第534回 運動時の水分補給


現行ガイドラインは持久性アスリートに “発汗量に見合った水分補給” を推奨しているが、間違っているようだ!
運動時に体重の2%の水分が失われると、体温と心拍数が上昇し、パフォーマンスが低下するとされているが、“0%、-2%、‐3%のいずれの状態でも、直腸温を除いて心拍数・皮膚温・自覚的運動強度に差異が無かった”ことが新研究で報告された。

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British Journal of Sports Medicine
20 September 2013
Current hydration guidelines are erroneous: dehydration does not impair exercise performance in the heat

背景:
行政機関の水分補給ガイドラインを支持している実験室ベースの研究では、運動時にからだの水分量が体重の2%以上減少すると、体温と心拍数が上昇し、パフォーマンスが低下することを示している。しかし、これらの研究は、被験者が体水分の正常状態を盲検化せずに、比較的に無風の環境下 (風速<12.9km/時間) で行われている。
一口メモ:気象庁などで使われる風速の単位はm/秒つまり秒速です。

目的:
生態学的に有効な風速条件の暑い中で、単盲検による水分補給状態が、サイクリングタイムトライアルのパフォーマンスに及ぼす影響を調べることである。

方法:
10名のサイクリストを被験者として、2時間の最大下運動(ウォーキングとサイクリング)で喪失体液が体重の3%になる状態にさせてから、生理食塩水を点滴注入して体水分がそれぞれ体重の0%、−2% 、−3%の脱水状態を作りだした。
その上で25kmのタイムトライアルを、無作為化/単盲検で、温度33度、湿度40%、風速32km/時間の環境設定で行った。
完了時間、パワー出力、心拍数、直腸温度、知覚的可変数を測定した。

結果:
直腸温のみ17kmのタイムトライアルを超えてから高くなったが(-3% vs 0%の状態で38.9±0.3°C vs 38.6±0.3°C、P <0.05)、その他の測定項目についての差異は認められなかった。

結論:
トレーニング経験が十分なサイクリストが、生態学的に有効な条件の下で体水分の状態を盲検化し、25キロのサイクリングタイムトライアルを行った時、パフォーマンスや生理学的および知覚変数の差異は生じなかった。これらのデータは、現在の水分補給のガイドラインをサポートする研究データに対峙しています。

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