第268回 高強度インターバルトレーニング


高強度インターバルトレーニングは、“High Intensity Interval Training”のことで、頭文字をとって“HIIT”とも呼ばれ、『高負荷(最大限)の無酸素域のエクササイズと、低負荷の有酸素域のエクササイズを、交互に繰り返して行うトレーニング方法』のことで、ランニング、サイクリング、縄跳び、トレッドミル、エリプティカルマシーン(クロストレーナー)、ステッパーなどで行えます。

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HIITの運動強度
・高強度のエクササイズ: 最大心拍数の85%~100%
・低強度のエクササイズ: 最大心拍数の~67%

安静時から運動強度(負荷)を上げていくと、あるポイントから血中乳酸値が上昇を始めます。このポイントをLT(Lactate Threshold:乳酸性作業閾値)と呼び血中乳酸濃度は1~3mmol/Lです。
そして、血中乳酸濃度が4mmol/LとなるとOBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation)と呼ばれ、
最大心拍数の85%(=VO2max75%)で生じます。従って、“HIIT”の高強度のエクササイズとは“OBLA”ポイントを超える運動強度を指すのが一般的です。

HIITの低強度のエクササイズについては、歩いたりゆっくり走ったり、或いはModerate(適度)など推奨にばらつきが多い。
因みに、『激しい運動後に蓄積される乳酸は、素早く除去する必要があります。そのためには安静にしているより、適切な強度で身体を動かす方が、血中乳酸を早く除去できること、そして、その運動強度は最大心拍数の50%~60%(VO2max35~40%)が最も効果的だということを多くの研究が示している』と云われています。

トレーニング方法

最大心拍数100%で30秒オールアウト+低強度エクササイズ4~5分を4~6回反復する従来方式から、ニューヨークタイムズ(2012/2/15)で紹介された最大心拍数90%で1分、低強度エクササイズ1分を10回反復するやり方など色々あります。
後者の場合、ウォーミングアップ3~5分+クールダウン3~5分を加えてトータルの運動時間は30分程度で、ジョッギングなど通常の有酸素運動で1時間は費やしていることを考えれば、運動時間を半分に短縮できるので、忙しい人には極めて効率的と云われています。

オーストラリアNew South Wales大学の最新の研究報告が、“Journal of Obesity”2012年6月6日に掲載されました。興味深い内容なので紹介します。

“The Effect of High-Intensity Intermittent Exercise on Body Composition of Overweight Young Males”

テーマ:
High-Intensity Intermittent Exercise(HIIE)=HIIT

被験者:
46名の非活動的な過体重の男性
平均年齢24.7±4.8歳

実験方法:
バイクで最大心拍数の80~90%で8秒間スプリント後に12秒間スローペダリング
1セッション20分
週3回
トータル期間は12週間

結果:
有酸素パワーが有意に15%改善した(P<0.001)
体重減少1.5 kg(P<0.005)
総脂肪量が有意に2 kg減少((P<0.001)
腹部0.1 kg(P<0.05)と胴体1.5 kg(P<0.001)の脂肪蓄積が有意に減少
内臓脂肪が有意に17%減少
ウエスト周りは6週間で有意に減少(P<0.05)
LBMは脚0.4 kg胴体0.7 kg有意に増加(P<0.05)
HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)と血中脂肪酸は変化なし(P<0.05)

研究者Boutcher博士のコメント:

・HIIEを週60分行うと、ジョギングを週5~7時間行うのと同じ脂肪減少の効果が得られる。

・中強度の一般的な有酸素運動では、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)及びアドレナリン(エピネフリン)共に僅かしか上昇しないが、HIIEはカテコラミンの分泌を高め、脂肪分解を促進し、特に内臓脂肪の減少に有効である。HIIEを行うことで、皮下脂肪に比して内臓脂肪に、より多くのβ-アドレナリン作動性受容体が発見されている。

・女性でも同様の効果が確認されている。

・今回は“Diabetes Australia”の資金提供でエアロバイクによる実験を行ったが、ランニング、ローイング、階段登り、シャドーボクシング、スキップなどでも、心拍数を上げてカテコールアミンを分泌させることが可能です。しかし、ウォーキングや水泳では出来ない。


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