第656回 赤肉の鉄分 vs 心血管疾患リスク


解説:
赤肉を頻繁に食べると心血管疾患リスクが増大することが示されています。
第448回 カルニチンは動脈硬化を促進させる” で説明したように、米国クリーブランドクリニックのStanley Hazen博士らの研究では、赤肉やエナジードリンクに含まれるカルニチンが、コレステロールの代謝を阻害しアテローム性動脈硬化を促進するトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)の血中濃度を高めることが示されました。
今般の米国インディアナ大学ブルーミントン校によるメタ解析では、肉にのみ含まれるヘム鉄と致死性の冠動脈性心疾患との強い関連性が見出され、赤肉の摂取と心臓病に相関性があることが新たなエビデンスとして示されました。

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Indiana University Bloomington
Apr23 2014
Study: Iron consumption can increase risk for heart disease

本研究では、ヘム鉄を摂取すると冠状動脈性心臓病のリスクが57%高まるが、野菜や穀物などに含まれる非ヘム鉄ではこのようなリスクは認められなかった。

主筆者のJacob Hunnicutt氏は、「鉄分の摂取量/体内の鉄分貯蔵量と冠動脈性心疾患の関連については、何十年も前から様々な疫学調査がなされ議論されてきたが、研究結果は一致していない」と語っている。

今回の研究は、292,454名を平均10.2年フォローアップした21件の研究データをメタ解析したもので、鉄分をヘム鉄と非ヘム鉄に区分し、冠動脈性心疾患との関連性を調べたことがユニークな点である。
正の相関性はヘム鉄のみで認められた。
このようなヘム鉄と冠動脈性心疾患との正の相関性は、主要源としてのヘム鉄の生物学的利用能とその作用によって説明し得るであろう。

食物に含まれる鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がある。
ヘム鉄は、肉、レバー、魚などの動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は、穀物、野菜、海藻類に多く含まれる。体内への吸収率はヘム鉄の方が高い。ヘム鉄の吸収率は37%で、非ヘム鉄は5%である。それ故、野菜類やサプリの非ヘム鉄に比べて、肉類のヘム鉄は吸収制御し難く吸収され過ぎてしまうものと考えられる。
ヘム鉄は人体に吸収されると、LDL(悪玉コレステロール)の酸化プロセスにおいて触媒として作用し、冠状動脈疾患のリスク因子とされる組織ダメージの炎症を引き起こす。

鉄分は人体で経時的に増加する。
蓄積された鉄分を減少させるには、出血、献血、月経による以外に方法は無い。
コーヒーや紅茶は鉄の吸収を阻害し得る。