第106回 緑茶の美肌効果!ホント or ウソ?


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ポリフェノールやカルテノイドを含有する栄養成分は、皮膚組織の構造や機能に効作用することが判っています。そこで、緑茶に含まれているポリフェノールが、女性の肌にどのように効作用するのか、60名の米国女性を被験者として、1日当たり1402mgのカテキンが入った緑茶を飲んでもらい、12週間の実験が実施されました。その結果、緑茶には次のような効果があることが、「Green Tea Polyphenols Provide Photoprotection, Increase Microcirculation, and Modulate Skin Properties of Women」というタイトルで、“American Society for Nutrition”に掲載されました(2011年3月3日)

有害な紫外線から肌を内因的に保護する作用がある。
肌質のプロパティを調整する。
微小循環を増やす。
因みに、人の体には、動脈、静脈、微小循環の三つの血管があります。微小循環とは、血液と細胞の間で「酸素」や「栄養素」、「二酸化炭素」「老廃物」を交換している毛細血管のことです。別名、交換血管とも呼ばれ、一番重要な血管であると言えます。

ついでに老婆心(老爺心?)ながら・・・!
上の仮説検証は緑茶を飲む場合の話しなのですが、これぞテイクチャンスと云わんばかりに、カテキン入り緑茶化粧水、緑茶パックと云った類の商品が、魅惑的な宣伝文句と共に、一段とネット上を賑わすことでしょう。

御如才なきことながら、野菜、果物、キノコなど・・・口に入れる食材は全て、毒物でない限り、各々それなりの栄養成分を含んでいます。しかし、それらは経口摂取して効くからと云って、肌に塗るだけで角質層を浸透し、そして効力を発揮するのでしょうか!?

皮膚は、表皮、真皮、脂肪層の三層から形成されています。
表皮の一番外側に角質層があり、ここは外界に常にさらされているため、生体防御の砦となります。正常であれば、細菌、最小の微生物たるウィルス、異物、タンパク質などは、ここでシャットアウトされます。一般的に 皮膚に浸透できるのは分子量が600以下と言われており、ヒアルロン酸の分子量は100万以上、コラーゲンは30万の高分子量なので、いずれも角質層は通過できません。水の分子量は18ですから、けた違いの大きさです。
化粧水には、大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジタといった微生物の繁殖を防ぐためパラベン、フェノキシエタノールなどの防腐剤が入っています。両者ともに毒性とは言え、化粧水は飲むものではないので、肌刺激と関連します。そのメチルパラベンの分子量は152、フェノキシエタノールは138です。一方、生薬化粧水の美白成分カテキンの分子量は290です。いま流行りのイオン導入器で使われているリン酸型ビタミンC誘導体イオンは253です。カビや酵母の大きさは5ミクロン以上、細菌の大きさは1~5ミクロン、ウィルスはもっと小さく21~24ナノメートルです。(註)1ミクロン=1000ナノメートル

次の文章は、メーカーの商品宣伝の謳い文句です。
・防腐剤は高分子だから角膜を通過しません!
・エステでは、400~550の低分子コラーゲンを使っているから奥深く浸透!
・角質層を通過し、真皮まで浸透するのはナノ化粧品だけ!
・イオン導入器を使用しヒアルロン酸やコラーゲンを真皮まで浸透!
これらの矛盾した広告を見た多くの女性は、一体何が何だか混乱してしまうことでしょう。
メーカーにとって、製品の安全性についての科学的検証は、費用がかさむので二の次となり、販売宣伝に多くのコストを投入しているのが実態です。心ないメーカーは皆さんが混乱しようと一向に構わないのです。混乱しながらも買ってくれれば利益になり、それでハッピーなのです。

イオン導入器とは何なのか?
ここで云うイオンとは、「第21回の「マイナスイオン製品で活性酸素を除去?」で述べた、商業用語として作られた空気イオン(マイナスイオン)を作ることではありません。
イオンとは電荷を帯びた原子や原子団のことで、ここでは電荷を帯びた薬剤・水溶剤と理解してください。イオン導入とはイオントフォレシスとも呼ばれ、電気エネルギーを利用して主にイオン性薬物の生体膜透過を促進させる方法で、薬物の経皮吸収の促進を目的に利用されています
もっと分かりやすく云いますと、イオン導入とは皮膚に微弱な電流を流すことで、水溶性の薬物を皮膚内に効果的に導入する方法です。マイナスの電極を顔の皮膚にあて、プラスの電極を手に持って電流を流すと、水に溶けるとマイナスに帯電するイオン薬物が、皮膚に当てたマイナスの電極からの反発力によって顔の皮膚の奥へと浸透していくというものです。広島県立大学や東邦大などで研究され、その研究成果は日本皮膚学会でも報告されており、イオン導入器の真皮浸透についてとやかく言う積りはありません。しかし、医療機関で行う場合ならともかく、個人使用の場合には有害防腐剤や細菌までも一緒に真皮浸透させてしまうリスクが大きく、安全性についての科学的検証は未だ確立されていないと言えます。さらに、比較的高分子量のペプチド性薬物への応用研究が進められていますが、現時点では巨大分子のコラーゲンやヒアルロン酸が、皮膚に浸透できるという研究結果は未だ出ていないと了解しています。

他方、東大の先生の研究を随所に引用した、ナノプラチナのネット広告があります。未だに大気イオン(マイナスイオンとプラスイオン)を大々的に結び付けている宣伝文句を目にして、馬鹿馬鹿しくて読む気も失せて、途中で閉じてしまいました。プラチナの抗酸化作用は考えられることですし、東大大学院の某教授の研究成果にケチを付けるものではありませんので、誤解しないでください。

最後に、ナノ化粧品と言われるものや、カテキン化粧水をそのまま肌にパッティングして使う場合、分子量が大きくないからといって、ホントに真皮まで浸透するのか大いに疑問に思っています。
何故なら、分子量が大きなものは別問題として、角質層には選択的透過性がある、つまり、分子量が小さい物でも浸透するかどうかは、その性質にもよるという説を私は支持しています。しかし、賛否両論のいずれのケースについても、権威ある機関の科学的エビデンスはありません。
化粧品とは無縁の私ごときがこれ以上私見を述べるのは差し控えますが、専門家あるいは詳しい方の御意見を十分に聞いて注意してください。
それにしても、お肌を守るためと言え、こんな錯綜した情報の中から、正しい情報を選択しなければならない女性にエールを送ります。

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