第916回 2型糖尿病 vs 死亡率


『一般の人たちと比較して、2型糖尿病患者の超過死亡リスクは全体では115%と低いが、年齢55歳未満でHbA1c 6.9%以下の糖尿病患者の全死因死亡リスクは192%と非常に高く、75歳以上の糖尿病患者では逆に0.05%減である』という研究結果が、スウェーデンGothenburg大学のDr. Mauro Tancrediらから報告された。

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The New England Journal of Medicine
October 29 2015
Excess Mortality among Persons with Type 2 Diabetes

背景:
2型糖尿病/様々なレベルの血糖コントロール/腎合併症の人たちに関し、“全死因死亡および心血管疾患死亡の超過リスク”は明らかになっていない。
当該レジストリベースの研究では、2型糖尿病の人たちを対象として、血糖コントロール及び腎合併症との関連でこれらリスクを評価した。

方法:
本研究では、1998年1月1日以降“Swedish National Diabetes Register”に登録された2型糖尿病患者を対象として追跡調査したデータを抽出した。
糖尿病患者1名に対し5名の対照群を一般集団から無作為に選出し、年齢/性別/居住地域に準じてマッチングを行い、2011年12月31日まで追跡して死因別死亡率を調査した。

結果:
平均追跡期間は糖尿病群では4.6年、対照群では4.8年だった。
全体として、435,369名の糖尿病患者の内77,117名(17.7%)が死亡し、対照群では2,117,483名の内306,097名(14.5%)が死亡した(補正ハザード比1.15:95%信頼区間 1.14~1.16)

心血管疾患に因る死亡率は、糖尿病患者で7.9%、対照群では6.1%であった(補正ハザード比1.14; 95%信頼区間 1.15~1.13)。

全死因死亡率と心血管疾患死亡率の超過リスクは、若年層/血糖コントロール不良/腎合併症の重症度レベルが高い人達で高まった。
対照群に比較して、糖化ヘモグロビン(HbA1c)6.9%以下の55歳未満の若い糖尿病患者の全死因死亡のハザード比は1.92(95%信頼区間1.75~2.11)であった。
因みに、75歳以上の糖尿病患者ではハザード比は0.95(95%信頼区間0.94~0.96)であった。

更に、HbA1c6.9%以下で、且つ、正常アルブミン尿の糖尿病患者を解析した処、対照群と比較して、若い糖尿病患者の全死因死亡のハザード比は1.60(95%信頼区間1.40~1.82)で、75歳以上の患者は0.76(95%信頼区間 0.75~0.78)であった。因みに、65~74歳の患者のハザード比も有意に低かった(ハザード比0.87;95%信頼区間 0.84~0.91)

結論:
一般集団に比べて2型糖尿病の人たちの死亡率は、年齢/血糖コントロール/腎合併症によって、大規模な患者群における実質的な超過リスクから、低死亡リスクへと大きく変わった。


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ついでに紹介しておきます。
2型糖尿病の女性の喫煙率と死亡率を調べた前向きコホート研究(追跡期間20年)です。
高血圧や高コレステロールの既往歴、及びその他の心血管疾患リスク因子を調整すると、死亡率の相対リスクは、過去喫煙経験者で131%、現在喫煙者では143%、更に、10年以上の禁煙者は全く吸わない女性と比べて111%だったという内容です。