第849回 商業ベースのダイエットプログラムの有効性?


色々なダイエット法がまるで泡沫のように現れてはまた消えていく。臨床医が肥満患者へ減量アドバイスできる一助として、米国Johns Hopkins大学の研究チームが、糖質制限ダイエットの原型であるアトキンスを含む総ての人気ダイエットの有効性に関する4,200件の先行研究をレビューしましたが、長期的かつ信頼性の高い科学的エビデンスは殆ど無く、そんな中で奨めるとすれば「ウェイト・ウォッチャー」と「ジェニー・クレイグ」の二つだけだそうです。


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Annals of Internal Medicine
2015 Apr 7
Efficacy of commercial weight-loss programs: an updated systematic review

背景:
独自性を売り物にした減量プログラムが肥満治療の選択肢として人気を博しているが、その有効性は明らかではない。

目的:
過体重や肥満の成人を対象として、商業ベースまたは特定の減量プログラムの減量効果、遵守性、及び有害性を比較した。対照群は、第三者による介入なしの自己管理、健康情報に関する印刷物、或いは健康教育カリキュラムやカウンセリングセッションによる減量とした。

データソース:
2014年11月までにMEDLINE及びCochraneに掲載されたシステマティックレビューのデータベース

研究の選択:
少なくとも期間12週間の無作為化比較試験(RCT);有害性については少なくとも期間12ヶ月の前向き症例集積研究

データ抽出:
2名のレビューアーが研究デザイン、人口特性、介入、及び体重変化の平均%を抽出しバイアスのリスクを評価した。

データ合成:
トータル45件の研究論文の内、39件はRCTであった。
12ヶ月が経過した時点時で、Weight Watchers群は対照群(教育)に比べて減量幅は少なくとも2.6%大きく、Jenny Craig群は対照群(教育/カウンセリング)に比べて減量幅は少なくとも4.9%大きかった。Nutrisystem群では3ヶ月が経過した時点では対照群(教育/カウンセリング)より少なくとも3.8%大きな減量が認められたが、長期の調査は行われていなかった。

超低カロリー減量プログラムのHealth Management Resources、Medifast、及びOPTIFASTでは対照群(カウンセリング)よりも少なくとも4.0%大きい短期的な体重減少がもたらされたが、6ヵ月以降はその効果は幾分薄らいだ。アトキンス群は対照群(カウンセリング)より12ヶ月の時点で0.1%~2.9%大きい体重減少が認められた。SlimFast群の結果は錯綜していた。これら全てのプログラムに対する遵守性や有害性、及びその他の商業ベースプログラムに対する体重アウトカムを評価するにはエビデンスが限られていることが分かった。

制限事項:
多くの試験が短期(<12ヶ月)で、減少が高く、盲検化を欠いていた。

結論:
臨床医は、過体重または肥満の患者にWeight Watchers減量プログラム 又は Jenny Craig減量プログラムは紹介できるであろう。Nutrisystemなどその他の人気プログラムは有望な減量結果を示しているが、長期的なアウトカムを評価するにはさらなる研究が必要である。


解説(補足説明)
4,200件の文献を調べた結果、全国規模で32件の主要な商業ベースの減量プログラムがあったが、無作為化対照試験で厳密に研究されているのは11件のみだった
これら11件のプログラムを対象とする研究は39件であり、プログラムの内訳としては高度集中型プログラム5件(Weight Watchers /Jenny Craig/NutriSystem)、超低カロリー置き換えプログラム3件(HMR/Medifast/OPTIFAST)、自律的プログラム5件(Atkins/SlimFast及びインターネットベースのBiggest Loser Club,/eDiets / Lose It!)が含まれる。
12か月以上にわたる研究は殆ど無く、また往々にして何人のダイエッターが長期にわたって持続的に減量していたかは不明確であった。
これら商業的減量プログラムの効果は全体的に見てmodest(僅か)で、非参加の対照群と比べて体重の減少は3~5%であった。

その中で対照群との比較で1年後の減量が大きかった所謂ゴールドスタンダード(標準基準/参照基準)と呼ばれる精度の高いデータにサポートされた商業的減量プログラムは上述の通りたったの2件(Weight Watchers/ Jenny Craig)だった。

ウェイト・ウォッチャー(Weight Watchers)とは、歌手で女優のジェニファーハドソンが36kgの減量に成功したというダイエット法で、個人の体型に合わせて1日に消費できるポイントを算出し、そのポイントの範囲内で食事を済ませることでダイエットにつなげるという仕組みです。特徴は「カロリー制限、飽和脂肪酸の抑制、及び週1回のミーティング」です。

ジェニー・クレイグ(Jenny Craig)とはマライア・キャリーが30キロの減量に成功したというダイエット法で、朝食・昼食・夕食それぞれ冷凍パックされたものを各人に設定されたポイントに基づいて食べるというもので、栄養バランスは米国農務省がまとめた食事ガイドラインを反映させた、炭水化物50~60%/タンパク質20~25%/脂質20~25%が含まれたものです

いずれもカロリー制限のバリエーションのひとつですが、今回のレビューで明らかにされたようにセンセーショナルな宣伝文句とは裏腹に、減量成果は教育カリキュラムやカウンセリングによる通常ダイエットと比べて、それぞれ2.6%/4.9%大きいだけだった。1年間でこの程度では大した差ではないと言っても過言ではないだろう。業的減量プログラムのコストについては、ウェブベースの無料アプリもあるが、置き換え食品は1ヶ月当りUS$570~682掛かったそうだ。

因みに、Nutrisystemの売りは、ダイエット食のセットと専門家によるアドバイスである。
女性用プランは1日約1200カロリー、男性用プランは1日約1500カロリーに設定されており、1週間に約0.45kg~0.90kgの減量を目安としている。また、専門家チームによるサポートだけでなく、ダイエッター同士が情報を交換し励ましあうオンライン・コミュニティが構築されていることがセールスポイントになっている。

Zone、Ornish、LEARN、South Beach、Volumetrics、Rosemary Conley各ダイエットについては 関連記事の“第749回 人気ダイエットの減量効果を比較した”の末尾で簡単に説明しているので参照してください。

参照記事
Science Daily
April 6, 2015
Few commercial weight-loss programs show reliable evidence of effectiveness: Most don't work

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