第426回 食べる順番と組合せダイエット


ダイエットに関して、易しいことから難解なことまで沢山の記事を書いてきました。今回は主に初心者の方を対象に、ダイエットの原点に戻ってお話します。
尚、「ダイエット」という単語については、第1回の「ダイエットとウェイトマネジメント」で詳しく触れましたが、この記事の中では「食餌、食事管理、食事制限」という意味合いで使っています。

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参照記事:Body Recomposition “Introduction to Dieting”(英文)

ダイエット入門
巷間のダイエット本は、減量するにはカロリーを落としてはダメだと語りかけ、読者を巧妙なトリックの世界に誘います。
今回は、減量ダイエットに関連する基本的な概念についてお話したいと思います。

主流のダイエット
“減量するには少食にすること(太るには過食)” が、最も簡単なダイエットの基本的アプローチであることは間違いないでしょう。
1日の摂取量を少なく抑えようと意識的に努力をすることで、カロリーを減らして減量する。
これは魔法でもなく、単に食品のプロポーショニングです。
このアプローチは基本的に欠陥はないですが、常に減量に効く訳でもありません。

この問題を複雑化している根底には、私たちが良い食べ物/悪い食べ物と呼んでいるものが介在しています。殆どの人が、体重や健康またはその他の観点から、この食べ物は良い/あの食べ物は悪いと云う考え方を持っていますが、これは心理学の範疇に入るものです。
一般的に言って、良い食べ物/悪い食べ物という二分法の考え方を提唱する人たちは、実際に食べる量を過剰に強調して、「カロリーは問題ではなくカロリー源(栄養素)である」と声高に叫びます。

標準的な低脂肪ダイエット方法でさえ、“肥満の原因となる故に脂肪は悪い”、“脂肪食を減らすことで体重が減り健康になる” といった考え方に基づいています。
例えば、脂肪の摂取量を1%減らすと、1日当たり体重は1.6 g 減少すると推定されている。
従って、1日で10%減らすと16gの減量となり、2ヶ月のスパンでは約2.5kg(〜5ポンド)の減量に至る。ヒャ~これは凄い!
でも、これはその他の食品を多量に摂取しないという仮定での話であることを忘れちゃいけません。

この考え方は炭水化物を中心に頻繁に展開されます。
シュガーバスターたちは精製糖を、そしてAtkinsダイエット、Protein Powerダイエット、South Beach ダイエットは炭水化物(除く野菜)を目の敵にします。
炭水化物は日々のトータル摂取量の中で大きな比率(50%以上)を占めているので、炭水化物を制限or除去すると、大きなカロリー低減をもたらすことになります。

このようなダイエット方法は典型的に、体重増加に関する人間の生理機能の一側面のみに固着し、"その食べ物は悪い"という理由付けの理論武装に使います。
アンチ脂肪の書籍は、“食事性の脂質は他の栄養素よりも体脂肪として蓄えられやすい”という事実に焦点を置き、アンチ炭水化物の書籍は常に“インスリンレベル”に焦点を当てます。

これらの本の幾つかは、問題となる悪い食品は一般的にカロリーが高く、たくさん食べたい食品であるということを認めている。それは、こういった食品を食べる時には、多くのカロリーを摂り過ぎやすいことを意味します。つまり、これらの食品の摂取を減らすことにより、ダイエッターは一般的に低カロリーとなり体重が減少するのであって、これは魔法ではなく実体は単なるカロリー制限なのです。

他のダイエット本では、少し逆のアプローチとして、大量に特定の食品(通常は野菜や高バルクで高繊維のでんぷん)を食べることを提唱します。
被験者に一日当たり2ポンド(約900g)のジャガイモを割り当てて、“ジャガイモを全て食べ終われば、他の何でも食べても良い” という数年前に行われた研究が思い出されます。
もちろん彼らはポテトを全て食べて、他の食べ物は多く食べず、結局は僅かながらも低カロリーとなり減量しました。これらのダイエットは、“一回の食事” という条件下で、“特定の食品を食べてからなら、他のものは何でも食べて良い” とされています。

食物繊維は奇跡の減量食と叫ばれ、大量の高繊維で嵩張る野菜には同様の効果があるとされています・・・低カロリー食品でお腹を満たすことで、高カロリー食品の摂取を減らして減量するのです。
最近の或るダイエット本は、カロリー計算は不要と云いつつ、澱粉を食物繊維に置き替える(自動的に低カロリーとなる)というトリック手法で摂取カロリーを抑えさせます。
他のベストセラーのダイエット本は、如何にカロリー計算をしないかに紙面を割いてから、複雑な体内システムでの吸収ブロックによる低カロリーダイエットを標榜します。

それから、もう少し手の込んだ “簡単ダイエット” と称して、食品の組み合わせなど複雑なセットルールを展開し、何でも好きなものを食べて良いと語ります。これもトリックであって、ルールをご覧になると、それらは実際的に全く限定されたもののであることが分かります。
例えば、一般的な食品の組み合わせ方法として “脂肪とタンパク質の組み合わせダイエット”がありますが、食事の約半分は脂肪を食べることになっています。

全ての食事で脂肪を食べるダイエットに比べて、こうすることで食べる量を減らせることになります。同様に、殆どの人は純粋な脂肪そのものを味わって食べるのでなく、寧ろドーナツのように砂糖と脂肪を組み合わせて食べるので、炭水化物と脂肪を組み合わせないようにすると、食べ過ぎてしまうものを食べられなくなります。

一日の大半を絶食し(or少量の脂身の少ないタンパク質又は野菜を少量食べて)、一日の終わりにご褒美として豪華な食事をすることを奨めるダイエットがあります。
こういったご褒美的な食事方法でさえ一連のルールがあります・・野菜を最初に食べ、それから脂身の少ないタンパク質、次いででんぷん(或るダイエットではご褒美ダイエットを1時間に制限している)。
このダイエットでは、24時間を通じて食事量を少なくせざるを得なくなっています:少量(or全く食べず)だけ食べて、後で好きな食事をするというやり方は、多く食べられなくする一連のルールが設けられています。
これらのダイエット方法は、ダイエット効果が停滞すると、カロリー計算の必要性を認めることがありますが、主に一つまたは他の食品に焦点の殆どを集中し、その食品の食べる量を減らすことで、トータルの摂取カロリーを余り意識せずに減らすという仮定に基づいています。

上述したような方法を採らなくても、自然体で摂取カロリーを減じる方法があります。
non-athletic/bodybuilderのパーソナルトレーナーをしていますが、定性的な観点から彼らの食事内容を見て、簡単で飽きない提案をしています。例えば、あるクライアントが1日に3~4杯のレギュラー炭酸飲料を飲んでいた。そこで、自動的に多くのカロリーを低減できるダイエットソーダへの切り替えを提案した結果、彼は他に何もせず、食品のカロリー計算もせず、やる気を無くすこともなく、体重を落とすことが出来た。

全脂肪乳から低脂肪乳への切り替えや、精製でんぷんの摂取量を減らすなど、他のアプローチも、往々にして同じようにうまく行くことがあります。
私としては、プロテインの特性を生かしたコンセプトに基づく新しいダイエット本がたくさん登場するのを期待しています。

カロリー計算は常に行う。
食生活に於いて減食や過食が体重に影響することは単純なことです。
健康食品でも過食すると太るし、減食すると痩せます。
トリッキーなダイエット本の著者は、複雑なルールや方法を示しながら、最終的には簡単なカロリー制限を隠しまう・・・これなら食べても良いが、それは食べちゃいけない、これと一緒なら食べても良いがあれとはダメだ、18時以降に食べちゃいけないといった始末です。

知らず知らずのうちに少食にさせるトリックには確かに利点はあります。
それ故に真っ向から反対しませんが、所詮このやり方は “無知は至福”に過ぎません。
このような単純なダイエットで、十分なタンパク質と必須脂肪酸が確保できるのであれば問題はありませんが、実際には多くのダイエットはそうではありません。
残念ながら、このようなアプローチは常に上手く行かないか、或いは、上手く行っても一時的です。
上手く行かない理由は沢山あります。
人体は、意識するかどうかに拘わらず、時間が経つにつれてカロリー摂取量の低減に併せて順応していきます。

例えば、古典的な研究で被験者に高脂肪のヨーグルトを割り当て、低脂肪or通常脂肪のどちらかだと告げました。低脂肪だと思った人々はより多く食べました。脂肪は悪いと云われていた時代に於いては当然のことでした。これが多くの低脂肪食品が市場に出回った理由で、同様のことがノーカロリーの甘味料についても言えます。

心理学的に、“ノーカロリーの食品を食べているから、より高いカロリーのものを多く食べることができる”と考え、最終的に補てんすることで終わります。
或る小食ダイエットの人たちは、最終的には、そのダイエットで許されている他の食品を多食してしまうことが多い。
カロリー摂取が管理されていない低脂肪ダイエットの研究で、初期的な体重の減少は見られたが、その後に他の栄養源を過食することで、トータル摂取カロリーがオーバーし体重が増えたと云うことが報じられています。
最近の低炭水化物ダイエットの研究でも、初期段階で体重は減ったが、多食し始めて体重がプラトーもしくは増量に転じたことが報告されています。
ダメだとされる食べ物さえ避ける限り、望むものは全て食べて良いと言うダイエット本では、特にこれらのことは当てはまります。ダイエット本に書かれていることが、満腹で食べられなくなるまで食べてよいと云う意味であっても、人間という狡猾な生き物は、“望むだけ食べる” から “食べられるまで食べる”に変える方法を見出してしまいます。

体重減少に伴って必要なカロリーも低減しており、摂取カロリーも同様に引き下げなければならないのに、そのことを認識しません。
かつての制限カロリーは、今は維持カロリーになってしまっているのです。

リアルダイエット
シンプルなダイエットは魅力的ではありますが、やがて壁に突き当たってしまうときが訪れます。
本当のダイエットとは、カロリー計算、食品の計量と測定、及び栄養素に注意を払うことで、大別して三つの利点があります。
一つはコントロールです。
何をどのくらい何を食べているかを知ることで、ダイエットプログラム変更に柔軟的に対応できます。
二つ目はカロリー摂取と栄養素をより正確に把握できます。
三つ目が最も重要で、ダイエット計画が座礁に乗り上げた時、レビューしてその原因を突き止めることが出来ます。

マイコメント
原文のReal Dieting(本当のダイエット)の項目はもっと長文なのですが、ポイントのみ紹介しました。もっと詳しく知りたい方のために、次回の “ダイエットの進捗管理” で、私なりに噛み砕いて説明しますので参考にしてください。

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