第541回 高齢化に伴う脚力の低下は持久性運動では防げない


サルコペニア(Sarcopenia)とダイナペニア(Dynapenia)の解釈については複数の意見がありますが、この研究論文では『サルコペニア=加齢による筋肉量減少、ダイナペニア=加齢による筋力減少』と使い分けられています。因みに、ミオペニア(Miopenia)という言葉がありますが、「サルコペニアは加齢が原因の場合のみを指すのに対して、ミオペニアは加齢および癌悪液質などすべての原因による筋肉量と筋力の低下を意味する」と考えるのが一般的です。

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Journal of Strength & Conditioning Research
14 September 2013
“Leg Strength Declines with Advancing Age Despite Habitual Endurance Exercise in Active Older Adults”

<アブストラクト>
加齢に伴う筋量の減少(サルコペニア)と筋力の低下(ダイナペニア)は転倒、骨折、および特別養護老人ホーム入所に貢献する自立性の喪失と関連付けられており、定期的な身体活動はこれらを防止できることが示唆されてきた。
本研究の目的は、習慣的な持久性運動が活発な高齢者の筋量・筋力に及ぼす影響を評価することです。主として持久性運動を行う男性59名(研究開始当時58.6歳±7.3)/女性35名(56.9歳±-8.2)を被験者として、筋力の経年的研究(4.8年)を実施した。
除脂肪体重に変化はなかったが、体脂肪は僅かに増えた(1.0~1.5%)
トレーニング量(週当たりの距離と頻度)は男女ともに減少した。
男女ともに、等尺性膝伸展(5%/年)と膝屈伸力(3.6%/年)に有意な減少が認められた。しかし、膝伸展のコンセントリックトルク/エキセントリックトルクの有意な変化は認められなかった。
我々のデータは、等尺性膝伸展と膝屈曲強度が有意に低下したが、LBMの変化はなかったことを示した。
この研究結果は、筋力トレーニングがフィットネスプログラムの不可欠な構成要素であり、走るだけでは高齢に伴う筋力の低下を防ぐには不十分であることを示す“高齢者への新しい運動ガイドライン”をサポートするものである。

マイコメント:
少し横道に逸れますが、ついでに一言!
御如才ない事とはおもいますが、この研究論文の主旨は、アンダーカロリーの条件下で行ったダイエット目的の有酸素運動ではありません。上記ではLBMは不変だったが脂肪が増えたと云っていますが、これはオーバーカロリーの状態を指します。ですから、ダイエット中に有酸素運動すればLBM(筋量)は減少しないんだと早合点しないでください。逆に、摂取量>消費量の状態でも有酸素運動では筋肥大は期待出来ないばかりか、筋力の低下を防ぐのも難しいと理解してください。

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