第890回 ビジネス vs ダイエット


ダイエットの成功率を高めるにはどうしたら良いのでしょうか?
Bizとダイエットを引っかけて思いつくが儘に書き綴ってみました。


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Bizとダイエットいずれもいばらの道!

成功者へ憧れて、技術があるから、自由に生きたい、もっと稼ぎたいなど、起業するには様々な動機や理由があります。しかし、起業しても成功するのはほんの一握りの人たちだけで、起業後1年で60%、5年目で85%、10年目では94%が倒産の憂き目に遭っているのが実情だそうです。

他方、2015年7月16日付けAmerican Journal of Public Healthの “Probability of an Obese Person Attaining Normal Body Weight: Cohort Study Using Electronic Health Records” によると、 20歳以上の肥満英国人(男性76,704名 女性99,791名)を最大9年間フォローアップした研究では、標準体重になったのは男性1,283名(1.67%)及び女性2,245名(2.25%)のみ、そのうち単純肥満者(BMI:30.0~34.9)で標準体重に達したのは男性210名に1人/女性124名に1人、病的肥満者(BMI:40.0~44.9)では男性1,290名に1人/女性677名に1人、さらに病的肥満者で減量5%を達成したのは男性8名に1人/女性7名に1人だったそうです。


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下町の駄菓子屋のおばあちゃんは、チマチマながらも経験則によるどんぶり勘定で、巧く商っています。
しかし、グローバル化/IT化が進んだ現代社会で、もっと大きなBiz展開をしたい、売り上げを伸ばしたい、利益率をもっと上げたいと望むなら、しっかりしたFeasible Studyや事業計画に基づいた取り組みが不可欠です。


PDCA理論
企業活動をPlan(計画) → Do(実行) → Check(レビュー) → Action(改善)という観点から管理するフレームワークをPDCAサイクルと言います。
これはダイエットにも共通して言えることです。

つまり、
1. 先ずは現状分析をした上で具体的な行動計画を策定する。
2. 数値化された諸施策を実行に移す。
3. 区切りで成果をレビューし必要に応じて修正を加える
4. 一連のサイクルが終わったら、反省点を踏まえた再計画に基づいて新たなPDCAサイクルを進める。


現状認識
警察官僚OB、NTTグループ企業、商社の共同出資による大手JV企業内での内輪話です。
部長・本部長クラスの講習会で、“企業の目的は何か?”という講師の問いに対して、三者三様の意外な回答が出てきました。
警察関係者(元署長クラス): 一にも二にも社会貢献!
NTT関係者(技術系): 一に社会貢献、二に利益!
最大手商社: 一にも二にも利益追求、三に社会貢献!

企業市民として、地域社会から信頼されるような存在になるべく、地域社会への貢献を視野に入れた展開が望まれます。もちろん企業体力の範囲内でよい。しかし、過当競争の中で企業は業績を伸ばすのに躍起となり、特にダイエット/美容/健康食品関連の業界では、社会貢献などは一切ないがしろにされて、薬事法違反すれすれの扇情的な宣伝文句で、ただ消費者に売りつけようとする悪質なケースが非常に目立ちます。而も、ダイエット業者のコマーシャルや視聴率を命題とするTV番組に出演して、恥ずかしげも無く“Bro-Science/Bro-physiology”を語る医師が大勢いらっしゃる。
こういう医師たちに問うてみたい・・・あなた方の理念は何ですかと!

医者ゆえに医学については勿論プロですが、応用生理学や生化学に必ずしも精通している訳ではありません。総てを知ったかぶりをして美容目的を含めた一般的ダイエットにまで口出しするのは如何なものでしょうね。
例えば、糖質制限を推奨する某医師が言っているように、肥満から標準体重に落とせることは、決してウソでも何でもないでしょう。しかし、ダイエッターの多くが経験したこととは思いますが、食事管理だけで標準体重に減量したくらいで、下腹や二の腕のタルタルは取れません。それなのに運動しなくともボディメイクが実現可能なあたかも“オールマイティなダイエット法”のごとく糖質制限ダイエットを喧伝するのは、ミスリード以外のなにものでもないでしょう。


目的地のない旅
ビジネス環境の変化に適合できず倒産していく企業の特徴の一つは、自分達の将来は過去の延長線上にあると錯覚して、どこに向けてどのようにして行くのかという明確な目標(経営ビジョン)を設定していないことです。

ダイエットも同じです。
目標が不明確のままでは失敗や遠回りをしてしまうことが多々あります。
あなたのターゲットは何ですか?
・健康促進?
・メタボ・糖尿病などの改善?
・ボディメイキングなど美容目的?
・運動パフォーマンスの向上?

健康/ダイエット及びフィットネスは相互関連するもので、所詮は切り離して考えられるものではありませんが、健康増進を主眼とした医療的な見地からのダイエット戦略を、スポーツパフォーマンスの向上/美容目的のボディメイクを志向する人たちにそのまま適用するには無理があります。ダイエットにone size fit allと云うようなオールマイティなやり方は存在しません。

会社を立ち上げて間もなく利益追求に軸足を置くべき局面で、社会貢献を重点的に推進しようとしても、或いは、大きな利益は出なくても、細々ながらも食べていければ十分だと考える個人商店に大型融資話はフィージブルではありません。
同様に、美容のための減量を主眼としている若い人に、医療的な健康促進に軸足を置いた老人向け戦術は噛み合わないでしょう。
加えて、資金力(健康/体力)も経験(体験知識)も無いのに、いきなり大型プロジェクト(大幅減量 & バルクアップ)を而も短期的に展開しようとしても無理なのは自明の理です。

糖尿病治療、メタボリックシンドロームの予防や健康促進、美容(スリム)、バルクアップ(lean)、運動パフォーマンスの向上など目的別に応じて、年齢、性別、体組成値、食品のアベイラビリティ、遺伝子、健康食品への知識、嗜好、文化、知的度、宗教、健康志向、収入、時間的制約、地域性、家庭の状況etc各人の個別性を考慮して取り組むことが肝要です。

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依らしむべし知らしむべからず
為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はないという意味です。企業組織に於いては、全体としての調和と統一性を保ちつつも、部分的には企業構成員の自己判断で動く必要がある。しかし、企業のおかれている状況、向かおうとしている目的地、そのために達成しなければならない課題などが企業の構成員に徹底されなければ、小規模な改善はあっても、大きな進歩・改善は望みにくく、悪くすれば部分最適に陥ってしまいます。そして、業績はやがて低迷し市場からの撤退を余儀なくされるでしょう。

このフレーズを読んで何かお気づきになりましたか?
「カロリー計算なんかしなくても糖質さえ食べなければダイエットは成功する」と煽情的に喧伝されているスーパー糖質制限、或いは「食べる順番や組み合わせダイエット」など、トータルカロリーを意識せずに知らず知らずのうちに少食にさせるシンプルなダイエットはそれなりに魅力的ですが、やがて壁に突き当たってしまいます。その理由はいろいろありますが、人体は意識するかどうかに拘わらず、経時的にカロリー摂取量の低減に併せて順応していきます。つまり、体重の減少に伴い1日必要なカロリーも下がっており、かつての制限カロリーは、今は維持カロリーになってしまっているのです。
加えて、数値に基づいたデータがないため、レビューして改善することが出来ずに挫折してしまうリスクが大きいということです。


Do(実行)
計画倒れという言葉があります。
あれこれ考えるばかりで、なかなか実行に踏み切らない。
そんな時は、思い切って先ずやってみて、やりながら考えてください。
時には「考える知性」だけでなく「感じる知性」も大事です。

点/線/面の展開
実行するにあたって長期的な戦略・戦術は不可欠です。
行き当たりばったりの「近視眼」でしか物事を見ることができないやり方では、“業績低迷(ダイエット失敗)”が待ち受けるのみです。

太るか痩せるはエネルギー収支バランスによります。
だからと言って、ダイエットは摂取カロリーが全てであるとし、その他の相関関係(動因/誘因)は一切関係ないと杓子定規に言い切るのも如何なものかと思います。
そもそも科学とは、否定の中で展開される有意確率論であって、動因/誘因をすべて無視しては科学の進歩はあり得ません。有意確率の高い動因/誘因は、基礎熱力学の保存則の大原則の下での戦略・戦術の一つとして考慮に入れておくべきでしょう。

例えば、食事の栄養構成について、もしあなたが優れたインスリン感受性を有し、同時にインスリン分泌が低い方ならば、伝統的なボディビル方式の “高タンパク質/高炭水化物/低脂肪ダイエット”が宜しいでしょう。 
インスリン感受性が優れておらず、且つインスリン分泌量が多いのであれば、低炭水化物/高脂肪の食事を選択すると良いでしょう。 
また、グリセミック指数/グリセミック負荷は、多くの文献(グリセミック負荷と2型糖尿病発症リスク: 前向きコホート研究のメタ解析)が示しているように、血糖値コントロールに正の効果があるのは事実なのですから、ダイエットプランの中で炭水化物の必要摂取量を算出した上で、「低GI値で食物繊維や栄養素を豊富に含んだ複合糖質の食品を優先的に摂る」「但し、例外として運動後の栄養摂取としては、高GI値の単純糖質食品を摂る」ことも意味のあることです。

その他にも必要な情報は多々ありますが、紙面が足りないので割愛します。
当ブログは記事数が多く総てを精読するのは大変だと思いますが、少なくとも “人気記事Best100” には目を通しておくことを強くお勧めします。


Check(レビュー)
ダイエット直後の一過性の水分減少過激な食事制限と運動によるストレスホルモンの活性化、減量に伴う代謝低減、減量の予想理論値と実測値の差異、体組成値、摂取カロリー計算の正確性などをチェックし、“1日に必要なカロリー”の見直しを少なくとも毎月行い、都度プログラムを更新していくことは不可欠です。因みに、正確な数値を得ることはできませんが、レビューを繰り返していく中で、より正確な数値に近づけることは可能です。故に、進捗表を作ったり、“第191回の女性の美しさ” で書いたように、姿見鏡の前でビジュアルチェックすることも大切です。

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情報収集
栄養学や応用生理学/生化学の分野に於ける研究は急速に進んでいます。
最新の情報を入手する努力が必要ですが、ネットを通じて容易に国内外の情報を検索できるものの、作成日が明記されていない古い役に立たない情報や、間違った情報が混載されているのが実情です。
健康関連ニュースにおける誇張報道/センセーショナリズム/過大警告の問題は、メディアやジャーナリストだけでなく、大学や組織から発表されたプレスリリースにも大きな責任があるとの指摘もあります。
こういった中から、最新の正しい情報を見極めて選択するのは大変なことですが、でもあなたがやらなければならない事です。やろうとすれば必ずできます。

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ドミノ理論
「AならばBが起こる、BならばCが起こる、CならばDが起こる。ゆえにAならばDが起こる」という次々と連鎖していく論法をドミノ理論と呼びます。経済学でよく利用されますが、各項目がどれだけの確率で起こり、どれほどの数値となって経済効果をもたらすかを見なければ、ドミノ理論は必ずしも正しいとは言えません。
ドミノ理論の代表的な例として、「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。この諺は、何か事が起きると巡り巡って思いがけない意外なところにも影響が出るという意味です。
この図式は、ダイエット&フィットネスの分野でも其処彼処で実に多く見受けられます。
あり得なくはない誘因(導因)を針小棒大に結びつけて、センセーショナルで手前勝手なダイエット理論を創り上げる所謂「こじつけ理論ダイエット」が巷に横溢しています。
遺憾ながら、栄養学、生理学、生化学、或いはスポーツ科学などに疎いダイエッターは、いとも簡単に騙されてしまっているのが実状です。

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パレートの法則(80対20の法則)
パレートの法則とは、成果や結果の80%は、その要素や原因の20%から生まれるという経験則のことで、経済以外にも自然現象や社会現象・営業戦略等様々な事例に使われます。
つまり、“商品の売り上げの8割は上位2割のベストセラーによって生み出される”、“会社の利益の8割は優秀な上位2割の社員が生み出す”と云うわけです。

発展的に面白おかしくお話しすると、働きアリの中でも「よく働くアリ」は2割で、実は「普通のアリ」が6割、「働かないアリ」が2割いるそうだ。
一流国公立大や有名私大卒がひしめく大手優良企業でもサボり社員が2割いる。この人たちを人事処分しても、働く振りをしていた社員が新たな「働かない社員」となり、長期的にはいわゆるサボり社員の割合2割は変わらない。

ヤフー知恵袋ダイエット&フィットネスのカテに当てはめると、
・優良回答者(金の情報): 20%
・ウソつき回答者(ゴミの情報): 20%
・どちらでもない回答者(石の情報): 60%

残念ながら金の情報はたったの2割にしか過ぎません。
“医者が言っているから”、“自称フィットネス専門家だから”、 “私は栄養士だから”といった回答が多数ありますが、必ずしも正しい情報とは言えないので要注意です。
各人の回答履歴を読み、場合によっては評判を検索して、優良回答者を識別することをお奨めします。


取りまとめますと、
ビジネスもダイエットも所詮は辛いもので、大きな努力をしなければ成功を手に入れることは出来ないものです。
アメリカのビジネス社会では「太った人は出世できない」という通説がありますが、このように自分の体組成さえマネジメント(管理)できない者に部下の管理は任せられないという発想です。
ダイエット&フィットネスの分野では、スポーツ医学・運動生理学が急速に発展しているので、いつまでも昔ながらの間違った都市伝説に惑わされず、科学的エビデンスに基づいた正しいダイエットの王道を進むことが重要です。

成功をお祈りします!