第271回 女性の悩み・・・下半身太りを解明する!


“第944回 体重の増減が体組成および体脂肪分布に及ぼす影響” でアップデートしているので参照してください。

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基礎知識
脂肪細胞の数は乳児で通常50~60億ですが、幼児期と思春期に増加し、健康な成人では250〜300億になります。典型的な過体重の大人は約750億、重度の肥満者では2500~3000億の脂肪細胞を持っていると云われています。
成人の脂肪細胞の平均重量は約0.6マイクログラム(可変0.2~0.9)ですが、過体重の人の脂肪細胞は、理想的な体組成を持つ人の3倍大きくなることがあります。

脂肪細胞の肥大化と増殖
脂肪細胞の数が増殖することを過形成と云いますが、過形成は或る状況下、つまり極端な体重増加、或いは、妊娠中や小児期後期、思春期初期などライフサイクルの特定期間にのみ生じると広く考えられてきました。しかし、平均年齢29 ± 2 歳の健康で標準体重の28名(その内15名は男性)を被験者とした研究で、“脂肪細胞の肥大や増殖は部位により異なる特性を示す”ことが明らかとなり、“Proceedings of the National Academy of the Sciences” 2010年10月号に掲載されました。
メイヨークリニックの内分泌学者マイケル·ジェンソンは、 “腹部脂肪の蓄積は、個々の細胞サイズが拡大することに起因するが、大腿または下半身の脂肪増は、脂肪細胞の過形成、つまり細胞数の増加によって起こる。下半身の脂肪が1.6kg 増えることで26億個の脂肪細胞が新生する” と述べています。

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同メイヨークリニックのマイケル·ジェンソン博士らによる直近の研究を紹介します。

American Journal of Clinical Nutrition
2012年7月3日
“Effects of weight gain and weight loss on regional fat distribution”

背景:
標準体重の成人では、下半身の脂肪増は脂肪細胞の過形成(脂肪細胞の数が増える)に起因するが、上半身の皮下脂肪(UBSQ)は脂肪細胞が肥大化することで増える。

目的:
“部位の脂肪減少は脂肪の増加に鏡映するのかどうか?”、そして “下半身の脂肪減少は脂肪細胞の数またはサイズの減少に起因するのかどうか?”について検討した。

デザイン:
標準体重の23名の成人(その内15名は男性)を被験者とし、二重エネルギーX線吸収法と腹部CTスキャンを使って、“過食/減食に反応して、UBSQ、下半身、及び内臓脂肪がどのように増減するのか”評価した。
被験者は8週間の実験期間で、体重はmax5%増え、脂肪はmax80%減少した。
体重増減後の腹部の皮下脂肪および大腿脂肪細胞のサイズと数を測定した。

結果:
被験者の体脂肪は、過食で3.1 ± 2.1 kg増加し、減食で2.4 ± 1.7 kg減少した。
上半身の皮下脂肪と内臓脂肪は、8週間の食事制限(減食)で完全にベースライン時の数値に戻ったが下半身の脂肪は戻らなかった。
腹部と大腿部の脂肪細胞は、体重減少に伴ってサイズが縮小したが、数の減少は見られなかった。
腹部脂肪細胞のサイズダウンと上半身の皮下脂肪量には相関性が認められた(ρ = 0.76, P = 0.001)。
同様に、大腿部脂肪細胞のサイズダウンと下半身の脂肪量に相関性が認められた(ρ= 0.49、P= 0.05)。

結論:
上半身の皮下脂肪と内臓脂肪は、短期的な体重増加と体重減少に比例して増減するが、下半身の脂肪増加と下半身の脂肪減少には関連性はない。
下半身の脂肪減少は脂肪細胞のサイズ減少(数ではない)に起因するが、長期的には脂肪細胞数の増加をもたらす可能性がある。

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