第297回 心血管疾患リスクの人は卵黄を食べちゃダメ!


アテローム性動脈硬化症で通院している患者を被験者とした、カナダRobarts研究所の論文が2012年7月31日付けで、カナダのジャーナル誌“Science Direct”に掲載されました。

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研究タイトル
“Egg yolk consumption and carotid plaque”
“卵の黄身と頸動脈プラーク”


背景
高コレステロールの食事の弊害が唱えられている中で、特に卵黄については有意ではないと考えられている。
そこで我々は、動脈損傷のマーカーとしてのアテローム性動脈硬化症を患い、カナダ大学病院の血管予防クリニックに通院する患者の、総プラーク面積(TPA)と卵の関連性を調べた。
影響の度合いをより明らかにするために、もう一つの危険因子と云われる喫煙についても併せて分析した。

方法:
血管予防クリニックに通院している治療継続患者は、実験に入るに際して超音波検査を受け、ライフスタイルや薬物治療についてのアンケートが行われた。アンケート項目には、“卵黄の週/年間当たりの摂取量”と“1日の喫煙箱数(1箱=20本)×喫煙年数”が含まれている。

結果:
1262名の患者のデータが利用可能であった。
平均年齢61.5歳(標準偏差14.8歳)で47%が女性であった。
頸動脈プラーク面積は40歳以降の加齢とともに直線的に増加したが、喫煙のパック年数と卵黄年間摂取量に指数関数的に増加した。
卵黄の効果量は喫煙の2/3であった。
卵を週に2個未満食べる患者388名のプラーク面積は125 ± 129 mm2であったが、週に3個以上食べる患者603名は、年齢調整しても132 ± 142 mm2だった(p < 0.0001)。
重回帰で分析したが、年間卵黄摂取量は冠疾患危険因子を調整した後も有意であった。

解釈:
我々の調査結果は、心血管疾患のリスクがある者は、卵黄を常食とするのは避けるべきであることを示唆している。この仮説は、食事内容、運動、腹囲などの他の潜在的な交絡因子についての詳細な情報に基づき、前向き研究でテストする必要がある。

追記
私は運動を励行している健常者なので、卵を敬遠してはいません。
もしコレステロール値が高くなったときには、それなりの配慮をしようとは思います。

<ご参考>
文部科学省の食品成分データベース

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アップデート 2013年11月2日
American Journal of Clinical Nutrition
2013 May 15.
“Egg consumption in relation to risk of cardiovascular disease and diabetes: a systematic review and meta-analysis”
By ノースカロライナ大学チャペルヒル校

22件のコホート研究(対象者1600~90735名、追跡期間5.8~20年間)を同定し、システマティックレビューメタ解析が行われた。その結果、卵を週に1個未満または全く食べないグループに比べて、1日1個以上のグループのハザード比(95%信頼区間)は下記の通りだった。
心血管疾患全般:0.96 (0.88, 1.05)
虚血性心疾患:0.97 (0.86~1.09)
脳卒中:0.93 (0.81, 1.07)
虚血性心疾患死亡率:0.98 (0.77, 1.24)
脳卒中死亡率:0.92 (0.56~1.50)
2型糖尿病:1.42 (1.09~1.86)
糖尿病患者では心血管疾患全般のハザード比は1.69 (1.09~2.62)であった。

結論:
当該メタ解析は、一般人では卵の摂取量は心血管疾患および心血管死亡率と相関しないが2型糖尿病リスクとは相関することを示唆している。しかし、糖尿病患者では心血管疾患死亡率と相関すると考えられる。

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