第696回 Sugarは体重増加に関係なく心血管疾患に関与する


Sugarとは何か誤解している人たちが多いです!
しっかり読んでください!
ニュージーランド大学の人間栄養学部Jim Mann教授とDr Lisa Te Morengaが率いる研究チームは、sugarが心臓病のリスク因子に直接的な影響を及ぼし、体重増加に関係なく血圧に影響することを発見しました。

画像


解説:
1980年に8億8500万人であった過体重(BMI25以上30未満)/肥満者(BMI30以上)の数は、2013年には21億人にまで増加しているという事実が系統的解析により明らかとなり、2014年5月29日付けで “The lancet” に報告されています。

一方、世界保健機構(WHO)の草稿文書によれば、“現行のsugarの摂取推奨量は1日の総摂取カロリーの10%以下となっていますが、これを5%以下にする”ことが検討されています。 Sugarの摂取量を減らすことで、心臓疾患、肥満、糖尿病、虫歯などのリスクが減少することが期待されています。因みに、1日分の摂取カロリーの5%は、約25gのsugar(標準BMIの成人ではティースプーンに6杯ほど)に相当します。また、スプーン一杯のケチャップには約4g、炭酸飲料には約40gのsugarが含まれているとしています。

Sugarを辞書で調べると、砂糖(table sugar)、糖、糖分、蔗糖、糖質など色々な意味が書かれており困惑しますが、此処で言われているsugarとはfree sugarを指します。
free sugar(遊離糖)とは、WHO及び米国食糧農業機関(FAO)の定義によると、「製造元、料理人、或いは消費者が食品に添加する総ての単糖類と二糖類、及び蜂蜜、シロップ、果物ジュース、果実濃縮物に天然に存在する糖類」を意味します。

“糖質” の分類方法については各資料でバラツキがありますが、、アサヒビールHPをベースにして分かり易く纏めると下表の通りとなります。

画像


下記の研究論文に記載されているsugarも砂糖ではなく、free sugar(遊離糖)を意味しています。

Science Daily
May 15, 2014
Sugar implicated in cardiovascular disease risk independent of weight gain

American Journal of Clinical Nutrition
July 2014 ajcn.081521
Dietary sugars and cardiometabolic risk: systematic review and meta-analyses of randomized controlled trials of the effects on blood pressure and lipids

研究チームは、sugar摂取量の違いが心血管疾患の重要リスク要因とされる“血圧と脂質(血中脂肪/コレステロール)”に及ぼす影響を比較した研究のレビューとメタ解析を行った。

1965-2013年にOVID MEDLINE、EMBASE、SCOPUS、CINAHL 、Web of Scienceに掲載された論文の中で、試験期間が2週間以上で、且つ、被験者が「sugarとnon-sugar以外の炭水化物の量」だけが異なる食事を摂取した結果を比較し、更に、これらの食事が脂質と血圧に及ぼす影響を測定している食事介入研究のシステマティック検索を行った。
その結果、37試験が脂質に対する影響を報告しており、12試験が血圧に対する影響に関する研究であった。ランダム効果モデルによる逆分散法を用いてデータをプールした。

試験結果
脂質プロファイルは、sugar低摂取群に比べて高摂取群で有意に高まった。
・中性脂肪濃度:平均差0.11 mmol/L; 95% CI: 0.07~0.15 mmol/L; P < 0.0001
・総コレステロール:平均差:0.16 mmol/L; 95% CI: 0.10, 0.24 mmol/L; P < 0.0001
・LDLコレステロール:平均差:0.12 mmol/L; 95% CI: 0.05, 0.19 mmol/L; P = 0.0001
・HDLコレステロール:平均差:0.02 mmol/L; 95% CI: 0.00, 0.03 mmol/L; P = 0.03)

Sugarの血圧への影響は、試験期間≥8週間で最も大きく、収縮期血圧(6.9mm Hg;95%信頼区間3.4~10.3; P < 0.001)、拡張期血圧(5.6mm Hg; (95%信頼区間 2.5~8.8; P=0.0005)であった。

Dr Lisa Te Morengaは次のように語っている:

Sugarが、体重に及ぼすsugarの影響から独立して、心血管リスクに関係していることが、本研究で確認された。血圧と脂質に対するsugarの影響は比較的modestではあるが、今回の知見は心血管疾患の世界的規模での負担軽減対策の一つとして、食事中のsugar添加を減らすという公衆衛生勧告を支持するものである。

先行研究では、炭水化物やエネルギーの総量が同じであれば、sugarの少ない食事と比較して、sugarの多い食事が体重を増えやすくさせる云った特別な代謝効果は見られないとされていた。
しかし、カロリー管理されたこれらの研究を解析した結果、脂質プロファイルと血圧に対するsugarの有意な影響が明らかになった。このことは、われわれの体ではsugarは他種類の炭水化物とは異なる方法で処理されていることを示している。

また、本研究の選択基準を満たした大部分の研究が、食品業界からの資金援助によるものであり、これら研究によってsugarと心血管代謝リスク要因に正の関連があることが示されたことに驚いている。このような試験でsugarと健康に有意な関連がある事が発見される事は少ないからである。
食品/sugar業界の資金援助による研究を除外してサブグループ解析すると、sugarが脂質や血圧に与える影響がより大きくなることが分かった。

国や国際機関が安全なsugar摂取に関する勧告を考えている折から、本研究のオンラインでの発表は非常にタイムリーであろう。

Sugarが健康に及ぼす様々な効果を見るには、実践的/臨床的に意味のある長期的な更なる研究が依然として必要だが、sugarは自由に食べてOKと主張し続ける食品業界の立場は益々難しくなりつつある。

sugarの過剰摂取は心血管疾患など多くの実害を懸念するアンチ派の研究者の主張は、之までは動物を用いた研究など科学的根拠の点で十分ではなかった。

関連記事
第274回 砂糖は有害
第320回 砂糖入り飲料は肥満の遺伝的リスクを大きくする
第273回 高果糖コーンシロップの危険性
第640回 ダイエット飲料が寿命縮める可能性も