第343回 マルチビタミンサプリ vs 心血管疾患の予防効果


大規模な研究の結果、マルチビタミン剤を毎日服用しても、心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、CVD死亡率には何ら効果が無いことが報じられた!

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JAMA
Nov7 2012
Multivitamins in the Prevention of Cardiovascular Disease in Men
The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial FREE


「マルチビタミンと男性のがん予防」については、2012.10.17付で “The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial” のタイトルでJAMAに掲載され、 “第335回のマルチビタミンvs男性のがん予防” で取り上げました。
今回は、“The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial FREE” と題して、「マルチビタミンと男性の心血管疾患(CVD)予防」についての研究報告が、2012.11.7付で同紙に掲載されました。

背景:
マルチビタミンは、ビタミンやミネラルの欠乏を防ぐために使用されていますが、心血管疾患(CVD)を予防するものと認識されています。観察研究では、マルチビタミン常用とCVDとの矛盾関係を示しているが、長期の臨床試験に基づいたものではありません。

目的:
長期的にマルチビタミンのサプリメントを服用すると、男性の主要な心血管イベントのリスクを低減するかどうかを判断する。

デザイン、設定、被験者:
1995年に終了したPhysicians' Health Study Iに次ぐ二弾目の大規模、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である。
50歳以上の米国の男性医師254597名にメールで打診し、最終的に14641名が本研究に参加することになった。1997年実験開始時の平均年齢は64.3±9.2歳で、2011年まで追跡調査が行われた。この中にはランダムでCVDの既往歴のある754名が含まれている。

介入:
マルチビタミン剤またはプラセボを毎日服用

主要評価項目:
非致死的心筋梗塞(MI)、非致死的脳卒中、CVD死亡率を含む主要な心血管イベントの複合エンドポイント
副次項目は個別に心筋梗塞や脳卒中を含む

結果:
フォローアップ中央値(四分位範囲)11.2年間(10.7~13.3)で、1732件の主要な心血管症例が確認された。

プラセボと比較して、毎日マルチビタミ剤を服用する有意な効果は主要心血管イベントでは認められなかった(1000人/年あたりマルチビタミン群11.0症例、プラセボ群10.8症例;ハザード比1.01 95% CI、0.91-1.10;P = 0.91)

更に、毎日マルチビタミ剤を服用しても心筋梗塞(MI)に効果は見られなかった
(1000人/年あたりマルチビタミン群3.9症例、プラセボ群4.2症例;ハザード比0.93 95% CI、0.80-1.09;P = 0.39)

全脳卒中とCVD死亡率も同様に効果は無かった。
全脳卒中:1000人/年あたりマルチビタミン群4.1症例、プラセボ群3.9症例;ハザード比1.0695% CI、0.91-1.23;P = 48
CVD死亡率:1000人/年あたりマルチビタミン群5.0症例、プラセボ群5.1症例;ハザード比0.95 95% CI、0.83-1.09;P = 0.47)

マルチビタミ剤の主要な心血管疾患への効果は、CVDの既往が有る無しに関わらず差異はなかった(相互作用 P = 0.62).

結論:
米国の男性医師を被験者とした研究で、毎日マルチビタミンを服用しても、10年以上の治療と追跡調査で、主要な心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、CVD死亡率を減少させなかった。