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zoom RSS 第987回 糖質制限ダイエットへの正しい理解

<<   作成日時 : 2016/11/27 16:26   >>

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前回の記事は、ケトン体に関する生理学的な誤解を正すために書いたもので、一部の糖質制限原理主義者が主唱する“糖質制限ダイエットの絶対的優位性”を支持するものではないことを先ずは申し上げておきます。

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糖尿病に関しては “第984回 米国糖尿病学会は低炭水化物食(糖質制限)を正式に容認した???” を参照していただきたく、ここでは一般ダイエットに軸足を置いて思いついたポイントを順不同で列記します。

<メモランダム>

Lyleは、600以上の科学的エビデンスを参照した著書The Ketogenic Diet(全323ページ)の中で、「本書は、体重/脂肪の減少のための理想的な食事としてケトジェニックダイエットの賛否を論ずるものではない。むしろ、ケトジェニックダイエットによって何が起こるのかを包括的に説明し、食事性ケトーシスに関する多くの誤解を解消することだ」と述べています。
また、これまで取り上げてきたLyleに関する記事からもお分かりになっているとは思いますが、「ダイエットにはOne size fits allの考え方は通用しない。ケトジェニックダイエットも長所と短所がある。論文も然り賛否両論の態様で、ケトジェニックダイエットの優位性を示す明確なエビデンスはない。脂肪減少という点で言えば、ketogenic/non-ketogenic dietのいずれもカロリー収支が同じなら有意差は無い」と明言しています。

Lyleは、著書Ultimate Diet 2.0(全76ページ)の中でケトジェニックダイエットを採り入れていますが、これは筋肉を減少させずに脂肪を減少させるためであり、これは1週間のサイクルでケトジェニックダイエット+カーボロード+エクササイズ(Tension training/ Power training)を行うプロトコルです。いわゆるStandard Ketogenic Diet(SKD)と呼ばれるものではありません。ここでは高レップ/多セット/短インターバルのVolume Trainingはやりません。因みに、Tension trainingは6〜12reps/1.5〜2分インターバルとしグリコーゲン超回復とリボゾーム増加を目す。Power trainingは3〜5reps/3〜10sets/interval3〜5分で、筋グリコーゲンの消費をセーブしてATP/クレアチンリン酸を主に使い筋肥大を目指します。
なお、トレーニング期間は6〜8週間以内とし、引き続き行うときには2週間の維持期間を取るべしとのことです。

ketogenic diet
ケトジェニックダイエットはstandard ketogenic diet (SKD)、targeted ketogenic diet (TKD)、及びcyclical ketogenic diet (CKD)の3つに大別されます。
CKDは上述のUltimate Diet 2.0が一例で、TKDはウェイトトレーニング前後に集中してカーボローディングするやり方です。

SKDは本邦でいう糖質制限ダイエットで、大きな特色としては、栄養学や生理学の知識がない人でも、単品(糖質)を抜けば良いので頭を使わなくても実行できることです。
しかし、Ornish(低脂肪)、Weight Watchers、Zone、Jenny Craigなど数あるスタンダードのダイエット法と脂肪減少の効果に有意差はありません

また、SKDはエクササイズしない人たちや低中強度の有酸素運動を併行する人たちには向いていますが、高強度ウェイトトレーニングをする人たちには、運動パフォーマンスが低下するので最適ではありません。
ヤフー知恵袋ではこれらプロトコルを混同して語られることが多いように思います。

A note on long-term effectsとして、“it should be noted that there are no studies of the long-term effects of a CKD or similar diet approach. it is not recommended that a CKD, or any ketogenic diet, be followed indefinitely …要するに、ケトジェニックダイエットの長期的な影響に関する研究はないので無期限にやってはいけない”とLyleは言っています

インスリン抵抗性を患っている肥満者は、絶食してもケトーシスの確立が困難であることが報告されています(
2型糖尿病患者も同様にケトーシスの確立がよりむずかしい(,)。
このことから、肝グリコーゲンを枯渇させケトーシスを確立するのに役立つ運動の重要性が指摘されています。

さて、脂肪の減少にはMobilization、Transport、Oxidation (burning)/Utilizationの3ステップがあることを思い出してください。
男性で体脂肪35%以上そして女性で40%以上の重度肥満者では、血中の脂肪酸が過剰になり酸化が損なわれるので特別なcareが必要です。

一般的な過体重/肥満者の場合はこれら3ステップに特に代謝異常はなく、男性では体脂肪率15%そして女性では22%までは大した問題なく達成できます。
しかし、これ以下に落としていくにつれてMobilizationのステップに問題が生じてきます。つまり痩せていくに連れて、体はホメオスタシス適応力により、脂肪細胞からの脂肪分解をより難しくさせていきます。

インスリン vs カテコールアミン
カテコールアミンは成長ホルモンよりも強力な脂肪分解ホルモンで、ウェイトトレーニングや有酸素運動を介して分泌されますが、ストレージホルモンと言われるインスリンとは拮抗関係にあり、しかもインスリンの作用の方が強い。この意味では体脂肪分解を促進するテクニックとしてケトジェニックダイエットは有効ですが、上述したように高強度ウェイトトレーニングには適していません。この点をも踏まえ科学的データに基づいて考え出されたのがUltimate Diet 2.0です。

因みに、成長ホルモンは筋タンパクを合成するアナボリックホルモンではなく、脂肪を分解するがその作用力はカテコールアミンよりはるかに弱い。

ダイエットをした人なら経験済みとは思いますが、糖質制限やカロリー制限だけで体重は減っても、男性ならウエスト回り女性ならヒップ/太ももや二の腕のたるみなどはなかなか消えてくれません。体脂肪2〜3ポンドに対して約1ポンドの筋肉が減少するので、減量を進めていくにつれてがりがりに痩せていきます。最悪時には摂食障害や身体醜形障害へつながります。

Lyleは、「diet」とは単に食事管理ではなく、「減量」「体脂肪の減少」「運動によるLBM(筋肉)の維持」を包含するという考え方をしています。

脂肪分解(補足説明)

体脂肪を燃焼させる最初のステップは、脂肪細胞から体脂肪を取り除くことです。それには体脂肪を中性脂肪とグリセロールに分解しなければならず、これを律するのがホルモン感受性リパーゼ(HSL)と呼ばれる酵素です。

HLSを不活性化させる主要な因子はインスリンですが、血流中の中性脂肪もHSLを不活性化させます。インスリンは炭水化物だけでなくたんぱく質の摂取でも高まるので、何を食べてもHSLの活性化は阻害されるということです。
他方、HSLを活性化する主要なホルモンは、カテコールアミン(アドレナリンおよびノルアドレナリン)です。

正確に言うとHSLの活性化を決定するのは脂肪細胞中の循環型AMP(cAMP)で、インスリンとカテコールアミンはいずれもcAMPに作用します。つまり、インスリンはcAMPのレベルを低下させ脂肪分解を抑制し、カテコールアミンはcAMPのレベルを高め脂肪分解が昂進させます。脂肪を減少させるためには高レベルのcAMPが必要であることは言うまでもありません。

通常はどちらかが高いともう一方は低いのですが、もしインスリンとカテコールアミンが同時に高まったらインスリンの作用が勝ります。例えば、運動中にはインスリンは低くカテコールアミンは高いですが、有酸素運動中にcarb drinkを飲むと脂肪分解は損なわれます。

カテコールアミンはアドレナリン受容体と呼ばれる独自の受容体を持っています。
アドレナリン受容体には、ベータとアルファの2種類があります。カテコールアミンがベータ1,2受容体に結合すると、cAMPレベルを増加させ脂肪分解を高めます。しかし、アルファ-2受容体に結合すると、cAMPレベルを低下させ脂肪分解を低下させます。
例えば、女性のヒップおよび太腿は、β2受容体の9倍のα2受容体を有することが判明しています。また、男性の腹部脂肪もβ2受容体よりも多くのα-2受容体が多く類似しています。その他の因子として、アンドロゲンおよび甲状腺もまた、ベータ2受容体の感受性を高めます。男性は平均的にアンドロゲンと甲状腺レベルが高く、女性よりも脂肪を落としやすい一つの理由です。

因みに、カテコールアミンはウェイトトレーニングまたは有酸素運動によって分泌されます。有酸素運動は、有酸素能の退化の問題を除外すれば男性には必須ではありませんが、女性の場合は性差による代謝特性の違いから必要です。

Lyleは次のように述べています:
I simply see ketosis as a "side-effect" of fat loss(burning), more than something to be explicitly sought out. Frankly, using a low-carbohydrate/ketogenic diet for the fat loss phase of the UD2 has more to do with lowering insulin, raising catecholamines, and ramping up fat oxidation; ketosis is simply a tangential effect. A low-carbohydrate diet is also the only way to reduce calories.

最後に、
ご貴承のとおり部分痩せはできませんが、Stubborn Fat(頑固な脂肪)は落とせます。頑固な脂肪については別の機会に詳しくお話しする予定です。

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追記:
禁忌(Contraindications to the ketogenic diet)
ケトジェニック食を含め普遍的にapplicableな食事方法は存在しない。特定のpreexisting medical conditions(いわゆる既存欠陥)を有する人たちには、ケトジェニックダイエットのような極端なアプローチは適切かどうかを深刻に熟考すべきであるとLyleは述べています。この課題に関するデータは少ないのが実状ですが、主要な課題として腎臓の問題、糖尿病、冠状動脈疾患/高コレステロール、痛風、癲癇に加えて妊娠/思春期などを挙げています。ここでは詳しい説明は割愛します。




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