第325回 超簡単ダイエット

アップデート 2015年12月27日

2015年までに、世界中の3人に1人が過体重、10人に1人が肥満になると予測されています。肥満に伴う健康リスクとして、2型糖尿病・心血管疾患・癌など、さまざまな生活習慣病の危険度が高まることが明らかになっています。
そんな中で、食べ過ぎだけでなく社会的な要因が、世界的な規模で議論されています。

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消費エネルギーのブレークダウン:

基礎代謝 
身体活動(生活活動+運動)
・食事による熱産生(DIT/TEF)
・アフターバーン(EPOC)

消費カロリーを内訳するとこのようになりますが、今回のメインテーマは “健康増進を目的とした身体活動” です。


運動を20分続けないと脂肪燃焼しない!

これって本当ですか?
いいえ!
都市伝説です!
脂肪は安静時や睡眠時も絶えず燃焼しています。
運動すると代謝活動は亢進し、併せて脂肪燃焼も高まります。


運動の途中で休憩しても脂肪減少の効果は変わらない!

その通りです。
健常な15名の青年を被験者とした実験で、「3分間ウォーキングを30分の休憩を挟んで10回反復」と「連続30分間のウォーキング」では、血中脂肪酸及び血圧の減少効果は凡そ同じであること、更にランニングの場合も同様であることが、2008年に米国臨床栄養学会誌(AJCN)に報告されています。

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<福岡大学基盤研究機関身体活動研究所の研究報告2012年から引用>


わずか1分間の身体活動がメタボ軽減に効果的?


42名の一般女性(平均年齢50±6歳)を対象に、加速度計を内蔵した歩数計を利用して、日常生活の量と強度、また、持続時間を評価しました。メタボ関連項目(腹囲、血圧、血中脂質、血糖)などの調査も同時に行いました。その結果、32秒以上、また、1分以上の中強度身体活動を行う回数が多い女性は、善玉コレステロールが多いことがわかりました。同様に、健康な女性は、メタボに該当する女性に比べて、1分以上の中強度活動を行う回数が多いことがわかりました。

これらの研究結果は、わずか1分間という極めて短時間の身体活動でもメタボ軽減に有用である可能性を示しています。仕事や家事の合間に『80 メートル歩く』『3階まで階段を昇る』は誰もが実践できる健康づくり策ではないでしょうか。当研究所では、わずか30秒間の身体活動の効果も確認しています。『時間に余裕のある時には連続した運動』、『忙しい時は細切れの運動を繰り返す』など、ライフスタイルとスケジュールに合わせてフレキシブルな運動習慣を形成してはいかがでしょうか。


15秒間の身体活動の蓄積がアンチアイジングに効果的?

年を重ねると日常生活が不活動になりがちです。この加齢に伴う身体活動の減少は、身体機能の低下や生活習慣病への罹患率の増加などを高めるため、超高齢化社会を迎える我が国においては、健やかな社会を維持するための喫緊の課題です。これまでの研究によって、加齢に伴って、定期的な運動習慣者の割合が減少することや、1日あたりの身体活動の量と質が低下することがわかっています。

さらに、本研究では、日常生活の身体活動の個々を詳細に分析して、『身体活動の持続時間』が加齢に伴ってどのように変化するかを調べることを目的としました。 43名の一般女性を対象に、加速度計を内蔵した歩数計を利用して、日常生活の量と強度、さらに、それぞれの活動の持続時間(運動の長さ)を評価し、年を重ねるにつれて、それらがどのように違いがあるかを調べました。その結果、年齢との関係が認められた項目は、30秒以上持続される弱い強度の身体活動、また、16秒間以上持続される中高強度活動でした。一方で、1分を超えて連続する中強度活動は、年齢との関連性が認められませんでした。

本研究の結果は、中高齢者の日常生活の身体活動が、若者に比して、1回当たりの活動時間が短いことを示しています。ただし、その差は、ごくわずかであり、強度の弱い運動であっても30秒から1分未満、中から高強度の身体活動であれば、15秒程度です。つまり、加齢に伴う日々の活動量の減少は、15秒程度の短時間の身体活動を行う機会が加齢に伴って減少していることが原因していると考えられます。

中高齢者は、日常生活での身体活動の時間を少し延ばすことを心がけてはいかがでしょうか。15秒の中強度活動は、歩数にすれば20歩から25歩、距離に換算しても20メートル前後です。連続した身体活動でなく、わずか15秒から30秒間程度の身体活動の機会を増やす事が若さを保つ秘訣かも知れません。今よりもわずかに余計に歩く事からアンチエイジングを始めてみましょう。


立ったついでにもう一つ!
わずかな運動で内臓脂肪にGoodbye?


45名の一般女性(平均年齢50±6歳)を対象に、加速度計を内蔵した歩数計を利用して、日常生活の量と強度、また、持続時間を評価しました。さらに、CT法にて、腹部内臓脂肪面積を測定しました。その結果、3分間以上にわたって持続される身体活動は、内臓脂肪に関係することが分かりました。さらに、速歩など中等度身体活動については、わずか1分間の持続時間であっても内臓脂肪との関連性が認められました。

この研究結果は、わずか1分間の身体活動が内臓脂肪に関与することを示しています。日常生活での身体活動の多くは、30秒未満で終了することがわかっています。つまり、 家事活動や仕事中、椅子から腰を上げて、何かのちょっとした身体活動を行った後に、もう一度、類似した活動を行うことで、持続時間が1分を超えるでしょう。


<解説>

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御如才ない事とは思いますが、今回の身体活動に関する記事は、便利な現代社会で生活習慣病が蔓延することを危惧して、座りがちなライフスタイルの人たちの健康増進を主眼とした医療的な見地から見たものであり、アスリートのパフォーマンス向上や美容を目的としたダイエットを追求するものではありません。従って、スポーツ/ダイエット & ボディメイク/バルクアップを志向する人達に、そのまま適用することには無理があります。
そもそも健康促進のためのガイドラインは、体を動かさない人達に運動することを奨励するものであって、例えば歯を食いしばって10km走っていた健常な人が、途中で何度も歩いてしまうと持続力が低下していきます。
老若男女/目的別に自分に合った運動プログラムを設定しましょう!

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追記(2013年2月11日)
米国アラバマ大学のKrista Casazza博士らは、有名メディアと科学文献のインターネット検索を行い、肥満関連で科学的に否定されている7つの神話、科学的に否定されていないが証明されていない6つの推測、及び科学根拠のある9つの事実をリストアップし、米医学誌New England Journal of Medicineで発表しました。 
7つの神話の中の一つとして、『わずかなエネルギー摂取(食事)と消費(身体活動)の変化が、長期的に大きな体重の変化をもたらす』が挙げられています・・・第402回の肥満に関するウソとホント