第914回 夜遅い食事は血中リン濃度を高める


夕食のタイミングがリン代謝に及ぼす影響を調べた結果、夜遅く食事をすると翌朝の血清リン濃度は基準レベル(2.5~4.5mg/dL)を超えて高リン血症をもたらすことが静岡大学の研究チームから報告されました。

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Nutrition Journal
8 October 2015
Nocturnal eating disturbs phosphorus excretion in young subjects: a randomized crossover trial

背景:
夜遅く食事をするケースが最近増えてきている。
血清リン濃度とリン代謝の調節には概日変動があり、故に、食事をするタイミングが血清リン濃度のコントロールに重要だと考えられる。しかし、夜遅い食事がリン代謝に及ぼす影響についての報告はない。

目的:
本研究の目的は、夜遅い食事がリン代謝に及ぼす影響を評価することである。

方法:
・無作為化クロスオーバー試験

・被験者
健康な男性14名
年齢 22.8 ± 1.8 歳
身長 170.0 ± 5.8 cm
Body weight 64.9 ± 8.7 kg
体脂肪率18.4 ± 3.6 %
BMI 2.5 ± 2.2

・食事
テスト前夜およびテスト当日の朝食(07:30)/昼食(12:30)/夕食(17:30 or 22:30)は同じ内容で、ご飯300g、ゆで卵55g、ハム35g、牛乳150g、米調味料2g(666kcal、タンパク質24.2g、脂質13.8g、炭水化物111.8g、リン400mg、カルシウム215mg、ナトリウム870mg)
テスト当日の食事時間は、朝食07:30、昼食12:30、夕食は17:30 or 22:30の2群に無作為に分けられた。

・血液および尿サンプルを採取し、翌朝までの日内変動を評価した。


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結果:
血清カルシウムレベルは両群ともに一日を通してほぼ一定のレベルに維持されたが、翌朝の空腹時血清リン濃度は早い夕食群よりも遅い夕食群が著しく高かった(p < 0.001)
尿中カルシウム排泄量の変動は夕食を摂るタイミングと同期したが、尿中リン排泄量の変動は同期しなかった。夜間での尿のリン排泄は遅い夕食群で抑制された。
遅い夕食群の副甲状腺ホルモン(全分子PTH)のレベルは低下しなかった。更に、PTHレベルは20:00から徐々に増加し02:00~04:00でピークに達することが報告されているが、20:00時点の早い夕食群に比べて遅い夕食群は有意に高かった(P = 0.004)
翌朝、遅い夕食群の空腹時血清線維芽細胞増殖因子(FGF)23のレベルは変わっていなかったが、早い夕食群は有意に高まっていた(p = 0.003)
遅い夕食群の夕食前の血清遊離脂肪酸レベルは、早い夕食群と比較して有意に高かった。


結論:
我々の調査結果は、夜遅く食事をするとリン排泄が阻害されることを示している。その潜在的な主要因はPTH、遊離脂肪酸、FGF23、成長ホルモンの4つと考えられる。本研究は、血清リンレベルを適正範囲内に管理するためには、遅い夕食は差控えるべきであることを示唆している。


マイコメント

アルゼンチンなどシエスタの国では夕食時間は非常に遅い。レストラン開店は一応20:00ですが客が入り始めるのは22:00頃で、そこから長い夕食が始まります。
シエスタの国では高リン血症の人たちが多いのでしょうか?

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