第868回 トランス脂肪酸の全廃を決定(米国)


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米食品医薬品局(FDA)は、トランス脂肪酸(IP-TFA)の主要なソースである水素添加油脂(PHOs)の安全性を否定する暫定的な決定を2013年に発表していましたが、その後の広範囲にわたる研究レビューと科学専門委員会の知見に基づいて、PHOs/IP-TFAは安全(generally recognized as safe:GRAS)ではないとの最終判断を下し、2015年6月16日付けで食品加工メーカーなどに3年の猶予期間以内に全廃するように指示したことを発表しました。

米国では2006年以降、トランス脂肪酸を食品の栄養表示ラベルに記載するよう義務付けられており、2003年から2012年にかけてトランス脂肪酸の消費量が78%減少しました。
しかし、米国医学研究所(IOM)は可能な限り減らすよう推奨しており、更なる削減が課題となっていました。
今回の決定で、食品メーカーには製造工程を変更するための対応期間として3年間が与えられていますが、それ以降はFDAに申請して認可された場合を除いて、食品にPHOs/IP-TFAを使うことは禁止になります。

今回の決定を受け、「この公衆衛生上の大きな勝利は25年近い科学的研究と政策提言によってもたらされた」と米国公衆衛生協会の最高経営責任者(ED)Georges Benjaminhaは述べています。

米国心臓協会のCEO Nancy Brownは、「これは米国民の健康における歴史的勝利である」とコメントしています。

「食品業界からトランス脂肪酸が消え去れば、年間で心筋梗塞の発症20,000件/心筋梗塞による死亡7,000件は予防できるのではないだろうか」とニューヨークLenox Hill Hospitalの心臓専門医Dr. Suzanne Steinbaumは述べています。

米国公衆衛生協会は、トランス脂肪酸に安全なレベルは無いと述べています。

因みに、 “内科開業医のお勉強日記”の牧瀬医師が見つけてくださいましたが、科学専門委員会は“there is no threshold intake level for IP-TFA that would not increase an individual's risk of CHD or adverse effects on risk factors for CHD”、つまり、“トランス脂肪酸をどの程度までなら摂取しても冠状動脈性心疾患リスクを高めないと云う安全なレベル(閾値)は存在しない“ と報告しています・・・Final Determination Regarding Partially Hydrogenated Oils


それでは日本ではどうなっているのでしょう?

遺憾ながら国民の健康は二の次です。
TBS系(JNN)によれば、内閣府の食品安全委員会は、「日本人の摂取量は少なく、通常の食生活では健康への影響は少ない」「今のところ評価を見直すことは考えにくい」とのことです。本当に不思議の国ニッポンですね!

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米「トランス脂肪酸」全廃へ、日本での影響は?

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