第829回 内臓脂肪は骨密度と筋量に悪影響を及ぼす


肥満者は重たい体を支えるためにより多くの筋肉と骨密度が必要です。故に、体脂肪の増加に伴い筋量と骨密度は増えるものと広く考えられてきましたが、米国ミシガン大学の研究者は従来の概念を否定し、BMIと皮下脂肪が増えれば骨や筋肉の密度が低減すること、そしてこの関係は内臓脂肪でいっそう顕著であること」を発表しました。

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American Journal of Clinical Nutrition
February 2015 vol. 101 no. 2 337-343
Visceral adiposity is negatively associated with bone density and muscle attenuation

背景:
異所性脂肪の蓄積は、BMI増と心血管代謝疾患を結びつける特質の属性である。
過剰な内臓脂肪の滞積が肥満をもたらすことを確認するエビデンスは十分ではあるが、脂肪パーティショニング変容/局部の筋肉/骨質の相互関係については十分に理解されていない。


目的:
大規模で異種の成人コホートを対象として、肥満/脊椎筋肉/骨質の関連を調べた。

デザイン:
Michigan Health System大学で検査した年齢18~64.9歳の被験者の胸部又は腹部CTスキャン8833例を同定した。
椎骨レベルT7~L5での海綿骨密度、皮質骨密度、内臓脂肪の領域、および皮下脂肪組織(SAT)の領域を測定した。腰筋減衰(筋肉内脂肪浸潤の指標)はL4レベルで測定した。

結果:
筋肉の減衰だけでなく海綿骨密度と皮質骨密度は、BMI/皮下脂肪/内臓脂肪と負の相関を示した。 BMIと腰筋の減衰の相関は-0.321、BMIと皮質骨密度は-0.250、BMIと海綿骨密度は-0.143だった(P <0.001)
然し、内臓脂肪と筋肉減衰の相関は、内臓脂肪と低骨密度よりも強かった。
内臓脂肪と腰筋/皮質骨/海綿骨の骨密度はそれぞれ-0.460/-0.407/-0.434であった(P < 0.001)
年齢、性別、およびBMIを調整後も、内臓脂肪/筋肉の減衰/骨密度の間の部分的相関はそれぞれ--0.250/-0.119/-0.216で有意な儘であった(P <0.001)

結論:
体重増が骨質の向上と関連するという従来の報告に反して、我々のデータはBMI/筋肉/骨密度には有意な負の相関があることを示しており、これらの組織へ脂肪が浸潤していることを示唆している。さらに重要なことは、皮下脂肪と骨/筋肉の密度の低下との間の相関は、年齢、性別、BMIを調整後も統計的に有意の侭であった。