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zoom RSS 脂質の置き換え効果(飽和脂肪酸→不飽和脂肪酸)

<<   作成日時 : 2017/10/05 10:04   >>

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米国Illinois大学アーバナ・シャンペーン校/Carle Illinois College of Medicineから、不飽和脂肪酸が高く飽和脂肪酸が低い食事が“代謝的に健康な肥満成人”に及ぼす効果についての研究報告がありました。

Annals of Nutrition & Metabolism
September 2017
Clinical Outcomes of Dietary Replacement of Saturated Fatty Acids with Unsaturated Fat Sources in Adults with Overweight and Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Control Trials

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背景:
米国成人の35.5%(男性)/35.8%(女性)が肥満である。肥満は心血管疾患(CVD)/2型糖尿病/高脂血症など20を超える合併症と関連すると考えられている。高脂血症とはHDL-Cが低くトータルコレステロール(TC)/LDL-C(悪玉コレステロール)/トリグリセリド(中性脂肪)が高まった症状と定義されるが、米国在住の成人の31.7%が脂質調節不全と言われている。高TC/高LDL-Cは脳卒中やCVD発症の危険因子である。

登録栄養士や保健医療提供者は多価不飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸が高く飽和脂肪酸が低い食事を推奨するが、患者は脂質異常症またはCVDと診断された後にのみ推奨されているのが標準的である。実際に、CVDリスク低減のため飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置換える食事療法の有効性を確認する研究とレビューは多々あるが、これらは既存診断者を対象にして行われている。

因みに、薬学療法や外科的介入は食事療法/運動療法などの行動変容で有効な成果が得られない場合に行われている。

過体重/肥満者を対象とした飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることによる代謝効果については有効とする研究がある一方で無効とする研究もある。
過剰な体脂肪の肥満者でも合併症がなければ代謝的に健康であると考える研究が増えている。我々の知る限りでは、代謝的に健康な肥満者を対象とした飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸への置換効果に関するシステマティックレビューは行われていない。

目的:
このシステマティックレビューおよびメタ解析の目的は、“過体重/肥満ではあるが代謝的に健康な成人において、飽和脂肪酸酸(SFA)→不飽和脂肪酸(UFA)の置換えが脂質異常症マーカーおよび体組成に及ぼす効果”に関する証拠を評価することであった。

方法:
PubMed、CINAHL、およびCochrane Libraryで、過体重および肥満の成人における脂肪酸の置換え効果を評価するランダム化比較試験(RCT)のキーワード検索を実施した。リポ蛋白レベルおよび体組成を評価する介入についてメタ分析を行った。出版バイアスは、ファンネル・プロット検査、Begg's、およびEgger検査によって評価した。

結果:
被験者トータル663人を対象とした8件のRCT(介入期間は4〜28週間、5件はカロリー制限食、高飽和脂肪酸食は飽和脂肪酸が総エネルギー摂取の14〜24%)をレビュー/メタ解析した結果、不飽和脂肪酸に置換えることで有意ではないがトータルコレステロール濃度が10.68 mg/dL (95%CI -21.90 to 0.53;p=0.06)減少した。
LDL-C(-8.70 mg/dL, 95% CI -19.17, 1.77, I2 = 96%, p = 0.10)、HDL-C (1.15 mg/dL, 95% CI -4.57, 6.86, I2 = 98%, p = 0.69)及、及びトリグリセリド(-9.07 mg/dL, 95% CI -23.55, 5.42 I2 = 96%, p = 0.22)の血清濃度についても統計学的に有意ではなかった。

BMI、BFP、BW、FM、およびWCに対する置換効果は統計学的に有意ではないことが判明した。サブグループ分析ではカロリー制限の研究でWCに対する有意な効果サイズ(1.58cm、I2 = 37%、p = 0.02が見られた。

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結論:
8件のRCTの中には否定的な結果や小規模の研究が含まれているため、飽和脂肪酸→不飽和脂肪酸の置換えが代謝的に健康な過体重/肥満者の脂質プロファイルに有益であるという堅牢なエビデンスはない。

マイコメン
本研究が対象としている「代謝的に健康な肥満者」という概念は議論中の命題です。
現状は次の通りです:

米国医師会は、2013年6月18日に開催された年次総会で、肥満を疾患と認める決定を下していることは御既承の通りです…第485回 肥満を病気と認定!

しかし、ドイツのPhillips University Marburgらは、米国医師会の決定に異論を唱える研究論文を発表しています…第708回 代謝的に健康な肥満は存在する!?
更に、「肥満はインスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、脂肪肝と関連し、糖尿病や心血管疾患のリスク因子だが、一部の肥満者ではこれら代謝異常が生じない」と米国ワシントン大学医学部から報告されています…第812回 一部の肥満者は代謝異常なし

因みに、Lyleは“現実的には、肥満でもインスリン抵抗性を発症していない人、逆にインスリン抵抗性でも過体重ではない人が存在する”との見方をしています。

次の3件も合併症がなければ代謝的に健康であるとの考え方をしています。

・American Journal of Epidemiology 2015 Nov 1
Is the Metabolically Healthy Obesity Phenotype an Irrelevant Artifact for Public Health?

・Obes Surg. 2015 Aug
Morbidly "Healthy" Obese Are Not Metabolically Healthy but Less Metabolically Imbalanced Than Those with Type 2 Diabetes or Dyslipidemia

・Obesity: Preventing and Managing the Global Epidemic. World Health Organization, 2000.

Metabolically healthy obesity(健康的な肥満)という考え方は誤解を招く概念である。肥満でも健康状態が良好な場合、それは一時的なものであることが多く、時を経るにつれて状態が低下する可能性が高いことが、英国University College London研究チームによる20年間の追跡調査で明らかにされました…第813回 「肥満でも健康」は一時的な状態にしか過ぎない!

直近の研究では、米国Louisiana州立大学のDr. Brayらは、“肥満は慢性で再発性の進行性疾患であるという概念を認めることは重要である”という考え方をObesity Reviewsで示しています。

亦、Science Directに掲載されたバーミンガム大学らの研究報告によると、心血管疾患の既往歴のない英国成人350万人の電子健康記録を用いて、平均5年4ヵ月フォローアップした結果、代謝的に異常のない肥満者は代謝的に異常のない正常体重の人たちと比べて心血管疾患イベントのリスクが増加するようです。


<ご参考>
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