第875回 廃用性筋委縮は有酸素トレーニングで回復可能か?


論文タイトル:若者及び高齢の男性の脚を2週間動かぬように固定した後で、有酸素運動を6週間行っても、脚のLBMと有酸素能は回復するが筋力は完全に元の状態には戻らない。

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Journal of Rehabilitation Medicine
Six weeks’ aerobic retraining after two weeks’ immobilization restores leg lean mass and aerobic capacity but does not fully rehabilitate leg strength in young and older men

目的:
若者及び高齢の男性を対象として、暫く脚を動かぬように固定した後でリハビリとして有酸素トレーングを行うと、脚の筋力/有酸素能力/LBM/筋繊維タイプ組成/毛細血管にどのように影響するか調べることである。

被験者およびデザイン:
若い男性17名(年齢23±1歳)及び高齢の男性15名(年齢68±1歳)を被験者として、彼らの片脚を2週間動かぬように固定した後で、サイクリングで6週間の持久性トレーニングをやってもらった。

方法:
最大随意筋力、作業能力(Wmax)、およびLBMを二重エネルギーX線吸収で、脚固定後リハビリ3週間後および6週間後に測定した。筋生検で筋繊維の種類、筋繊維の面積及び毛細血管を評価した。

結果:
脚を2週間固定させることで、最大随意筋力は若者–28 ± 6%/高齢者-23 ± 3%、作業能力は–13 ± 5%/–9 ± 4%、LBMは若者のみ–485 ± 105gの減少が認められた。
6週間のリハビリ有酸素トレーニングで最大随意筋力は34 ± 8%/17 ± 6%、有酸素能(Wmax)は33 ± 5% /20 ± 5%、LBMは若者のみで669 ± 69gそれぞれ固定後の値から増加した。

結論:
脚を短期的に動かぬように固定すると、筋力および作業能力に著しく影響した。6週間の有酸素トレーニングによるリハビリは有酸素能の回復に有効だが、筋力は元の状態には戻らなかった。LBMは若い男性のみで回復が見られた。

<解説/抜粋>
Science Daily
June26 2015
Inactivity reduces people's muscle strength

運動の励行を含めて身体的に活発なライフスタイルを続けることが大切なのは良く分かっています。しかし、損傷後、疾病期間中、或いは単に休暇中にリラックスすることでアクティブから非アクティブになった時、筋力と筋量の減少はいかに速く進行するのだろうか?
コペンハーゲン大学の研究者は、若い男性および高齢の男性の片脚にパッドを装着して動けぬように固定させて、2週間後に筋力/筋量はどのように変容するのか調べた。

その結果、
筋力は若者で約1/3低下(40~50歳の老化に相当)、高齢者では1/4低下した。
筋量の減少は若者で平均485g減、高齢者で約250g減だった。

加齢に伴い筋量は減少するが、このように著しい差異が生じた理由は、"The more muscle mass you have, the more you'll lose. Which means that if you're fit and become injured, you'll most likely lose more muscle mass than someone who is unfit, over the same period of time“、要訳すると、筋量が多い人ほど筋量減少は大きい。つまり、若者と高齢者に関してだけでなく、鍛えてデッカイ人の方が貧弱な人より筋量の減少は大きいということだ。

サイクリングによるトレーニング週3~4回x6週間で筋量と有酸素能は回復したが、筋力は元の状態に戻らなかった。筋力の回復にはウェイトトレーニングが必要である。また失った筋量を取り戻すには3倍の期間を要しているが、それは非アクティブ期間中に1日24時間まったく何もしていないという理由に因るのではあるまいかと研究者は述べています。

マイコメント
筋量の減少の主原因は筋タンパク合成の減少/筋タンパク異化の昂進で、レジスタンストレーニングと栄養供給がキーとなることは御貴承の通りです。本研究では栄養摂取の設定はどうなっているのだろうか、また有酸素運動を行っていますが運動強度はVO2maxの何%なのだろうかなど、しっくりと理解できない点がその他にもありますが、アブストラクトとScience Dailyの解説だけでは良く分からないので具体的なコメントは差し控えたいと思います。

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追記:2017/5/21

2017年5月21日付け “委縮した筋量/筋力は有酸素運動で回復できる?” でフルテキストの詳細を紹介しています。