第234回 運動強度 vs 脂肪代謝(肝臓)


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最初から難しい言葉のオンパレードですが、“第233回の中性脂肪の基礎知識” をご覧になれば理解し易くなると思います。

Journal of Nutrition and Metabolism
11 January 2012
“Exercise Intensity Modulation of Hepatic Lipid Metabolism”

Abstract
肝臓での脂質代謝は複雑で、超低密度リポ蛋白(VLDL)の合成と分泌、ケトン体、及び脂肪酸の酸化・合成・エステル化に関連します。運動トレーニングは、肝臓での脂質代謝に変化をもたらし、VLDLの分泌および脂肪酸の酸化に影響を与えます。これらの変化は、肥満や癌性悪液質のような疾患に於いて顕著です。運動トレーニングにより誘導される肝臓での代謝順応に関するメカニズムの解明は、近年大幅に進んだとはいえ、未だ対処すべき課題が多く残されています。最近では、高強度の運動トレーニングは、肝臓の代謝調整のために行うべきだと推奨されています。本論文の目的は、新しい知識のメリットを要約し議論することです。

イントロ
脂質代謝は多数の経路と相互関連します。
肝臓の取り込みに利用可能な脂質は、食事または脂肪組織からの脂肪酸の動員から派生しています。そして、脂肪酸は血中でアルブミンと結合し血中輸送され、食事性のトリアシルグリセロール(TG)はカイロミクロンや超低密度リポタンパク質(VLDL)の形で血中輸送されます。
肝臓では、肝型脂肪酸結合蛋白や組織特異的なサブタイプがトランスポーターとして、これら分子の取り込みや排泄などの細胞内トラフィックに関与しています。
TGはミクロソームリパーゼによって、ジアシルグリセロールや脂肪酸に加水分解された後に、活性化してコエンザイムAと結合し、管腔内カルニチンアシルトランスフェラーゼによって小胞体内腔の空間に運ばれ、そこで再びTGジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼによってエステル化され、新生の肝VLDLになるか、あるいは脂肪滴内に蓄積されます。
食事性または細胞内プール派生の長鎖脂肪酸は、逆に肝臓ミトコンドリア、酵素系のアクションを必要とするプロセス、カルニチンアシルトランスフェラーゼ、ケトン体産生またはβ-酸化どちらかの脂肪酸アシル基のチャネリングによって完全or部分的に酸化されます。
最後に、長鎖脂肪酸に関して他に考えられることは、例えば、コレステロールや、細胞膜燐脂質のような細胞構成成分への組み入れといった分子の変更や産生に関連します。
肝臓で長鎖脂肪酸が最終的にどうなるかは、脂肪酸の量と種類、器官内のホルモン調節、神経の貢献、および臓器の細胞通信、など多くの要因に依存します。
確かに、肝臓での脂質代謝は、特にVLDLの合成に関するところが非常に複雑です。
肝細胞でのVLDL合成にリクルートされるTGのほとんどは、既存の細胞質ゾルTGプールの脂肪分解によって動員された後に再エステル化されます。
肝細胞でのVLDL合成には、脂質の中でも特にTGを膜組織間で転送するミクロソームトリアシルグリセロール輸送タンパク質(MTP)が必要であり、生体内のTGを新生アポリポ蛋白B(アポB)に転送することが知られています。
しかし、TGのいくつかはインスリンによる刺激と、MTPによって阻害されるプロセスで細胞質プールに戻されます。前述したように、VLDL合成の各ステップは臓器の生理状態によって調節されます。
身体の不活動が過剰な血漿TG濃度に関係し、アテローム性動脈硬化症、脂肪肝、糖尿病、肥満などの病気リスクにつながることが確認されています。他方では、運動トレーニングを続けると、血漿脂質プロフィールに有益な効果を及ぼすことが示されています。運動の中でも中強度の有酸素運動(VO2max50~75%)は、心血管疾患の予防と治療のための最良の非薬理学的戦略の一つと考えられてきました。2011年の時点で、American College of Sports Medicineはこの考え方に立っています。
最近では、高強度運動(~ 80%VO2max)が著しく血漿脂質代謝に影響を及ぼすことが示されています。加えて、「運動量X運動強度」から得られるより大きなエネルギー消費量は、肝臓のリポ蛋白と酸化的代謝を顕著に促進させると考えられています。
脂質代謝調節に肝臓が関与することを考慮して、本稿の目的は、中高強度の運動が肝臓の脂質代謝に及ぼす効果を要約することです。


運動強度と血漿脂質プロファイル
運動が血漿脂質プロファイルに及ぼす影響に関するいくつかの研究は、強度閾値が関係することを示唆している。しかし、実際に運動強度と脂質プロファイルの間には直接的な関係はあるのだろうか?
HDL-コレステロール値の有意な改善は、最大心拍数の75%でのエクササイズで認められましたが、最大心拍数の65%では変化はなかったという12週間の実験報告があります。
また、ファーガソン研究チームは、高いエネルギー消費を伴う有酸素運動は中性脂肪の低下とHDL-C濃度の増加を示し、エネルギー消費量の閾値が中性脂肪の変化に関連するという仮説に結びつけています。
これらのデータは、VO2maxの約70%で1,100~1,500キロカロリー消費する中強度運動が、低強度運動に比べてHDLにより大きな効果を及ぼすことを示しています。
したがって、強度は脂質プロファイルの重要なモジュレーターであると考えられます。
Aellen研究チームは、9週間の有酸素運動or無酸素運動後に、乳酸閾値以下で行われた有酸素運動のみがリポ蛋白プロファイルに有益な効果を出すことが出来たことを報告しています。
一方、無酸素プロトコル(等カロリーの消費エネルギー)は、特に抗動脈硬化リポタンパク質に関しては失敗したが、最近の研究でTsekouras研究チームは、男性のVLDL-TG分泌を調べるために、高強度インターバルトレーニング(有酸素)を行った・・・トレーニング内容は期間、2ヶ月、3セッション/週、VO2maxの60%と90%で4分間隔の計32分です。
その結果は、VO2maxの90%で8週間トレッドミルを走った被験者は、VLDL-TGが下がることを明らかにし、これは通常の高強度運動でも脂質プロファイルの変化を誘導する可能性があることを示しました。
従って、「運動強度」だけではなく、「運動強度+エネルギー消費」が、VLDL-TGの分泌を変えるとおもわれるので、リポ蛋白プロファイルへの利点にフォーカスしたエクササイズプログラムを考えるべきであろうと思います。

脂質プロファイルに及ぶす食事と運動の影響
運動と食事操作を組み合わせると脂質プロファイルを変えることが出来ると長い間認識されてきた。しかし、重要なことは、異なる運動強度で食事操作がどのように影響するのかということです。
Maraki研究チームは、低強度の有酸素運動のセッション(30%VO2max)では理論的に高トリアシルグリセロール血症効果(<2 MJ)を誘導しないけれども、食事制限と組み合わせることによりそれなりの反応を促進できることを示しました。
コレステロールコンテントの異なる食事と高強度運動が脂質プロファイルに及ぶす影響を調べました。我々の目的は、高強度運動(〜90%最大酸素摂取量)と食事介入(低炭水化物&高炭水化物)がVLDL、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロールなどの脂質プロファイルに及ぼす影響を比較することであった。
我々は、健常な男性を被験者として、高強度運動に加えて炭水化物を摂取すると、リポ蛋白プロファイルに有益な効果を発揮できると仮定しました。
いくつかの研究では、運動によって促進されるTGの減少やHDL-C濃度の増加は高エネルギー消費に依存していることを示しましたが、我々の研究結果では、食事介入しない低エネルギー消費での急性の高強度運動が、LDL-C、総コレステロール値を減らすことができました。
急性的な高強度運動(〜90%VO2max)は、低エネルギー消費であっても、リポ蛋白レベルを減少させることが分かったので、更に急性的な過最大運動(約115% VO2max)がリポ蛋白代謝に及ぼす影響を探求しました。この研究で、急性の運動セッションでは、先行研究より50%少ないエネルギー消費が発生しました。データは過最大運動セッションが脂質代謝に有意な影響を持っていないことを示しました。したがって、我々は血中脂質レベルの変化を誘導するための "エネルギー消費量の閾値の存在を示唆します。
まとめますと、これらのデータは、運動強度とネルギー消費のレベル(特に低強度の運動時には、食事操作を強化することによって改善される)の間にはバランスがあり、それがリポ蛋白プロファイルの変化(特にVLDL分泌)を誘発することができるとする仮説を強調します。

レジスタンス運動と脂質代謝
レジスタンスエクササイズ(主に急性的)も脂質代謝に影響を及ぼすことが報告されています。 Wallace研究チームは、中強度のレジスタンスエクササイズ(73% of 1 RM)は、高強度のレジスタンスエクササイズ(92% 1 RM)に比較して、HDL-cとその副分画HDL2& HDL3を高め、脂質プロファイルに有益な影響を誘導したことを示しました。
この結果は、運動量の違い(高強度低ボリューム−7.04=セット×繰り返し×体重、中強度高ボリューム−31.13 =セット×繰り返し×重量)に帰結することができます。
従って、総エネルギー消費量は少なくとも部分的に、身体活動後の脂質代謝の変化により決まると考えられます。それを裏付ける理由の一つとして、Tsekouras研究チームは、急性的なレジスタンスエクササイズはVLDL-TGの肝分泌の速度に影響しないことを示したが、安静時に比べてVLDL-TGの血漿クレアランスが26%高まったことを示しました。
循環のVLDL-TGの平均滞留時間は、安静時144分/運動後113分で、安静時より運動後が有意に短かった。
前にMagkos研究チームが、急性的なレジスタンスエクササイズは有酸素運動よりVLDL及びTGのクリアランスを増加させ、循環のリポ蛋白の平均滞留時間を減少させることを見つけ、これは特にレジスタンスエクササイズによって引き出されたメカニズムであることを示しています。しかし、それが強度という言わばレジスタンスエクササイズに特有の指紋の様なものなのかは明らかになっていません。
Magkos研究チームは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)や肝性リパーゼによる加水分解を含む、VLDLのルートや血漿からのTGの除去、TGの構成成分を交換してHDLへ変換、VLDLからIDLや LDL,といった高密度のリポ蛋白への転換、肝臓and/or抹消受容体の相互作用を介して血漿から全VLDL粒子の除去について説明しました。
一方、定期的な運動によって、骨格筋のリポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子の発現と活性化を誘導することができ、それが血漿プラズマの減少や肝臓のVLDL分泌の減少につながることを報告しています。
これらの観察結果は、筋肉内TGプールの回復と充足の初期段階でVLDL及びTGの増加異化率の関係を示唆しています。
膝伸展運動60-90分後の1時間に骨格筋のリポ蛋白リパーゼ(LPL)の転写率の一時的増加が生じたというPilegaard研究チームの説明がこれを裏付けています。
従って、VLDL及びTGの代謝速度は運動後2~3時間の基底値に戻り、骨格筋のリポ蛋白リパーゼ質量のピークは運動後8時間に達しています。これはVLDL及びTGレベルを低減するように運動で誘発される重要なメカニズムを構成していると考えられます。
最近の研究で、中高強度レジスタンスエクササイズ(有酸素運動も同様)は、特に脂質プロファイルの変調を通して、アテローム産生抑制性の効果を有しているという仮説を裏付けるエビデンスを報告しました。
5グループに分けて、最大反復回数を50%-1 RM, 75%-1 RM, 90%-1 RM, and 110%-1 RMにデザインして急性的エクササイズを行った。運動のトータルボリューム(sets × reps × load)は均一化されました。急性的なレジスタンスエクササイズは、強度が重要な要因と考えられるが、脂質プロファイルへの利点を誘導するために閾値は尊重されなければならないことを考慮し(低中強度1RMの50% & 75%の方が、高強度90% &110% 1 RM より脂質プロファイルへの利点を誘導するには適している)、強度で脂質プロファイルの変化を誘導することを実証しました。
フィットネス専門家は、レジスタンスエクササイズで脂質プロファイルを改善するプログラムを組む場合は、≤ or = 75% of 1 RMの強度で行うことを推奨すべきでしょう。
これをずっと続ければ、ほかの強度に比較して、HDL-Cを増やし、VLDL及び中性脂肪リポ蛋白を減少させる効果が出てくるでしょう。しかし、将来の研究は潜在的なメカニズムを明らかにすることが必要です。

運動強度と肝臓の脂質酸化
重要な脂質プロファイルの順応は、特にVLDL分泌に関して言えますが、急性的及び恒常的なエケササイズのいずれによっても促進されることが文書で示されています。
しかしながら、脂肪酸の筋肉への運搬と酸化は、酸化リポ蛋白リパーゼとカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)システム順応によって、断続的な高強度トレーニングによっても促進されます。しかし、いくつかの研究は、肝臓の脂質酸化の順応を分析してきました。
人での研究では、習慣的に運動を増やすと逆に肝臓TGのコンテンツに関係することを示しており、また、動物の持久性運動は肝臓の脂肪蓄積を減少させることが判っています。
しかし運動が、肝臓の脂質合成and/or脂肪酸化を調節する酵素や分子のプロセスにダイレクトな影響を持っているかは明らかにはなっていません。
Yasari研究チームは、8週間のトレッドミルでのエケササイズ(~60–70% VO2max)が、SCD-1の遺伝子発現(ステアロイル-CoAデサチュラーゼ1)と、2週間の多給餌ラットでのVLDL-TGのメジャー成分たる飽和脂肪酸由来の不飽和脂肪酸の生合成での律速酵素の発現を抑制することができたことを示しました。
SCD-1阻害は脂質生成を低減し、肝脂肪酸酸化を高めることが記載されています。
8週間のトレッドミルエクササイズ(~60% VO2max)は、肝臓でのカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの多様な最大下活動を高め、担腫瘍ラットの脂肪肝を防止しました。このことは、運動などの環境要因が肝臓の脂肪酸化を高めるという仮説を強めています。
Rector研究チームは、自発的な運動トレーニングに応答しての脂肪肝の減衰は、主要なたんぱくしつの減少に示されるように、肝臓の脂肪酸酸化の亢進と脂肪酸合成の低減の両方に関連付けられていると報告しました。
マロニル-CoAは、脂質合成経路で介在し、また、細胞質の長鎖脂肪酸アシルCoA(LCFA CoA)のミトコンドリアへの転送を制御する酵素カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT-1)を阻害します。
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は、マロニル-CoAの合成とその活性化に関与する酵素であるが、アロステリックにクエン酸塩によって調節され、パルミトイル-CoAによって阻害されます。
血漿TG及びVLDL-TG濃度の増加に伴い、パルミトイル-CoAは、ACC次いでマロニル-CoAの合成のアロステリック阻害となっていることを念頭に、肝細胞で上昇していると考えられます。

運動強度とホルモンプロファイル
幾つかの研究が、エクササイズが“肝臓脂肪量”と“肝臓代謝の運動順応性”に有意に影響することが明白であることを示しています。
この順応は、内分泌のパラメータ、特にインスリン/グルカゴン比にコントロールされます。
運動によるストレスは、これらホルモンの血漿濃度に関連し、それは急性的な運動後の肝臓の遺伝子の転写制御における経路制御の調整に関与します。
グルカゴンとインスリンのバランスが、運動時の肝脂肪の酸化の増加に重要な関わりを持ちます。膵臓からのグルカゴンとインスリンの分泌は、中強度運動に応答して増減します
急性的な運動時に、十分な血糖値、遊離脂肪酸、筋肉を収縮させるAPTレベルを確保するために、肝臓、筋肉、脂肪組織間に重要な相互作用が生じます。
加えて、運動時にはインスリンレベルは低減し、筋収縮に必要な燃料基質の動員を可能にします。
最近ではRector研究チームが肥満、脂肪肝、および2型糖尿病の一般的なモデルとされる大塚のLong-Evans徳島脂肪酸ラットを、脂肪肝の進行を防ぐために、フリーホイールアクセスから16週間の自主的ランニングへ変えて実験しました。
5~173時間の日常的なエケササイズ後に、体重、脂肪パッド質量、食物摂取量、血清インスリン、肝トリグリセリド、または運動を抑制する肝臓のステアロイル-CoAデサチュラーゼ-1には何ら変化が起こりませんでした。
しかし、肝臓の脂肪酸化とミトコンドリア酵素の活性は173時間座ったままのラットで減少しました。
ここで新たな疑問が起こります。人間では運動を止めると生じるこのような有害な影響を避けることが出来るのだろうか!
別の研究では、Noland研究チームが、高耐久性能力(HCR)および低耐久性能力(LCR)のラットを使って高脂肪食(HFD)と通常食を給餌しました。その結果は、骨格筋の酸化能力および肝臓の酸化能力を維持する能力は、(HFD)誘発性肥満とインスリン抵抗性からHCRラットを保護することができることを実証した。したがって、インスリンと肝臓に関する新たな疑問が注目されています。
一方、グルカゴンの増加は、肝臓内の脂肪の酸化の経路を刺激して、NEFAsの酸化を高めます。運動によって促進した肝脂肪の酸化は、糖新生を燃料としたエネルギーを生みます。
グルカゴン注射すると、安静時の肝臓のグルコース生産は、トレーニングをしている被験者は座りがちな人よりも高く、そして、運動は肝臓のグルカゴン受容体密度を高め、感受性を促進することができます。更に運動時間と運動強度を向上させます。
しかし、運動強度の異なる急性的及び恒常的なエクササイズが、グルカゴンの分泌と肝臓の代謝調節に及ぼす影響を介しています。
運動時の肝規制に関するほとんどの実験は、中強度のエクササイズで行われてきましたが、より高強度での調整は全く異なるし面白いかもしれません。
最初に、主な識別可能な違いは、高強度エクササイズ(略100% of VO2max)中にカテコラミンが10~20倍増え、動脈のグルカゴンが増えます。
第二に、血糖値は高強度トレーニングで上昇し、インスリンレベルの低下を防ぎます。
グルカゴンの効果を抑止しますが、カテコラミンの機能には影響しません。
事実、Galbo とMarker研究チームによる以前の研究では高強度エクササイズへのグルカゴンの反応は弱まり、肝臓のグリコーゲン分解の障害につながりました。更に、高強度エクササイズ(74% VO2max)中のカテコラミンの分泌は、中強度エクササイズ(41% VO2max)に比べて高いけれども、人でのいくつかの以前の研究で、交感神経活動の減衰は肝移植患者を用いた実験で、高強度運動時の血糖応答には影響しないことを示しました。それ故、高強度または長時間のエクササイズは異なる反応を調整していると考えられます。
運動中の肝臓での精力的なストレスの存在が、この臓器の重要な代謝経路の変調によって証明されています。
中高強度のエクササイズを疲れるまでやると、血糖値が下がり肝臓でのグルコースが増えることが判っています。
従って、cAMP濃度が低下し、AMP対ATPの比は、肝AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化させるために十分に増加します。
Berglund研究チームは最近、グルカゴン受容体の活性化が、分速20mでラットを激しく走らせた後に肝遺伝子の顕著な転写調節に関与することを示しました。
グルカゴンのアクションには、AMPKとp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-α(PPARα)が含まれています。
PPARαは肝臓の脂質代謝の多くの局面で必要とされる転写因子であるため、この発見は重要です
したがって、肝臓でのVLDL生産を含め、特に運動によって枯渇するまで、またはより高い強度で行われ誘導される有益な脂質プロファイルを示した研究は、因果関係が証明されることが必要ですが、グルカゴン刺激を介して変調される順応に関連付けられていると考えられます。
運動によって促進さエネルギッシュなストレスは、亦、血漿カテコラミン濃度を高め、肝アドレナリン受容体の活性化を介して、MAPK活性化につながる可能性があります。
しかし、カテコールアミンが肝臓での運動誘発性の遺伝子発現に関与しているかどうかは不明です。
いくつかの研究は、肝臓でのグルコースおよび脂質代謝にアドレナリン作動性刺激の影響を調査するために行われています。
確かに、我々は肝神経が運動中の肝MAPKシグナリングの活性化に関与し、刺激の強度がそのような変調で重要な因子である可能性があるという可能性を排除することはできません。
異なる強度で運動中の肝臓のグリコーゲン含有量またはグルコース中間体の減少に関する情報は、中枢神経系への肝神経の求心性活動を通じて、血糖値を制御、肝臓での脂質代謝を最適化、ホルモンの調節、運動への代謝反応へ寄与と云ったものにつながれていきます。

結論
要約すると、肝臓は他の組織への基質の可用性を調節することによって、生体内の脂質代謝の中心的なマネージャーとして機能しています。運動中に生成された総エネルギー消費量は、このタスクを実行する肝臓の能力を調節することができます。
しかし、運動時の特に高強度運動に関して、高い肝脂質の分泌と酸化を誘導する最も重要なパラメータを明らかにすることが必要です。
その答えは、多くの人にとってより正確な情報として役に立ち、より一貫した方法で健康問題に貢献することになるでしょう。

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