第162回 ウェイトトレーニングは持久力アスリートに必要か?


中高年者は“特異性の原則”を忘れるべし!

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カナダ発のMonday's Globe and Mailに、“Can weight training help endurance athletes last longer?”と題する面白い記事(Aug.15, 2011)が掲載されているので、その骨子をお話します。

トレーニング7原則の中に、特異性の原則(Specificity Principle)があります。
運動中のエネルギーの使われ方や筋肉の活動の仕方と関係する能力が増加することです。
スイマー、サイクリスト、ランナーなど持久力競技の運動選手の中には、ウェイトトレーニングは時間の無駄であり、それぞれの競技種目の練習にもっと専念すべきだと考えている人が大勢いらっしゃいます。
しかし、若者層と異なり中高年層の場合には殊更、それは適切な考え方とは言えません。なぜなら、加齢に伴う筋肉の減少は、サイクリングのような耐久性スポーツにおいても、ウェイトトレーニングで補完しなければならないからです。
Nice-Sophia Antipolis大学のJeanick Brisswalter教授をヘッドとする研究チームとFrench National Institute of Sportの共同研究がそれを証明しています。
研究内容は、European Journal of Applied Physiology(2011年6月)に掲載されていますが、その骨子は次の通りです。
サイクリストを平均年齢25.6歳の若者層と平均年齢51.5歳の二つのグループに分けて、三週間に亘って週三回、最大筋力の70%で、10セットx10レップスの膝屈伸筋のハードなウェイトトレーニングが行われた。
実験スタート直後は若者層が強靭で、サイクリング効率も勝っていた。
三週間のウェイトトレーニングは、若者層には殆ど影響しなかったが、中高年層には13.8%の効率アップがみられ、差し引きトータルで二つグループ間に差異が生じなかった。

老化の大きな問題は体力の衰えであり、ペダリング効率に顕著に影響するものである。
この実験結果から言えることは、筋委縮は年齢30~40代から始まり、年々1~2%退化していくと言われているが、この実験の若者層には未だ筋委縮が生じておらず、中高年層は筋委縮を改善する余地が十分にあったことを示している。

この実験結果は、一般の皆さんにも当てはまります。
いつもと変り映えのない低強度の有酸素運動ばかりでなく、筋力トトレーニングも採り入れた方が良いですよ!

補足説明

ウェイトトレーニングと云えば、すぐにジムでのバーベルや各種マシンとイメージが重なりますが、社会的な時間制限でジムに行けない人には自重トレと云う方法もあります。上記のコラムでは、シングル レッグ スクワット、ハムストリング プッシュアップ、ヒールレイズを、週2回 1セットx8レップスから始めて、慣れたら3セットx12レップス行うことを奨めています・・・Leg strength exercises for better endurance

神奈川から岡山に引っ越された66歳の某女性は、フルマラソンに参加する健在振りですが、自宅でTVを見るとき四股立ちしているそうです。

トレーニングの7原則とは次の通りですが、それぞれの意味についてはネットで調べてください。
1.個人差の原則(Principle of Individual differences.)
2.過剰補償の原則(Overcompensation Principle)
3.過負荷の原則(Overload Principle)
4.SAIDの原則(Specific Adaptation to Imposed Demand)
5.使用/未使用の原則(Use/Disuse)
6.特異性の原則(Specificity Principle)
7.GASの原則(General Adaptation Syndrome)

参考記事
第65回の「加齢と筋力低下」
第163回の「運動強度は長生きの秘訣!」