第368回 女子高生の下半身の悩み QA


Q:ヒップと太腿を細くしたい!
ヒップと太腿に非常にコンプレックスを持っている高2♀です。
身長は161cmで、体重は食事制限で54kgから50kgまで落としました。
お腹回りや顔は少しほっそりしましたが、ヒップと太腿は変り映えがしません。
ものすごく悩んでいます。どうしたら良いのか教えてください。よろしくお願いします。


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現在の処はQAを行っていませんが、高校二年生と云う微妙な年齢を勘案すれば、放って置く訳にもいくまいと憂慮し例外的に引き受けました。アドバイス内容は全て欧米の科学的な研究論文に基づいたものであり、その他の肥満で悩む女子高生や一般の成人女性にも参考になると思うので公開することにしました。

現在の処はQAを行っていませんが、高校二年生と云う微妙な年齢を勘案すれば、放って置く訳にもいくまいと憂慮し例外的に引き受けました。アドバイス内容は全て欧米の科学的な研究論文に基づいたものであり、その他の肥満で悩む女子高生や一般の成人女性にも参考になると思うので公開することにしました。


イントロ
・ダイエットの目的
・年齢、身長、体重、体脂肪率、B-W-H
・検診結果票と既往歴
・普段の生活活動レベル(職種、生活行動、睡眠etc)
・運動レベル(種類、頻度、時間、強度etc)
・一週間分の全ての飲食物(含む調味料)明細

成人を含めこの種の相談に適切なアドバイスをするには、実際にお会いするか写真を見て目でチェックすると同時に、これら諸点にお答えいただく必要があります。しかし、実際にそこまでの深い介入をお受けするかどうかは別問題として、いずれにしてもあなたの場合は提供情報も限られており、一般的な回答とならざるを得ませんので、この点をお含みの上お読みください。

現代病
綺麗になりたい!
女性なら誰だって想うことです。
至極当たり前のことでしょう。
しかし、想いが募り過ぎて、若い人達に「身体醜形障害」が増えています。
これは、自分の容姿に対するコンプレックスが病的に高まり、極端な低体重など偏ったボディーイメージを持つ現代病で、今や欧米や日本で問題視されています。

摂食障害
「痩せている=美しい」「痩せて幸せになる」といった体重偏重志向が広く浸透しています。しかし、現実問題として、厳しい食事制限しても上腕・腹部・ヒップ・太腿の脂肪は思うように落ちず、食事制限は益々エスカレートしていき、その結果として、精神疾患を伴うような摂食障害を発症する人が後を絶ちません。これまでの経験から言って、このような症状に至った人には何を言っても、痩せること以外に耳を傾けてはくれません。

低体重偏重志向
そこかしこで減量の成功談を聞きます。
甘い言葉を囁く悪徳ダイエット業者は別として、彼らは決して嘘は言っていないでしょう。一週間で5キロ減の過激ダイエット
でも、代謝は指紋と同じく個人差があり、その他の間接要因も各人各様です。
あなたはあなたなのです。
それに一過的に痩せるだけなら、そんなに難しい事ではありません。
体内の水分を減らすか、食べなきゃ良いだけですから・・・

あなたの遺伝子
コンテスト前のビルダーは短期間で体脂肪を落とし、見事にビルドアップします。
しかし、栄養学や応用生理学の知識のない一般の人達が簡単にできることではありません。
加えて、トップビルダーの中には、インスリン感受性やタンパク比率が生まれつき優れている人がいます。
ミスコンテスト上位入賞者やトップモデルには、いわゆる八頭身でプロポーション抜群の人がいます。59.運動とインスリン感受性 327.カロリーのイン & アウト
もしあなたがこの人たちと同じような遺伝子を持っているなら、その人たちレベルに近づけるか、或いは努力次第でその人たち以上になれるかも知れません。
残念ながら、ホルモン作用や神経系など代謝の仕組みは生まれつきの遺伝子により決まっています。あなたの遺伝子が、そんじょそこらの人並みであるなら、薬物・薬剤を使用しない限り、高望みしても限界があるのです。 
食事管理やトレーニングだけで作為的にコントロールしようとしても、せいぜい15~20%程度と云われています。

決して誤解しないで欲しいのですが、所詮アヒルは白鳥になれないから、努力しても無駄と云っているのではありません。実現できない高望みに向かって無理な食事制限は辞めなさいと云いたいのです。
しっかりした目的を持つこと、つまり、アヒルも地道な努力をすることによって、誰から見ても素敵なアヒルになれるし、総合的な魅力度で白鳥を凌ぐこともできると云うことを強調したいのです。

ダイエットの基礎知識
肥満者が食事制限を優先してダイエットするのは正しいことです。
しかし、あなたが一般女性であるなら、いつまでも低体重に重きを置き、且つ、浅慮に体脂肪率にこだわり過ぎると、ボディメイクの本質を見失ってしまいます。
なぜなら、
女性の体脂肪率は、同じBMIの男性に比べて約10%高いです。
血中の遊離脂肪酸の割合も男性の2倍です。
それは女性には妊娠と出産という大きな役目があるからです。

男性は内臓脂肪に、女性はヒップ・大腿部の皮下脂肪に優先的に貯まります。
このような女性の洋ナシ体型は思春期から始まります。
そして思春期の体重増加は、男児はLBM(骨格筋)ですが、女児は主に脂肪量なのです。

加えて、女性の生理機能からいって、太腿とヒップの皮下脂肪を食事制限だけで落とすことは難しく、有酸素運動や筋トレなどの運動を行う必要があることは複数の科学的データで報告されています:VLDL-TGの分泌/クレアランスやその他データの詳しい説明は、あなたには難しいと思うので割愛します。

脂肪吸引で太ももの脂肪の取り除くと、腹部に優先的に脂肪が再蓄積します。
腹部の皮下脂肪を吸引して除去すると、その代償として内臓脂肪を増加させる引き金となります・・・身体活動によってこれを効果的に予防できます。

因みに、35歳を超えると女性も内臓脂肪の増加傾向が見られ、腹壁に対して押し出す形でウエストラインが大きくなります。主な理由はエストロゲンレベルの低下です。
米国の国立糖尿病・消化器・腎研究所および米国疾病予防管理センターは、WH比(ウェスト:ヒップ)については、0.7がエストロゲンの最適水準で、糖尿病、心血管欠陥、卵巣がんに罹り難いという公式声明を出しています。

ヒップ・大腿部での脂肪蓄積は、脂肪細胞の「肥大化」ではなく、脂肪細胞の過形成つまり「数の増加」です。

更に、腹部や上腕のたるみは、食事制限や低強度の有酸素運動だけでは解消は難しく、これには筋トレや強度の運動がとても大切です。

中高生のダイエット
誰だって摂取量<消費量にしないと絶対に痩せません。
だから肥満の小中学生にダイエットするなとは云いません。
でも、成長期に馬鹿な大人の真似して不適切な食事制限をすると、成長に支障をきたし身長も伸びなくなります。極端な食事制限で短期に大減量するなんて言語道断です。

成長期から大人への変遷期の女子高生のダイエットも、成人とは一線を画すべきでしょう。
国際的なミスコンテストに出場する人たちは、標準体重(BMI:22適正値)を大きく下回っていますが、BAI新方式で計算すると標準値です。しかし、BAI方式、WH方式は20歳以上の成人を対象にしたもので、成長期の未成年者に適用できるものではありません。
因みに、現在のあなたは健康度(有疾患リスク)の一般的な目安としてのBMIは19.3で標準下限に近く、ローレル指数では120で標準です。

それでは、あなたの場合はどうしたら良いのか!

(1)マイナス思考の低体重偏重主義から直ちに脱却してください。
現在のあなたの体組成から賢察して、当面は食事制限を行わず栄養バランスが取れた維持カロリー食にして、アスレチックス、有酸素運動、筋トレなどでカロリーダウンしながらボディメイクをやっていきましょう。
食事制限の必要性の有無は、その延長線上で考えていけば良いです…その時に質問していただければ可能な限りお手伝いします。

(2)脂肪燃焼率ばかり気にする人が多いですが、トータルの運動消費量に目を向けてください。但し、念のため申し添えておきますが、運動ならいくらやっても良いという訳ではありません。米国では過剰な運動も拒食症の一つとして位置づけています。

(3)ダイエットプログラムの設定と進捗状況のレビューはとても大事です。
単に数字の比較だけでなく、鏡の前に立ちビジュアルチェックすることも肝要です。
ミスユニバースの森理世さんは体重計に乗ったことがないそうです。
時には第三者にチェックしてもらうのも良いでしょう。

(4)運動には漸進性の法則があるので強度は強めていきましょう。
因みに、ウオーキングも有酸素運動でそれなりのメリットはありますが、若くて健康なあなたにはもっと強い運動が効果的です。
スポーツ医学の分野では、日本は欧米に比べてとても遅れています。特に、思春期の青少年に関する研究文献が少ないのが実情です。その中で、アメリカ医学誌Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine(2012年9月)に参考になる記事が掲載されています:
『カナダの農村部と都市部に住む9~17歳(平均12.1歳)の合計605名を対象にして、普段行っている運動の強さを「強い、中等度、軽い」3グループに分けて、肥満などとの関連性を調べた。ちなみに、その内248名(41%)は男子で、157名(26%)はポッチャリ又は肥満だった。
検討の結果、強い運動を行うと、肥満指数(BMI)/ウェストサイズ/収縮期血圧が下がり、最大酸素摂取量は高まることが判ったそうだ。
更に詳しく言うと、強い運動を1日7分以上行うと、ポッチャリや肥満のリスクが44%下がり、血圧上昇のリスクが64%低下することも分かった。
しかし、軽度又は中程度の強さで運動した人たちでは、目立った効果はなかったと云っている』
この研究では7分と云っていますが、これはセデンタリーな人たちにやる気を起こさせるのが狙いですから、お腹回りや下半身を早くすっきりしたいのなら、出来るだけしっかりやった方が良いでしょう。このことは他の一流の研究文献も明確に示しています。

食事に関する補足説明
維持カロリーとする中で次の諸点に配慮してください。
脂肪食品を徹底して拒む人がいますが間違いです。
食品に含まれている脂肪のカロリー率よりも脂肪のタイプ(質)が大切です。
具体的に云うと、トランス脂肪酸を含む食品を避け、飽和脂肪酸の多い食品を制限し、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を多く含む食品を選んでください。
ヘルシーな蛋白質を十分に摂ってください。
低炭水化物にする必要はありませんが、出来るだけ複合糖質の食品を優先的に摂ってください。但し、運動後は単純糖質の食品の方がBetterです。
バラエティに富んだ野菜を沢山摂取してください。
カラフルな果物を食べてください。
砂糖や異性化糖が入った炭酸飲料は出来るだけ控え、代わりにお水を飲んでください。
但し、 “冷水を飲むと脂肪燃焼の効果が高まる”と云う話はデタラメです。
サントリー食品が新発売した “脂肪吸収をブロックするペプシコーラ” は科学的に立証されたものではありません。
ジャンクフードは止めてください。
ミネラルやビタミンが不足しないようにしてください。
357.脂肪吸収をブロックするペプシコーラ!?
105冷水を飲むと脂肪燃焼の効果が高まる!?

内容的にちょっと難しいとは思いますが、もし理解できそうだったら読んでおいてください!
・五大栄養素: 「第153回の必須栄養素と必須脂肪酸」
・炭水化物と糖質: 「第141回の炭水化物は太ると言う話は都市伝説」  および 「第143回の炭水化物の欠乏と糖新生/ケトン体」