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zoom RSS 委縮した筋量/筋力は有酸素運動で回復できる?

<<   作成日時 : 2017/05/21 21:25   >>

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第875回の廃用性筋委縮は有酸素トレーニングで回復可能か?” で説明しましたが、茲ではフルテキストの詳細を付記します。

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被験者は若い男性17名(20〜27歳)と高齢の男性15名(60〜75歳)
・介入群(IM脚):片足のみ動かないように固定化(2週間)
・対照群(CON脚):もう一方の脚は固定せずそのまま

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2週間の実験中、松葉杖を用いて歩行し自由に歩き回ることは許されたが、固定した脚に力が掛からぬように指導した。

固定を外して6週間の有酸素retrainingを行い、MVC (maximal voluntary contraction:最大随意収縮)/LLM(leg lean mass)/Wmax(有酸素能)/ fibre(筋繊維)type/size & distribution/capillarization(毛細血管化)に及ぼす影響を調べた

運動はエルゴメータ・サイクリングを使って、12セッション(連続性)及び8セッション(インターバル)のトレーニングを48−58分x週3〜4回行った。
運動強度は、連続性トレーニングが若者HRmax 84±1 [SEM]%/高齢者85±1%で、インターバルトレーニング(5–10×3–4分 intervals+2分 break)はそれぞれHRmax89±1%/90±1%とした。

注:HRmax.84~85%はAT/ LT/OBLAを超えた乳酸無酸素性レベルの高強度です。


<結果>

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MVC(最大随意収縮)… 上図A
2週間固定したIM脚の随意最大筋力は、若者で–28 ± 6%/高齢者で –23 ± 3%減少した。
3週間の有酸素retrainingで若者35 ± 8%/高齢者25 ± 4%増加し、6週間後では若者34 ± 8%/高齢者17 ± 6%増加した。
しかし、6週間の有酸素retraining後のIM 脚の随意最大筋力は、若者/高齢者のいずれもinclusion値(ベースライン)よりも低かった。
更に、IM脚の随意最大筋力は若者/高齢者ともにCON脚より低かった。
CON脚の随意最大筋力は若者(–10 ± 4%)/高齢者(–10 ± 5%)ともにimmobilization(固定化)で減少したが、3週間及び6週間の有酸素retraining後ではinclusion 値との違いは見られなかった。

Wmax… 上図B
Wmaxに関しては、若者と高齢者を問わず介入/脚の間に相互作用があった。
Wmaxは固定化した脚で減少したが(若者–13 ± 5%/高齢者 –9 ± 4%)、3週間のretraining (若者19 ± 5%/高齢者23 ± 4%)及び6週間のretrainingで増加した(若者33 ± 5%/高齢者20 ± 5%)。
加えて、CON脚は3週間及び6週間のretrainingで増加しinclusion 値よりも大きくなった。

LLM(脚のLBM)… 上図C
脚/グループ/介入の3要因の間に相互作用があった。
若者では脚を固定するとLLMは減少したが(–485 ± 105 g)、3週間および6週間のretrainingで各々436 ± 88 g/669 ± 69 gに戻った。
高齢者のLLMは固定(–245 ± 62 g, p = 0.08)や6週間のretraining (201 ± 75 g)による変化は生じなかった。
更に、CON脚LLMは常に高齢者より若者の方が大きかった。
若者のIM脚LLMは固定することで減ったが、inclusion/3週間/6週間の時点では高齢者に比べて大きかった。
若者および高齢者のいずれも、“ベースライン時のLLMと固定化によるLLMの減少との間の関連性(p < 0.05, R2 = 0.24上図D)”および“固定化によって失なわれたLLM量と6週間のretrainingによるLLM増との間の関連性(p < 0.05, R2 = 0.22, data not shown)”が認められた。

筋繊維(fibre)および毛細血管(capillary)の形態
ベースラインの筋繊維の比率は若者と高齢者の間に違いは見られなかった。
若者のタイプUxは6週間のretrainingでベースラインより低くなった。
さらに、タイプT繊維の面積は、若者より高齢者の方が大きい(下図A)。
タイプU繊維のサイズは、固定化することで減少し(下図B)、タイプT及びUのいずれも6週間のretrainingで増加した。

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毛細血管の密度に群間差はなく介入の効果はなかった。
固定後のC:F比は、下図Aが示す通り、若者および高齢者ともにベースラインとretraining後に比べて、それぞれ-10±8%および-10±5%減少した。
capillaries around all fibres (CAFtotal)は、下図Bが示す通り、固定することで減少し(若者–12 ± 7%/高齢者–6 ± 4%)、6週間のretrainingで増加した(若者18 ± 8%/高齢者4 ± 2%)。
更に、IM脚のcapillaries around fibre type I(CAFIはCON脚に比べて、retrainingすることで増加した(data not shown)

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下図が示す通り、若者と高齢者の間で血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質発現に差はなかった。 さらに、固定化および再訓練はVEGFタンパク質発現を変化させなかった。

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この研究の主たる所見を取りまとめると次の通りである

・6週間の有酸素retrainingは筋力(MVC)を高めるには十分だったが、リハビリつまり回復させるまでには至らなかった。

・片足を固定化することで退化した有酸素能(若者/高齢者)とLLM(若者のみ)が回復した。

・有酸素retrainingによるリハビリテーションで若者/高齢者ともに体脂肪量の減少、VO2maxの増加、足の有酸素能/Wmaxと毛細血管の増加など代謝プロファイルが改善された。

・ベースライン時のLLM質量と固定化によって減少したLLMとは関連性があり、脚を固定化することで多くのLLMを失った被験者が有酸素retrainingでその殆どを取り返した。

・細胞レベルでは、毛細血管および筋繊維サイズは若者および高齢者いずれも、筋繊維タイプの比率には変化なく、脚の固定化で減少し有酸素retrainingで回復した。

これらの所見から、短期的な固定化の後の有酸素retrainingは、リハビリテーションプロセスを妨げることなく、筋力トレーニングと組み合わせてひとつの代替策として考えられる。更に、短期間な固定化による筋萎縮へのリハビリとして有酸素retrainingを採り入れることは、生活習慣病のリスクのある個人にとって特に価値があろう。

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