第794回 低強度身体活動は思春期女子の脂質過多症と相関する


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長時間のTV視聴や座位時間など、ごく低強度の活動の持続が寿命や脂質・糖代謝異常と云ったヒトの健康事象に影響を及ぼすことが、近年になって相次いで報告されてきた。主に座位姿勢、あるいは横たわった姿勢で行われる活動として特徴づけられる様々な行動はSedentary behavior (SB)と呼ばれ、運動疫学・身体運動科学の注目を浴びる事象となっている。近年新たに提案されたSBの定義に従って、一定の活動強度を下回る活動をSBと見做すことで、加速度計を用いた客観的な測定が疫学的研究に於いて推奨されるようになっている・・・前向きコホート調査に基づいたSedentary behaviorに関する疫学研究 by 人間環境学府

この様な背景下での英国Limerick大学Dowd KP et al.による研究論文を紹介します。

Medicine & Science in Sports & Exercise:
December 2014 - Volume 46 - Issue 12 - p 2295–2300
Light-Intensity Physical Activity Is Associated with Adiposity in Adolescent Females

イントロ:
Sedentary behavior (SB)の研究は、座位/横臥時間(SLT)と軽度の身体活動(LIPA)を識別するために加速度計のしきい値に依存してきた。このような方法では、座位/横臥時間(SLT)、立居時間(StT)、および軽度の身体活動(LIPA)を誤分類する可能性がある。本研究では思春期の女性を被験者として、SB直接測定、身体活動(PA)、および脂肪過多症の関連性を調べた。

方法:

被験者
平均年齢15.7歳の思春期の女子195名
BMI中央値21.7;四分位範囲5.2
4ヶ所の皮膚を摘んで計った皮下脂肪量(中央値62.0mm;四分位範囲37.1mm)

加速度計activPALを7日間装着してもらった。
座位/横臥行動、座位/横臥行動の中断、連続座位/横臥行動(30分未満および30分以上)をactivPALアウトプットで決定した。
2997カウント/15秒のしきい値を中高強度の身体活動と決めた。
全ての残り時間は低強度の身体活動(LIPA)として定量化した。
混合線形回帰モデルでPA変数、SB変数、及び肥満との関連を調べた。

結果:
参加者の1日覚醒時間における座位/横臥行動に費やす時間は65.3%、立居23%、低強度身体活動5.6%、中高強度身体活動は6.1%であった。

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立居を除いた5.6%の低強度身体活動が、BMI(β = −4.38, P = 0.0006)と指で測った体脂肪量(β = −4.05, P = 0.006)に有意な影響を及ぼすことが同定された。座位/横臥行動の中断もBMI(β = −0.30, P = 0.04)に有意な影響を及ぼすことが観察された。
行動測定と脂肪過多症との間にその他の関連性は見られなかった。

結論:
この実験サンプルでは年齢に関係なく、低強度の身体活動(除く立居)を増やすこと、或いは、座位/横臥行動を中断することで脂肪過多症は逆相関性を示した。
座位/横臥行動時間を中断することや低強度の身体活動を増やすことで、思春期の女子の脂肪過多症の増加を予防し得るかどうかは介入試験が必要である。

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