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zoom RSS 第466回 LTと乳酸クレアランス

<<   作成日時 : 2013/06/07 10:32   >>

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乳酸は単なる疲労物質ではなく、酸化系代謝でエネルギーとして消費されることは、“第94回の乳酸はエネルギー源である” で書いた通りです。
乳酸メカニズムについて未だ十分にご理解されていない方は、併せて次の記事をお読みになると大要が掴めます。

Delano Public School
“10 things you should know about lactic acid”
<和訳>
スポーツサイエンス
“乳酸と上手く付き合う方法”

乳酸と運動生理・生化学
By 八田秀雄氏


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Journal of Applied Physiology
Apr4 2013
Lactate kinetics at the lactate threshold in trained and untrained men
By University of California Berkeley (Mr GA Brooks)

乳酸閾値での乳酸キネティクス(動態変化)

乳酸閾値(LT)の意味を理解し、持久力トレーニングが乳酸の動態変化、即ち、乳酸の出現率(Ra)/処分率(Rd)/代謝クレアランス率(MCR)を増加させると云う仮説を検証するために、トレーニング経験者(T)と未経験者(UT)それぞれ6名を被験者として、LTを誘発するパワー出力で60分間のエクササイズを行わせた。

トレーニング経験者は、乳酸を誘発する出力より10% 低い出力(LTマイナス10%)で二つのエクササイズを追加的に実施した。その内の一つは、LTトライアル中に到達する血中乳酸濃度に一致するよう乳酸クランプ法(LC)を用いた。
LTで、乳酸の出現率(Ra)は、トレーニング未経験者UTグループ(14.6 ± 2.4, P < 0.05)よりトレーニング経験者Tグループ(24.1 ± 2.7)で高かったが、相対的な運動強度がマッチした場合には、Raは、T及びUT両グループ間で差異はなかった(UT-LT vs. T-LT-10%, 67% VO2max)。
LTで、トレーニング経験者Tグループの代謝クレアランス率MCR(62.5 ± 5.0)は、トレーニング未経験者UTグループ(46.5 ± 7.0, P < 0.05)より34%高かった。
加えて、出力を減じるとMCRが有意に46%増加した(LT-10%, 91.5 ± 14.9, P < 0.05)。
相対的な運動強度をマッチ(67% VO2max)させると、トレーニング経験者TグループのMCRはトレーニング未経験者UTグループより97%高くなった(P < 0.05)。
LCトライアル中では、トレーニング経験者TグループのMCRはトレーニング未経験者UTグループより64%高かった(P < 0.05)が、%VO2maxと血中乳酸濃度は同様であった。
本研究の結論として、
1. 乳酸の代謝クレアランス率(MCR)はLT以下で頂点に達する。
2. LTはMCRの限界に一致する
3. 持久性トレーニングは、乳酸の産生・処分・クレアランスの能力を高める。

補足説明
参照記事:Sweat Science by Mr Alex Hutchinson

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このグラフでは両グループ共に、LTでの乳酸濃度は4 mmol/Lとなっているが、トレーニング経験者Tグループは実際には乳酸を60%多く産生し、60%早くクレアー/リユースしている。

So what about training?
Does the fact that maximum lactate clearance occurs below lactate threshold have any significance? Brooks writes:
In that sense, it is interesting to note that in most endurance activities (e.g., cross-country skiing and rowing) athletes predominantly train at exercise intensities below the LT.

和訳すると、
それではトレーニングについて、乳酸クレアランスのピークがLT以下で生じることに意味があるのでしょうか?
”クロスカントリースキーやボートなど殆どの持久性アクティビティで、アスリートは主にLT以下の運動強度でトレーニングをしている“とMr Brookは指摘している。

マイコメント
トレーニング後の乳酸濃度の減少は、“乳酸の産生低下”と“乳酸のクレアランス増加”に因ります。しかし、耐久性トレーニングは乳酸の産生よりもクレアランス(除去)のみに影響すると、C. M. DonovanとG. A. Brooksの両氏は報告しています・・・第194回の乳酸(LT)
そして、本研究では、乳酸の最大クレアランス率はLT以下(LTマイナス10%)で生じると言っており、持久性トレーニングはLT以下で行った方が良いことになります。

他方、VO2 maxが同じでも、LT値が高ければ連続性持久力のパファーマンスが高まると云われています。そして、LT(乳酸閾値)或いは少し高いレベルでトレーニングすると、LTが生じる運動強度が高まるとされており、持久性トレーニングは専らそうすべきだと私は思っていました。

頭の中が混乱してきましたので、原点に戻ってLTの意味を考えてみました。
安静時から運動強度(負荷)を上げていくと、あるポイントから血中乳酸値が上昇を始めますが、このポイントをLT(Lactate Threshold:乳酸性作業閾値)と呼びます。一般的には、血中乳酸濃度が1〜3mmol/Lを指します。安静時の血中乳酸濃度は1mmol/Lですが、LTをLT1(血中乳酸濃度1mmol/L)とLT2(血中乳酸濃度2mmol/L)に二区分することもあります。世界のトップアスリートのLTは70-80% VO2 maxで生じ、トレーニング経験の無い一般の人の場合は50-60% VO2 maxと云われています。
そして、血中乳酸濃度が4mmol/LとなるポイントをOBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation)と呼び、VO2max75%で生じます。
本研究のMr G. A. Brooksが言っているLTとは、上記のグラフから見てもどうやらOBLAを指しているようです。
いやはや、小生の知識レベルでは実に難解です。

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