第791回 運動強度/運動時間 vs 免疫反応


運動は免疫力を高めますが、やり過ぎは逆効果と言われています。
免疫反応の低下は運動強度 or 運動時間どちらに影響されるのだろうか?
試験管や動物による先行研究は山ほどありますが、今回の論文はin vitro(ヒトの生体)での初めての研究報告です。

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結論:
中強度での長時間(120分)運動は一時的に免疫機能の低下を引き起こすが、高強度/中強度での短時間(30分)運動では免疫機能は低下しない。


Medicine & Science in Sports & Exercise:
Post Acceptance: November 6, 2014
Exercise Intensity and Duration Effects on In Vivo Immunity.

目的:
新しい抗原ジフェニルシクロプロペノン(DPCP)による接触皮膚過敏症(CHS)の実験的技法を用いて、運動負荷(ストレス)の強度/時間がヒトでの生体内免疫の誘引に及ぼす影響を調べた。

方法:
健康な男性64名を次の4グループに振り分けた。
・30MI群:VO2Max60%で30分のランニング
・30HI群:VO2Max80%で30分のランニング
・120MI群:VO2Max60%で120分のランニング
・対照群:座って休息

これら強度/時間のランニングを20分行った後で被験者の腰背部にDPCP感作量をパッチ投与し、4週間後に皮膚反応(上腕内側の皮膚の発赤や肥厚)を測定することで免疫反応の強さを定量化した。運動前、運動終了時、運動後1時間、及び対照群の循環エピネフリン、ノルエピネフリンおよびコルチゾルを測定した。次に、120MI群への皮膚過敏反応の減少が局所炎症またはT細胞媒介性プロセスによるものかどうかを良く理解するために、クロスオーバーデザインで120MI群と対照群の健康な男性11名への刺激性クロトン油投与に対する皮膚反応を調べた。

結果:
抗原DPCPによる免疫誘引は120MIによって損なわれた(skin-fold肥厚 -67% vs 対照群; P<0.05)。しかし、30MIと30HIは、循環カテコラミン亢進(30HI vs 運動前: P<0.01)および30HI運動後の循環コルチゾルの増加にもかかわらず、免疫誘引に影響を及ぼさなかった(vs 対照群: P<0.01)。クロトン油による皮膚刺激反応への120MIの影響はなかった。