第918回 ホエイサプリメントを余分にとっても筋肉減少の抑止に効果なし


老若男女を問わずプロテインサプリを飲みさえすれば筋肉が増えると誤解している人たちが大勢いますが、『筋量アップや身体機能の改善にタンパク質は重要ですが、通常の食事ですでに足りている人が余分にホエイプロテインを摂っても無意味である』というオーストラリアWestern Australia大学からの研究報告です。

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Journal of Nutrition
2015 Sept23
Two-Year Whey Protein Supplementation Did Not Enhance Muscle Mass and Physical Function in Well-Nourished Healthy Older Postmenopausal Women.

論文タイトル:
ホエイサプリメントを2年間摂取したが、栄養が十分足りている健康な高齢女性では、
筋量および身体機能は向上しなかった!

背景:
タンパク質には加齢に伴う筋肉減少を防止する役割があると考えられている。しかし、タンパク質の摂取が筋肉の健康に及ぼす影響について、地域在住の高齢女性を対象とした長期的なランダム化比較試験は行われていない。

目的:
本研究では、オーストラリア地域在住の高齢女性の筋肉量と身体機能にホエイサプリメントが及ぼす効果を評価することを目的とした。

方法:
追跡期間2年、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
70~80歳(平均74.3 ± 2.7歳)の女性を被験者として無作為に2群に別け、ホエイプロテイン30g入りの高タンパク飲料(介入群109名)もしくはプロテイン2.1g入りのプラセボ飲料(対照群110名)を割り当てた。
二重エネルギーX線吸収体肢骨格筋量、上腕とふくらはぎ(38%脛骨)筋断面積、手の握力/下肢筋力/アップアンドゴー(TUG)テストなどの身体機能、並びに24時間尿窒素を、ベースライン、1年後、及び2年後に測定した。

結果:
つつがなく測定を全うしたのはトータル196名であった。
ベースラインの平均BMIは26.7 ± 3.9、タンパク質の摂取量は76 ± 17g/1日だった。
介入群でのタンパク質摂取量の平均増加~20g/1日は、24時間尿窒素の推定値で確認した。
2年の追跡期間で両群共に上腕(平均 ± SE: -5.59 ± 0.75 cm2)とふくらはぎ(-0.77 ± 0.11 cm2)の筋肉エリアだけでなく、手の握力(-1.30 ± 0.3 kg)で有意に減少したが(P < 0.05)、四肢骨格筋量の有意な変化は認められなかった。
1年及び2年の測定でいずれの筋群量と身体機能にプロテインサプリの有意な効果は無かった(P > 0.05)

結論:
この研究は、タンパク質が足りている健康な高齢女性では、タンパク質を余分に30g / 1日摂取しても、筋量の維持や身体機能は改善せず、上肢筋群での悪化が認められた。
この試験はACTRN012607000163404としてオーストラリアニュージーランド臨床試験登録に登録されました。

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