第671回 疲労の科学


スクワットやデッドリフトで腕はデッカクなるのか??
正解はご存知ですよね!
それでは、
膝屈伸トレで腕は疲れるのか?
アームクランクの後ではレッグパワーは落ちるのか?

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European Journal of Sport Science
2014 Apr 25:
Knee extension fatigue attenuates repeated force production of the elbow flexors

非局所的な筋肉疲労は手足の一側性の活動で実証されており、片方の手足が疲労するともう片方の手足のパワーに影響します。非局所的な疲労が関係のない筋肉で生じるかどうかについて調査した研究は数少ない。本研究の目的は、膝伸展疲労が肘屈筋力や筋電図(EMG)を変えるかどうか調査することである。

18名の男性を被験者として対照群と介入群(疲労セッション)に無作為に別けた。
先ず血中乳酸をサンプリングし、肘屈筋x3回および膝伸筋x 2回を最大随意筋力(MVC)で行った後で、対照群は座位安静し、介入群は両側性の動的膝伸展運動を5セット行った・・・負荷は利き足MVC相当、セット間レスト1分、オールアウト。
その直後に血中乳酸チェックと一側性膝伸展MVCを行い、1分後に単回一側性肘伸展MVCを実施した。
2分後に12回 x 一側性肘伸展MVC(5秒収縮、10秒レスト)を実施した後で3回目の血中乳酸チェックを行った。
対照群に比べて、介入群の膝伸展力は35%低下し(p<0.001;効果量=1.6)、血中乳酸は18%増加した(p<0.001;効果量=2.8)
肘伸展力は膝伸展運動MVC5セット後に低減した(p 0.05; 効果量=∼0.58;~5%)
筋電図では差異は生じなかった。
肘伸展力は膝伸展疲労後に有意に低下した。
非局所的な疲労は、単回の最大筋力の産生よりも寧ろ反復により強く影響すると言える。

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Medicine & Science in Sports & Exercise
April 2014 - Volume 46 - Issue 4 - p 802–808
Prior Upper Body Exercise Reduces Cycling Work Capacity but Not Critical Power

目的:
この研究では、先に行った上半身運動によって蓄積した代謝物が、引き続き行った自転車エルゴメーターのパワー/持続時間の関係に影響したかどうかを検討した。

方法:
7名の男性を被験者として、“力と時間の関係”のパラメーター(Critical power & W′)を決定するために、増分サイクリング試験(1回)と定電力サイクリング試験(4回)を行った。
エクササイズはサイクリングのみ限界まで(L)、若しくは厳しい強度のアームクランクの後でサイクリングを限界まで(AL)行った。
因みに、CP=Critical Powerとは特定の時間維持可能な最大出力、W′は有限作業能力の事です。

結果:
サイクリング開始時の血漿乳酸(L=1.2 ± 0.1、AL=11.6 ± 2.9mEq・L−1)、水素イオン(L=40.4 ± 1.3、AL=53.1 ± 4.3 mEq・L−1)、濃度はLに比べてALが高かった。
strong ion difference(L=37.8 ± 1.8、AL=32.4 ± 2.0mEq・L−1)と重炭酸塩濃度(L=25.7 ± 0.7、AL=18.3 ± 1.9)はLよりALの方が低かった(P<0.01)
因みに、strong ion difference=SIDは“強イオン差”のことです。

増分エクササイズ中の最大サイクリングパワー(L=358 ±15、AL=332 ± 21W)とVO2max(L=4.31 ± 0.36、AL=3.71 ± 0.44 L•min-1)は、Lに比べてALが低かった(P < 0.05)

定電力サイクリング中の血漿カリウム濃度の増加率(L=0.09 ± 0.08、AL=0.14 ± 0.13 mEq・L−1・min−1)は、Lに比べてALが大きかった(P < 0.05)
運動時間は5 ± 15%短かった(P < 0.01)

CP=Critical Power(L=267 ± 19、AL=264 ± 20W)はLおよびALの有意差は認められなかったが、W′(L=17.3 ± 5.7、AL=11.8 ± 4.2 kJ)はALが低かった(P < 0.01)

結論:
上半身の運動→サイクリング順のケース(AL)でW′が低減したことは、Wの大きさが代謝物の蓄積に部分的に依存していることを示している。

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