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zoom RSS ダイエット中の筋肉の減少は有酸素運動で抑止できる?

<<   作成日時 : 2017/05/15 08:57   >>

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カロリー制限vs運動による減量効果については、当ブログでも幾つか取り上げていますが(関連記事:1,2,3,4,5,6,7)、今般、米国Saint Louis大学Weiss et al.から、「カロリー制限(CR)+有酸素運動(EX)」又は「有酸素運動のみ」で、体脂肪は減少したがLBMは減少しなかった旨の報告がありました。

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Med Sci Sports Exerc. 2017;49(1):206-217.
Effects of Weight Loss on Lean Mass, Strength, Bone, and Aerobic Capacity

論文タイトル:
減量がLBM、筋力、骨、有酸素能に及ぼす影響

アブストラクト

目的:
本研究は、カロリー制限での体重減少に伴うLBM(除脂肪量)、筋力、骨密度、及び最大酸素摂取量(VO2 max)の減少は、運動をすることで軽減できるという仮説を立てて評価することを目的とした。

方法:
過体重でセデンタリーな男女52名(年齢45~65歳)をCR群(食事制限)、EX群(運動)、またはCREX群(食事制限+運動)のいずれかに割り付けて、減量プログラムを実施した。いずれの群も、12〜14週間で6〜8%の減量を達成すべくエネルギー欠損が20%となるようデザインした。
運動の種類は、早歩き、ジョギング、サイクリングなど有酸素運動で筋トレは除外した。強度moderate〜vigorousで各日~1h or more行った(EX群7.4 ± 0.5h/週、CREX群4.4 ± 0.5 h/週)
16.8 ± 1.1週間の減量プロトコルの前後に、LBMと骨密度は二重エネルギーX線吸収測定法、筋力は動力測定法、有酸素能(VO2max)は間接熱量測定法を用いてそれぞれ測定した。

結果:
体重減少は全群で~7%であった。
全身LBM(~2%、P = 0.003)および下肢LBM(~4%、P <0.0001)の減少がCR群で生じた(ともにP <0.05)。
体重減少は同様にもかかわらず、これらの減少はEX群では認められず、CREX群ではこれらの減少は各々~1%(P = 0.44)及び~2%(P = 0.05)と減弱した。
絶対好気性能力は、CR群で約~6%減少し(P = 0.04)、CREX群では変わらず(P = 0.28)、EX群は~15%増加した(P <0.0001)
筋力または骨の変化は観察されなかった。

結論:
過体重の女性および男性において、20%のカロリー制限による体重減少~7%で、LBM(除脂肪体重)及び絶対VO2maxが減少したが、運動することでこれらの影響を防ぐことが出来る。カロリー制限によるこのような変容は体重減少に対して生理学的に尤もなことではあるが、運動はこれらパラメータ減量中のパラメータを保持し、身体機能を改善するようだ。これらの知見は、運動が体重減少プログラムの重要な要素であるという概念を支持している。


フルテキストに詳述されている試験結果を付記します

心拍計で記録された運動エネルギー消費は、EX群は412±26kcal/日で、CREX群では217±23 kcal/日であった。
運動頻度はEX群8 ± 1に対してCREX群6 ± 1セッション/週、運動時間はそれぞれ7.4 ± 0.5及び4.4 ± 0.5 h/週、運動強度HRmax 77% ± 1%及びHRmax 74% ± 1%であった。
総エネルギー消費量は、EX群(185±53kcal/日 P = 0.001)およびCREX群(126±48kcal/日 P = 0.01)で増加し、CR群では変化は見られなかった(−22 ± 51kcal/日 P = 0.66)

全群でデザイン通りに体重減少~7%と体脂肪減少~15%が見られ群間差はなかった。減量目標に到達する平均時間は16.8±1.1週間であった
全身LBMはCR群で減少したが、EX群とCREX群では変化はなかった。
下肢LBMは、CR群で~4%しCREX群で~2%減少したが、EX群では変化は見られなかった。上肢LBMは全群で2%減少し群間差はなかった。

注:アブストタクトでは、CREX群は全身LBMが~1%減少したと述べていますが、フルテキストでは変化はなかったと説明あり矛盾しています。


マイコメント:
幾つか気になったポイントを順不同で挙げておきます。

Weiss et al.は先行研究で年齢45〜65歳のセデンタリーで肥満の男女を被験者として減量6〜8%のプロトコルを行って、CVDリスク、血糖調整、下肢の筋量/筋力/有酸素能への影響を調べていますが(8,9,10)、これらの先行研究で行われた運動の種類は、同じくウォーキング、エリプティカルトレーナー、サイクリング、ランニングなどの有酸素運動で、頻度は週〜6回、時間はセッション当たり〜60分、強度はHR max ~70%でLT(乳酸性作業閾値)AT(無酸素性作業閾値)レベルです。これはセデンタリーで肥満の中高年(特に閉経後の肥満女性)にはとてもシビアな運動強度です。


今回の研究でのCREX群の運動強度HRmax 74%は、血中乳酸濃度が4mmol/Lとなるポイント(MHR85%)であるOBLAに限りなく近いです。
更に、第108回 EPOC研究のレビューで、MHR85%は所謂スウィートスポットトレーニングに相当し格段にハードだとLyleは言っていますが、今回の研究で行われたEX群のHRmax 77%はそれをも上回る高強度です。

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LBMはエッセンシャル(筋肉)と非エッセンシャル(結合組織)に分かれ、後者は体重に比例して増加します。食事制限で減量するとき、太っている人ほどLBM(除脂肪量)の減少は少なく、体脂肪の減少が大きいことを、第270回 “体脂肪率の初期値” vs “体組成の変化”で述べましたが、本研究の被験者の体脂肪率は、男性35%/女性45%であり明らかな重度肥満体です。而も、被験者の75%が閉経の女性です。


摂取内容は次の通りです。

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セールスでは客の注意を惹くために値引き率が大げさに提示されます。
論文も同じで、グラフの一部を引き伸ばして視覚的印象を大きくしたり、或いは、インパクトを高めるために試験結果が比率のみで示されるケースがあります。
本論文も然りで結果は“率”で示されており、添付表を見ると絶対値はコンマ以下の僅少値です。


第1000回の糖質制限+筋トレで筋量を維持して体脂肪を減少させる?」および「糖質制限/ケトン産生食が体組成(水分/体重/体脂肪)に及ぼす影響」で減量と水分/グリコーゲンについて触れていますが、本論文では記載がありません。ゆえに、水分をどのように考えるか匙加減ひとつで結果は大きく変わります。


Weiss et al.は、本論文のlimitationsとして試験期間が短いことや筋肉の測定方法など6つを挙げています。筋肉の測定については、『LBMには筋肉以外に血液や間質液が含まれている。本研究ではMRIやCTスキャンを用いずDXAで測定しているので、筋量測定に大きな誤りがある可能性は否めない』と述べています。


ダイエットの伴う体組成値の変化です。

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注:EX群の全身LBMは0.1と記載されていますが、恐らくマイナス0.1の間違いでしょう。全身/下肢/上肢/上下肢のLBM絶対値は極小(一部は統計学的な有意水準ではない)ではありますが3群いずれもマイナスとなっています。


最後に、
小生は本論文にケチをつける気持ちは毛頭ありません。
このような被験者(重度肥満の中高年)で非常に強度の高い有酸素運動(誰にでもできる一般的な強度でない)を短期間(16.8±1.1週間)行うという条件下では、「カロリー制限+有酸素運動」又は「有酸素運動のみ」で体脂肪を落としてLBMの減少を抑止できる可能性もあるということで理解したいと思います。


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