第876回 妊娠中の運動を恐れるな!

糖尿病の治療の基本は、生活習慣改善のための食事療法および運動療法、並びに薬物療法といわれています。今回は、妊娠糖尿病の予防と運動効果について、最新の研究論文を二つ紹介します。いずれも健康な妊婦での運動の有効性が示されています。推奨を確立するには更なる研究が必要ですが、これらの結果は妊娠中の運動に対する推奨事項に影響を与え得るだろうと見られています。
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Medicine & Science in Sports & Exercise:
July 2015 - Volume 47 - Issue 7 - p 1328–1333
Exercise Is Associated with a Reduction in Gestational Diabetes Mellitus

目的:
本研究の目的は、陸上/水中運動(有酸素および筋コンディショニング)が妊娠糖尿病に有効かどうかを評価することである。

方法:
妊娠禁忌のないスペインの妊婦342名(年齢33.24 ± 4.3歳)を対象に無作為化比較試験を行った。介入群は陸上運動60分と水中運動50分を週3回行い、対照群156名は通常ケアを受けた。

結果:
妊娠糖尿病の罹患率は、リスク推定値は有意(オッズ比 = 0.103; 95%信頼区間 0.013–0.803)ではあるが、介入群で減少した(介入群, 1%, n = 1, vs 対照群, 8.8%, n = 13 (χ21 = 6.84, P = 0.009))

結論:妊娠中の運動プログラムは耐糖能を維持することにより、妊娠糖尿病の罹患率を減少させた。


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International Journal of Obstetrics & Gynaecology
Jun3 2015
Effectiveness of physical activity interventions on preventing gestational diabetes mellitus and excessive maternal weight gain: a meta-analysis

背景:
妊娠による生理的変化が日々の身体活動に悪影響を与えることは一般的に分かっていることです。

目標:
本研究の目的は、母体の過度な体重増加や妊娠糖尿病を防ぐために、妊娠中の運動介入の有効性を評価するための行われた無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を実施することです。

検索方法:
キーワードを用いてCochrane Library Plus, Science Direct, EMBASE, PubMed, Web of Science, ClinicalTrials.govの6つのデータベースを検索した。

選択基準:
座りがち又は身体活動レベルが低い健康な妊婦を対象とした無作為化比較試験を選択しました。

データ収集と分析:
二人のレビューアが別々にデータを抽出し研究の質を評価した。検索4,225件の記事のうち、13件のRCT(妊婦2,873名)が選択基準を満たした。プールされた相対リスクまたは加重平均差は、ランダム効果モデルを用いて計算した。

主な結果:
妊娠中の運動は、総体的に妊娠糖尿病リスクを減少させた(相対危険度=0.69; P = 0.009)
妊娠中を通して行った場合は一層の効果が認められた(相対危険度=0.64; P = 0.038)
更に、母体の体重増加リスクも減少した(加重平均差= −1.14 kg; 95%信頼区間 −1.50 ~ −0.78; P < 0.001)
重篤な有害作用は報告されなかった。

結論:
妊娠中の適度な運動プログラムは妊娠糖尿病リスクの減少および母体の体重増加の減少をもたらし、母親と赤ちゃんには安全であると思料される。しかし、推奨を確たるものにするには更なる研究を必要とする。