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zoom RSS 第986回 糖質制限ダイエットで頭がクラクラするのは何故ですか?

<<   作成日時 : 2016/11/21 09:51   >>

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脳および白血球/骨髄/赤血球を除いて、人体のすべての組織は炭水化物が利用できないときには遊離脂肪酸またはケトン体をエネルギー源として使用できます。
通常食の条件下では、脳と中枢神経系の標準燃料はグルコースで1日当たり凡そ104gが消費されます。しかし、脳はグルコースしか利用できないと考えるのは誤解であり、数日間のケトーシスがいったん確立されると、どんどんケトン体を利用できるようになることは30年以上も前から明らかになっています。

脳は、凡そ75%は代替エネルギー燃料としてケトン体が可用なのです(ケトン体75%/グルコース25%)。
約25%のグルコースは、たんぱく質/糖原性アミノ酸、中性脂肪が脂肪酸に分解されるときの代謝産物グリセロール、ビルビン酸塩、および乳酸などから体内で産生可能と考えられています。


ケトジェニックダイエット(糖質制限)をする場合、たんぱく質と必須脂肪酸は十分に摂るべきことは言うまでもありません。それでも頭のクラクラや疲労感/倦怠感が生じるのは、「炭水化物が人類を滅ぼす」の著者が言っているような糖新生pathwayの退化、或いは、かの不勉強な外科医が言う栄養障害/代謝異常といった病態によるものでもありません。ケトーシスつまりケトン体に対する脳の “適応” の問題なのです。
個人差はありますが最初の2〜3週間つづくことが報告されています。
不調が長引きパフォーマンスが低下するときには、炭水化物の摂取量をいったん増やすことや、ナトリウム/カリウム/マグネシウムなどミネラル(サプリ)を服用することが推奨されています。

因みに、先に述べた白血球/赤血球/骨髄でも適応が生じます。これら組織はグルコースしか使用しませんが、利用可能なグルコースの枯渇を防ぐために、グルコースを部分的に乳酸塩およびピルビン酸に分解し、肝臓に戻して再びグルコースに再循環されます。従って、これら組織によるグルコースの純損失はありません。


<補足説明(ご参考)>

ケトーシスとは
ケトーシスとは全体的にグルコースから脂質ベースの代謝にシフトすることを指し、代謝異常ではありません。
通常の混合食で血流に発現するケトン体は約0.1mmol/dlの微量で、臨床的にケトーシスとは0.2mmol/dlを超えるケトン濃度と定義されています。
有酸素運動後に約2mmol/dlとなることも分かっています。
ケトジェニックダイエットは5〜6mmol/dl、3〜4週間の絶食でのケトン体レベルは7〜8mmolです。
ケトアシドーシスは8mmol/dl以上と定義され、糖尿病性ケトアシドーシスやアルコール性ケトアシドーシスの場合は20mmol/dlを超え最悪の場合は死に至ることもあります。

ケトーシスは二つのカテゴリーに分類されます。
一つはKetonemia(ケトン血症)と呼ばれ、血流でケトン体が高まること、もう一つはketonuria(ケトン尿症)で、排泄される尿中ケトン体を指します。後者は腎臓でケトン体が蓄積されることで生じます。肝臓で作られるトータルケトン体の10〜20%(10〜20g)/日ですが、ケトン体は4.5cal/gなのでカロリーロスは僅か45〜90calです。

ケトーシスへの主要な適応は3日目までには始まり少なくとも3週間は続きます。
絶食後の最初の3日間に、血中グルコースは標準の80〜120mg/dlから凡そ65〜75mg/dlまで下降、インスリンも40〜50uU/mlから7〜10uU/mlに下降し、絶食の期間中このレベルが維持されます。つまり、人体は完全な絶食の条件下でさえも標準に近い血糖レベルを維持しようとします。一般的にグルコースが50mg/dlに落ちるまでケトーシスは生じないというのは正しくありません。
ゆえにケトン食ダイエットで頭がクラクラするのは低血糖によるものでもありません。


血液pHとケトアシドーシス

ケトジェニックダイエットに関して、血流でのケトン体の蓄積によるちょっとした酸性化が懸念事項として頻繁に取り上げられます。つまり、正常な血液pHは7.4ですが、ケトーシスの初めに僅かに低下します。しかし、これは一時的な低下で、ケトン体濃度が7-10mmolを超えない限り2〜3日で正常に戻ります。

食事性のケトーシスと1型糖尿病で見られる糖尿病性ケトアシドーシスを混同してはいけません。糖尿病でない人たちのケトーシスでの血糖値は上述の通り正常値より下がりますが、1型糖尿病の場合のケトーシスでの血糖値は極端に高くなり300mg/dl以上に上がります。

加えて、インスリン(Anti-ketogenic)が全く分泌されないためケトン体の産生が更に高まります。糖尿病ではない人たちではケトン体の産生は1日当たり115〜180gですが、1型糖尿病患者では400g産生されることが示されています。
1型糖尿病で見られる血液pHの低下は、恐らくこのような条件下でのケトン体の過剰産生に関係していると考えられます。

更に、糖尿病でない人たちはケトアシドーシスを防ぐ二つのフィードバックループを有しています。

一つは、血流のケトーシスが高濃度(約4〜6mmol)に達するとインスリンの分泌を高め、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の分泌を低減、インスリン/グルカゴン比率を高めて肝臓でのケトン体産生率を減少、三つ目は尿中のケトン体を増加させることで、血中ケトン体レベルを低くします。

もう一つは、ケトン体が脂肪細胞に直接的に作用して遊離脂肪酸の分泌を遅らせ、肝臓での遊離脂肪酸の可用性を制限することです。

因みに、1型糖尿病患者にはこれらフィードバックループはありません。


絶食への順応


第一フェーズ:
絶食開始後の8時間は、依然として人体は摂食済みの食べ物を吸収する。

第二フェーズ:
絶食後1〜2日は、人体は必要エネルギーを遊離脂肪酸と肝グリコーゲンの分解に依存する。肝グリコーゲンは12〜16時間で枯渇する。

第3フェーズ:
絶食後の最初の1週間で、人体はタンパク質、乳酸、ピルビン酸およびグリセロールからのグルコース生産を増幅させる…糖新生。同時に、脳以外の組織ではグルコースの使用が減少しており、代わりにFFAとケトンが使用されています。 これはわずかでも脳に利用可能なグルコースを確保するのに役立ちます。このフェーズではタンパク質の分解が大幅に高まる。

第4フェーズ:
この段階はケトーシスで絶食の3日〜4日目に始まり、炭水化物が制限されている限り続く。 ケトーシスでの主要な順応は脳によるケトンの利用率の増大です。

最終フェーズ:
絶食後2週間で始まり、特徴としては体蛋白異化抑制が起こるのでたんぱく質の異化と糖新生が減少する。


これはLyle McDonaldの著書 “The Ketogenic Diet” からの抜粋で、すべて科学的エビデンスに基づいています。


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