第211回 朝食抜きの有酸素運動と脂肪燃焼 


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米国版の面白いQAがあるので、要点を和訳してご紹介します。 
文中に出てくるカーディオとは有酸素運動のことです。

Q:「カーディオは、朝一番の空腹時にやるのが、脂肪減少にはベストである」と教えられてきましたが、これって本当ですか?

A:食べずに朝一番でカーディオをすることが重要かどうかは、個人の体脂肪率によって決まります

脂肪の減少には三つのステップがある。
1. Mobilization
2. Transport
3. Oxidation (burning)

「Mobilization」とは、直訳すれば「動員」という意味ですが、ここでは「脂肪分解→血中脂肪酸」と考えて良いでしょう。つまり、主としてインスリンとカテコールカミンの一次管理下で、脂肪細胞内の蓄積脂肪が脂肪酸に分解され、血中に放出されることです。成長ホルモン、コルチゾル、及びその他ホルモンも関与しますが二次的/三次的に過ぎません。

「Transport」とは「搬送」という意味であり、分解され血液中に放出された脂肪酸が、アルブミンと結合して血中搬送されることです。因みに、糖は血中で容易に溶けますが、脂肪は溶けないので、アルブミンにひっついて搬送されるのです。男性の下腹や腰部、女性の太ももやヒップの頑固な体脂肪が話題となりますが、これは血流と「Transport」が大きく関係します。

最後の「Oxidation (burning)」とは、「脂肪の酸化」、すなわち骨格筋、肝臓、心臓などの組織内にある脂肪酸の「燃焼」のことです。

人間にはホメオスタシスという機能があります。取り巻く環境が変わっても、体温維持、血糖値の調節など生命維持のために重要な機能を常に正常に保つ作用のことです。つまり痩せていくに連れて、体はホメオスタシス適応力により、脂肪細胞からの脂肪分解をより難しくさせていきます。
具体的に言うと、
男性では体脂肪12-15%、女性では19-22%の場合には、脂肪の「Mobilization」と「Transport」は問題となりますが、「燃焼」については、プロセスを高めるための筋グリコーゲン枯渇といった戦略はとられるものの、基本的に大した問題ではありません。
脂肪の燃焼が問題となるのは、男性で体脂肪35%以上、女性で40%以上の超肥満者の場合で、血中の脂肪酸が過剰になり、色々な理由から酸化が損なわれるからです。

これら二つの極端例の中間値、つまり男性の体脂肪率15-35%、女性の場合22-40%の場合には、「Mobilization」、「Transport」、「Burning」のいずれにおいても、取り沙汰されるべき問題はありません。

結語として、
男性で15%以下の体脂肪率、女性で22%以下の人が、さらに体脂肪率を下げようとする場合には、Mobilization(脂肪分解→血中脂肪酸)およびTransport(血流欠陥)を補うために、空腹のカーディオを含めて色々な戦略的方策が挙げられます。
亦、極端な肥満の場合も、違ったやり方が必要とされます。
しかし、
男性15-35%、女性22-40%の人達へのアドバイスは次の通りです。

朝一番でやることは、素晴らしいことです!
そうしなくても一向に構いません!
重要なことは、時間帯よりも行うことです!
着実に続けられるなら、いつでもOKなのです。

引用資料
Fasted Cardio and Fat Loss – Q&A by Lyle McDonald

(註1)第54回の「男性の肥満度チェック」第55回の「女性の肥満度チェック」の図表は、日本肥満学会が発表した数値に基づいて作成したもので、上記の米国発レポートで記載されている数値とは一致しません。この種レポートでの数字のバラツキはよく見られます。ついては、数字を学究的に追求するのが目的ではないので、目安の数字としてとらえて、「考え方」に注力して戴ければ良いと考えます。

(註2)ビルダーの大会前の戦略的ダイエットプログラムについては、例えばこういうのもあります。
「Total Fitness Body Building、Body Building Pre-Contest Diet Plan」 by Mr Lee Hayward、及び「Bodybuilding Cardio Secrets - How To Get Shredded Fast!」 by Mr Dane C. Fletcherです。

関連ファイル
第207回の「脂肪燃焼 vs 消費カロリー」
第208回の「脂肪と糖質の増減を解り易く説明して下さい!」