第107回 運動後の代謝アップ(EPOC)


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「激しい運動を45分行うと、運動後も代謝は14時間昂進する」という研究結果が、「Medicine & Science in Sports & Exercise:」に掲載されました(2011年2月8日)

22~23歳の10名の男性を被験者とし、サイクリングを57%Watts max(72.8±5.8% VO2max)の強度で45分間行い、運動後の安静時代謝量を、24時間代謝測定室(Metabolic Chamber)で測定したところ、運動中の消費カロリーは519±60.9kcal であったが、代謝昂揚は14時間続き、安静時代謝量は190±71.4kcal(37%)上昇を記録した。そしてこのことは、高強度運動が体重減少に繋がると云っています。

この報告のポイントは、実験が初めて「24時間代謝室」で行われたこと、そして運動後の代謝昂進が14時間続き、しかも37%という高値を示したことです。

<ご参考>
御如才なきことながら、この単一の実験結果を以って、“Final”と看做して片づけてしまうことは早計だと私は思っています。

Mr Alan Aragonは 著書「Myths Under The Microscope」 2006年の中で、既に色々な実験結果を引用しています。その一部を紹介すると、

・最大酸素摂取量の75%と50%で運動した場合の、運動後3Hの脂肪酸化を比較したところ、前者75%の方が明らかに高い数値を示した。

・20~45歳のやせ形や健常な男女を被験者として、最大酸素摂取量の40%と70%の二つのグループに分け、同じカロリー費消で高強度・低強度運動を行い、両グループの脂肪酸化が比較されましたが、24H経過時点を超えると差異はなかった。

・高強度インターバルと低強度運動の実験でも同様に、24時間以降では差異は見られなかった。

・高強度インターバルトレーニングが低強度の持久力トレーニングの9倍と云う途方もない脂肪減少を呈した。

・24-hr effects come closer to reality!
つまり、運動直後の急性効果より、24時間経過した時点での効果が現実により近く、更に長期的な慢性効果(数週間後)を見た方がBetterだろうと結論付けています。

他方、Mr Lyle McDonaldは、第9回の「EPOCの真相」でお話ししたように、最近の研究を通じて、運動後の代謝昂進は、最大酸素摂取量の50~60%以上の運動強度でそれなりの数値を示し、時間の増加に伴って上昇するものの、運動の全体の酸素コストのたった6~15%でしかないことが判明したと報告しています。

最後に、
今回の実験結果は、高強度運動の方が消費量は大きく、減量効果も高いという事実を否定するものではありませんが、総エネルギー消費量を推定するための方法としては二重標識水 (DLW) 法がベストの方法だと言う意見もあることだし、EPOCの実態についてさらに研究を深化し、然るべき科学的エビデンスを以って、早期に一連の諸説に最終結論を打ち出して欲しいものです。

<追記>
上記の研究報告に対して“コメントを書いた”という旨の連絡が、Mr Lyle McDonald本人から直接来ました(本日2011年6月3日)。その内容については和訳して、次回お話します!