第299回 肥満外科手術


肥満手術は標準ケアより効果的
肥満手術で2型糖尿病発症が78%低減

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The New England Journal of Medicine
August 23 2012
Bariatric Surgery and Incident Type2 Diabetes

スウェーデンのサールグレンスカ大学病院Lars Sjstrm博士を筆頭とする研究グループが、「肥満外科手術をした1658名」と「標準ケア/減量カウンセリングのみを行った1771名」を被験者として、大規模な追跡調査を実施しました。

両グループ共に、調査開始時には糖尿病を発症していなかった。
平均して10年後には、標準グループで392名、肥満外科手術グループで110名が糖尿病を発症した。
2型糖尿病の発症率は、1000人年で肥満外科手術グループが6.8件、標準ケアグループが28.4件であった。
減量手術は大凡15000~25000ドル。

因みに、ここでいう肥満外科手術は、その殆どが図表で示されたバンディングやステイプリング方式です。

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前者は、胃の上の部分をバンディングで締め付け、上方の小さな部分と下方の大きな部分に分ける。上方の小さな胃の部分が満たされると満腹感を覚える。食物の消化は通常どおりの経路で行われる。このようにバンド器具を腹壁内に埋めこんで、状況に応じて膨らましたりしぼめたり調整出来るようになっています。
後者は、ルーワイ胃バイパス手術では胃を20~30ccの小袋に分け、そこに小腸をつなぐ。食べ物が流れる小腸の途中に、胆汁と膵液が流れるようにもう一方の小腸の端を吻合します。現在、米国で最も多く行われている減量手術です。

補足説明:
米国デューク大学の外科医Danny Jacobs博士は、“手術による糖尿病予防は非常にエキサイティングなことだが、全米で数百万人とも言われる肥満成人を対象として考えるとなると、非現実的で不適切である”と医学ジャーナルの解説で述べており、賛否両論が対峙しているのが現状です。

日本でも上記の二つに加えて腹腔鏡を用いた、“袖状胃切除”、“十二指腸スイッチ”、“スリーブ・バイパス”、および“胃内バルーン挿入法”などがありますが、これら手術は決して美容を目的としたものではありません。手術の対象となるのは、一般的な食事療法やエクササイズが難しく、今のままだと命にかかわる危険性のある病的肥満や合併疾患の人たちです。

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