第2回 筋肉を付けて基礎代謝アップという話は間違い!


アップデート2014年8月3日
“第745回 筋肉と代謝量についての都市伝説” をご覧ください!

ダイエッターへのアドバイスとして、筋トレで筋肉が増強すると、基礎代謝量が上がり、太りにくい体質に変わるというのが通説となっていますが、一口で言うと、これは針小棒大に誇大化された情報です。


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米国でも、Power of 10: The Once-a-Week Slow Motion Fitness Revolutionの著者Adam Zickermanによれば、筋肉を3ポンド増量すると、エネルギー消費は一ヶ月で約10000kcal昂進し、これは一週間で25マイル(1マイル=1609m)のランニング、一ヶ月で25回のエアロビックを行うエネルギー消費に相当すると云っています。

洋の内外を問わず、このような類の神話が巷間に溢れていますが、これは間違った情報です。
何故なら、骨格筋の熱産生や全代謝量に占める絶対量は大きいのですが、実は1kg当たりでみると多くないのです。たったの13kcal/kg/日なのです。
ニューヨークタイムズのサイエンスライター Gina Kolataが執筆したUltimate Fitness: The Quest for Truth about Exercise and Healthという本の中に、遺伝学と肥満の分野で権威あるClaude Bouchard教授との対談が記載されているので紹介します。
1ポンド当たりで見ると、心臓と腎臓の安静時代謝量はいずれも200kcalで最も高く、次いで脳が109kcal、肝臓は91kcalですが、骨格筋および脂肪は、各々6kcal/2kcalしかありません。換言すると、骨格筋と脂肪は量的/形状的には大きな構成要素ですが、ポンド当りの安静時のエネルギー消費は他の臓器に比べて非常に低い。反面、肝臓、腎臓、心臓、脳は重量的には全体の5~6%ですが、ポンド当りでは安静時のエネルギー消費の大部分を占めています。

1ポンドを1kgに換算すると、部位別の質量と安静時代謝量は次の通りになります

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一方、筋肉を増やすには相当の日数が必要で、普通の一般人であれば1日7gと言われています。年間では2.6kgになり、消費カロリーに換算すると僅か34kcal/日です。
これはクリープをたっぷり入れたコーヒー相当のカロリーで、基礎代謝量を上げるには全く焼け石に水です。

アップデート 2013/05/22
追記:
ダイエット中で、エネルギーバランスが摂取量<消費量であれば、筋肉は増えません。
筋量アップを主目的とした男性のケースで、筋量アップに傾注したプログラムを組んでウェイトトレーニングを行えば、当然ながら体重は大幅に増えますが、筋量も初年度で10kg、二年目で5kgといった数字も有り得なくはありません。しかし、一般女性では難しいでしょう・・・ 第456回 筋肉はどれ位サイズアップするのか?


アップデート 2014/06/26
基礎代謝量は1日の消費エネルギーの70%(or 60%)で、骨格筋の代謝量はその50%(or 60%)、故に骨格筋の基礎代謝量は消費エネルギーの35%~36%であるといった話もありますが、これを裏付けるしっかりしたエビデンスはなく、都市伝説の類と言っても過言ではないでしょう。
国立健康・栄養研究所の田中茂穂氏も、「筋肉1kgで13kcalと考えるのが妥当である。筋肉1kgで50kcalと云った話も流布されているが、これはFFM(除脂肪量)であって、筋肉はこの約50%である。 従って、“50kcal近く” という数値は、いくつかの報告を大雑把にまとめたもので、13kcalよりは大きそうだ くらいに考えていただいた方が良いように思います」という主旨の意見を述べておられます。

当ブログでは、海外の幾つかの研究論文を具体的に示して、筋肉1kg≒13kcalと考えるのが妥当であることを、もっと詳しく取り上げていきたいと考えています。