第276回 新科学 vs ミイラ

雑談あれこれ(^.^)

チリとアルゼンチンの国境付近の標高6700mの高山で、1999年に3体の子供のミイラが発見された。
インカ帝国の豪華な副葬品と一緒に、まるで生きているような姿で見つけられた(写真)。
クスコから連れてこられ、食事と酒が振舞われ、酒に酔い満腹になった状態で死んだミイラである。
生贄として山に捧げられたものと考えられている。

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今回の研究内容

500年前のインカのミイラは、死亡時に細菌性の肺感染症に罹っていたことが判った。

イギリス医学ジャーナル PLoS ONE
Detecting the Immune System Response of a 500 Year-Old Inca Mummy July25 2012

歴史的な被験体サンプルからの疾患の検出は、これまではDNA抽出、増幅、またはイムノアッセイ(免疫測定法)に依存してきましたが、これらの技術では汚染の影響を受けやすく、活性疾患よりも病原体の存在を確証できるだけでした。
しかし、John Jay College of CriminalのAngelique Corthals氏をヘッドとした、ニューヨーク市立大学の研究チームが、ショットガンプロテオミクスを使った新手法で、500年前のアンデスの劣化したミイラ2体から、タンパク質発現プロファイルを初めて検出しました。

凍結した1体のミイラ(15歳の少女)からのタンパク質プロファイルは、DNA増幅、配列、および分子系統学的解析によって、上気道感染症や結核の原因となる病原性マイコバクテリウムの存在が確認されました。
因みに、もう一体のミイラには呼吸器感染の兆候はありませんでした。

“この解析手法は、古代ミイラの感染検出に広く適用することができ、特定の病原体の歴史的な生態、現在の生物医学的および法医学の謎を解く扉を開く”と研究者は述べています。