと考えたいと述べています。換言するとインスリンは肥満の原因ではなく要因ということになります。

Starchy foods…digest quickly into glucose, raise insulin levels, program the body for excessive weight gain:
ここでは、小麦粉や白米などのでんぷん食品は、早く消化されてグルコースに分解され、インスリンレベルを高め、われわれの体が過剰な体重増加へ向かうようプログラミングされていると表現されています。

highly processed rice cereal and table sugar…both cause metabolic problems:高度に精製された雑穀米や砂糖(テーブルシュガー)のいずれも代謝問題を引き起こすと、ここではcauseという単語が使われています。

またOne major driver of increased insulin secretion is the highly processed carbohydrate…インスリン分泌を促す主要な動因は、高度に精製された炭水化物であるとも表現しています。

以上から賢察すると、Dr. David Ludwigは原因と要因の違いを頭の中でしっかり整理した上で、述べているのかどうか今一つ定かではありません。基礎熱力学の第一法則(エネルギー保存則)の大前提の下で、主因としての位置づけで『政府が推奨している“eat less, move more”は短期的には良いが長期的には適切ではない(現に肥満は増え続けている)。よって、具体的な方法論としては生物学的な観点を重視して、精製された炭水化物や遊離糖を減らし、ホールフーズ/低GI食品に志向すべきだ』と言うのなら、ひとつのアプローチとして理解できないこともありません。「炭水化物の摂取量とインスリンは食後血糖値に影響する重要因子と考えられるので、食事プランを進めていく上で考慮されるべきである」は、米国糖尿病学会も言っていることで、このことを否定する積りも毛頭ありません。また、Dr. David Ludwigが引用している米国医療従事者や女性看護師を対象とした大規模なコホート研究やイスラエルのDIRECT研究など観察研究も相関関係を示すエビデンスとしては有効でしょう。
しかし、肥満の因果関係(原因)をエネルギー収支ではなく、“Insulin-Carbohydrate Model”としているのなら、そのメカニズムやエネルギー保存則を超越することを示す堅牢なエビデンスは何一つ示されておらず断固として異議を唱えます。

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先行研究(749,780)でパレオ、ビーガン、Atkins(低炭水化物)、Ornish(低脂肪)、Weight Watchers、Dunkan(高蛋白質/低炭水化物)、Jenny Craig、低炭水化物、Zone(低GL)、South Beach など人気ダイエットを比較されていますが優位性に有意差はなく、ダイエットで大事なことは継続であると報じられています。

Authority Nutrition‐9 Popular Weight Loss Diets Reviewed by Scienceでも同様のことが述べられています:「The truth is that no one diet is best for everyone, and what works for you may not work for someone else」「Different diets work for different people, and you should pick a way of eating that suits your lifestyle and your taste preferences」「The best diet for you is the one you can actually stick to in the long-term」

小生もこれら意見に全く同意です。
“One size fits all”のダイエット方法なんてありません。減量のための食事パターンは、糖尿病治療、健康促進、美容(スリム)、バルクアップ(lean)、運動パフォーマンスの向上など目的別に応じて、年齢、性別、食品のアベイラビリティ、健康食品への知識、嗜好、文化、知的度、宗教、健康志向、収入、時間的制約、家庭の状況など各人の個別性を考慮して採り入れられるべきであると思料します。

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