第681回 インスリン抵抗性における血糖コントロール(新戦略HIITウォーキング)


『1日当たり30分まとめて運動しなくても、Bite-sized(一口サイズ)ならぬsnack-sized(スナックサイズ)の細切れにして、1日3回食事前に高強度で集中的に行うことで、インスリン抵抗性の人でも血糖コントロールを改善し得る』ことが、ニュージーランドのオタゴ大学の研究者から報告された。

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Diabetologia
May 2014
Exercise snacks’ before meals: a novel strategy to improve glycaemic control in individuals with insulin resistance

目的/仮説:
低ボリューム/高強度負荷の運動(名付けて‘exercise snacks’)をメインの食事(朝食/昼食/夕食)前に行うと、中程度強度の運動を単回で長く連続的に行うよりも、インスリン抵抗性の人たちの血糖コントロールにベターな結果をもたらすのかどうかを調査すること。

方法:
被験者としてインスリン抵抗性の9名(男性2名、女性7名)を募集した。
平均年齢:48歳(18~55歳)
平均BMI: 36kg/m2
心血管疾患および糖尿病の薬物治療はしていない。
食事のタイミング及び内容は3群間で同等となるよう管理した。
研究デザインはクロスオーバー比較試験(交差試験)で、被験者は次の3種類の運動に介入した。

対照群
トレッドミルで連続30分の従来タイプのインクラインウォーキングを夕食前に行った。
運動強度は中程度(HRmax60%)

exercise snacking(ES)群
3セッションに分割で各食事30分前にインターバルウォーキング
高強度ウォーキング1分(HRmax90%)+ スローダウン(レスト)1分 x 6セット
1セッション:トータル12分間

composite exercise snacking(CES)群
各食事30分前にインターバルウォーキング+筋トレを組み合わせたエクササイズ、つまり、「高強度ウォーキング+レスト」 ⇒ 「トレッドミルを離れストレッチングバンド使用して上半身の筋トレmax回数1分+レスト」 ⇒ 「急いでトレッドミルに戻り高強度インターバルウォーキング」を繰り返す。1セッションはトータル12分間
因みに、compositeとは“混成”の意です。

念のため繰り返しますが、対照群は夕食前に1回のみ、ES群およびCES群は朝食/昼食/夕食前に各1回つまり1日3回行った。

結果:
対照群と比較してES群では、朝食後の“食後3時間血糖値”は低減したが(by 1.4 ± 1.5 mmol/l p = 0.02)、昼食後は有為な変化なく(0.4 ± 1.0 mmol/l p = 0.22)、夕食後はより効果的であった(0.7 ± 1.5 mmol/l below対照群; p = 0.04)
亦、ES群の24H平均血糖値は0.7 ± 0.6 mmol/l (p = 0.01)減少し、この低減は24H引き続いた(lower by 0.6 ± 0.4 mmol/l vs 対照群, relative to their baselines; p = 0.01)
CES群の血糖コントロールの効果はES群と同じであった(p > 0.05)

結論/解釈:
メインの食事前の短時間で高強度の' exercise snacks’は時間効率的であり、インスリン抵抗性を有する個体の血糖コントロールを改善するための効果的なアプローチである。

補足説明
参照記事:ニューヨークタイムズScience Daily
運動はインスリン様の作用を有しているので、どんな種類の運動でも運動しないより血糖コントロールにはbetterであることは言うまでもありません。
しかし、3群間の比較では、ES群およびCES群の方が対照群より効果的であった:食後3時間の血糖値は、朝食後はベースライン(=運動なし)に比較して17%減、夕食後は対照群に比較して13%減だった。更に、ES群およびCES群では、運動後24H血糖値を低い状態で維持できた。
主筆者のCotter教授は、本件はインスリン抵抗性の個体における血糖コントロールを調べたものであり、脂肪減少の効果については明らかではないとコメントしています。

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