第926回 お水をたくさん飲んでダイエット??


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Authority Nutrition
October, 2015
How Drinking More Water Can Help You Lose Weight

飲料水はダイエットに役立つと久しく考えられています。
実際に減量に取り組む米国成人の30~59%が飲水量を増やしています。(12
水をたくさん飲むことが減量や体重維持に有益である可能性は、数多くの研究で示されています。(3

それでは飲料水がいかに減量に役立つかについて説明します。


飲水は消費カロリーを高める

下記に掲げた研究の大半は、飲料水0.5リットル(17 oz)の効果を調べたものです。

飲料水は安静時代謝量を高めます。(4

標準体重の成人では飲水後10分以内に安静時エネルギー消費が24~30%高まることが示されています。これは少なくとも1時間続いています。(56

過体重/肥満の子供を対象とした研究でも、冷水を飲んだ後に安静時代謝量が25%高まったことが明らかにされています。(7

過体重の女性を対象とした研究では、飲水量を1日当たり1リットル(34 oz)以上に増やしてその効果を調べた処、12ヶ月で2kgの減量効果があることが分かりました。(8)

彼女たちは水をたくさん飲むこと以外に何らライフスタイルを変えておらず、その意味でこの研究結果は非常に印象的です

加えて、これらの研究のいずれも水を0.5リットル(17オンス)飲むことでカロリー消費が23kcal追加的に高まったことを示しています。年間ベースでは17,000kcalになり体脂肪2kg以上に相当します。

他のいくつかの研究では、毎日1〜1.5リットル(34〜50オンス)の水を数週間飲んだ過体重の人たちをモニターした結果、体重/BMI/ウエスト周/体脂肪の有意な減少が見られました。(8910

これらの研究結果は冷たい水を飲んだ時には更に印象的な結果となるでしょう。
冷たい水を飲むと体温まで水を温めようとして、体は消費エネルギーを追加的に使うことになります。

要点:
水を0.5リットル(17オンス)飲むと、少なくとも1時間は消費カロリーを高めることが可能です。いくつかの研究は、これが緩やかな体重減少をもたらし得ることを示しています。


食事前に水を飲むと食欲を減じることが出来る

食前に水を飲むと食欲が減少すると一部の人たちは主張しています。

これには一面の真理があるようですが、殆ど中年と高齢者に限られています。(11

高齢者の研究では、各食事の前に水を飲むことで、減量が12週間で2kg促進することが示されています。(4, 11)

ある研究では、各食事の前に水を飲んだ過体重や肥満の中年被験者は、飲まない対照群に比べて減量幅が44%大きかったそうです。

また別の研究では、朝食前に水を飲むことで食事中の摂取カロリーが13%減少したことが示されています。

これは、中年や高齢者のために非常に有益かもしれませんが、若年者の研究では斯様に印象的なカロリー摂取量の減少は示されていません。

ボトムライン:
中年や高齢者では食前に水を飲むことで食欲を減らすことが可能でしょう。これはカロリー摂取量を減少させ、延いては体重減少につながります。


水をたくさん飲むことは摂取カロリーの低減/体重増加リスクの減少と関連します。

水は本来ノーカロリーなのでカロリー摂取量の低減に結びつきます。

その主な理由は、高カロリーでsugars(遊離糖)入りの飲料の代りに水を飲むからです。(13, 14, 15)

主として水を飲む人たちは平均してカロリー摂取量が9%(or 200kcal)低いことが観察研究で示されています。(16, 17)

水を飲むことは長期的な体重増加の予防にもなります。一般的に言って平均的な人で4年毎に約1.45kgの体重増加が見られます。(18)

このような体重の増加は次の2点によって減じることが出来るでしょう。

飲水量をコップ1杯増やす
飲水を毎日コップ1杯増やすことで、体重増を0.13kg減じることが出来ます。

他の飲料を水に置き換える

sugar入り飲料をコップ1杯の水に置き換えることで、4年間の体重増加を0.5kg減じることが出来ます。

過体重や肥満の予防のために子供達に飲水を奨励することは特に重要です。(17, 3)


子供たちに飲水を奨励して肥満率を低減させることを目的とした最近のスクールベースの研究では、噴水式水飲み器を17校に設置し、2~3年生に飲水についてのクラスルームレッスンを行った。

1年後には、飲水量が増えた学校では肥満リスクは何と31%減少しました。(19

ボトムライン:
特に子供達では、水をたくさん飲むことによって、カロリー摂取量を減らし長期的な体重増加や肥満のリスクを低減させることが可能でしょう。


水はどれくらい飲むべきでしょうか?


多くの保健当局は、1日あたりグラス8杯(約2リットル)の水を飲むことを奨めています。

しかし、この数値は完全にランダムです。他の多くのものについても同じですが、水の必要量は専ら個人によって異なります。(20)

例えば、大汗をかく人や定期的に運動する人たちは、非アクティブの人に比べて多くの水を必要とする場合があります。

高齢者や授乳の母親も飲水量を念入りにモニターする必要があります。(21)

私たちはコーヒー/紅茶/肉/魚/牛乳/果物/野菜など多くの飲食物から水を摂取していることを忘れないでください。

確たる経験則として言えることは、水はのどが渇いた時に飲むべきであって、而も、渇きを癒すためにたっぷりと飲んでください。

頭痛、不機嫌、空腹感、或いは集中力が欠ける場合は軽度の脱水症状と考えられます。水をたくさん飲むと、このような問題を解決する一助となるでしょう。(22, 23, 24)

研究に基づいて言うと、一日あたりの飲水量は減量のための一助としては1〜2リットルくらいで十分でしょう。

お水の推奨量は次の通り色々な言い表し方をされています:
・1~2リットル
・34~67オンス.
・8オンス(約237ml)グラスで4~8杯.

しかし、こちらの数値はあくまでもどのくらい飲んだらよいかという一般的なガイドラインであり、必要量には個人差があります。

また、水中毒を起こす恐れがあるので飲み過ぎないように注意してください。極端なケースとしては水飲みコンテスト中に死に至る事故が起こりました。

ボトムライン:
研究によると、特に食前に一日あたり水1〜2リットル飲むと体重減少に役立てるには十分です。


Take Home Message(覚えておいて欲しい重要なこと)


お水は本当に減量に役立ちます。

水はカロリーゼロで、カロリー消費を高めるだけでなく、特に食前に飲むと食欲を抑制できます。

この利点はsugar入り飲料を水に置き換えるともっと大きい。Sugarとカロリーを削減するための非常に簡単な方法です。

しかし、もし有意な減量を期待するならば、水を飲むだけでなくもっとやるべきことが他に沢山あることを忘れないでください。水はいわばパズルの非常に小さいワンピースにしか過ぎません。


マイコメント
あれ?お水をたくさん飲むことに“Authority Nutrition”は随分と肯定的だなと怪訝に思いながら読み進みましたが、 最後のTake Home Message部分で “keep in mind that you’re going to have to do a lot more than just drink water if you need to lose a significant amount of weight. Water is just one, very small piece of the puzzle・・・もし有意な減量を期待するならば、水を飲むだけでなくもっとやるべきことが他に沢山あることを忘れないでください。水はいわばパズルの非常に小さいワンピースにしか過ぎません” と云う文章で締め括られているので合点しました。

因みに、気になった点を幾つか具体的に挙げてみましょう。

この記事は、 “飲水はダイエットに役立つと考えられており、実際に減量に取り組む米国成人の30~59%が飲水量を増やしている(引用論文1,2)”という文章から始まっており、いささかプライミング効果を狙った感が否めない。
これらいずれの文献も、減量および減量後の体重維持への取組み方法について書かれたものですが、abstractには飲水は一切触れられていません。
引用論文1は、2001年から2002年に実施された国民健康栄養調査(NHANES)のデータを使って、20歳以上の成人5,027名を対象に解析していますが、その結果として分かったことは、過去12ヶ月の間に米国成人の51%が体重のコントロールを試みている。その内訳としては、減量を試みた男性が34%女性は48%で、現状維持を試みた男性が11%女性は10%となっている。体重をコントロールしようとした2,051名の成人が実践したトップ4は、『摂取量を減らす(減量を試みた人たちの65% vs 維持を試みた人たちの52%)』、『運動する(61% vs 46%)』、『脂質摂取量を減らす(46% vs 42%)』、『低カロリー食品へ置き替える(37% vs 36%)』であり、米国保健社会福祉省と米国農務省による2005栄養ガイドラインが推奨する“食事制限+週300分以上の身体活動”を実践したのは四分の一にも達していなかったそうです。
Full sentenceを読んではいませんが、少なくとも「飲水」が主要評価項目でないことは容易にうかがい知れることですし、飲水に関する確たるエビデンスとして位置付けるのは妥当ではないでしょう。研究で実証できるエンドポイントは一次エンドポイントだけであり、二次エンドポイントは仮説を実証するものではなく示唆するオマケにすぎません。
引用論文2は、ウェイトコントロールの実践方法が「減量」と「減量後の維持」とでは異なるのかどうかを検証したもので、飲水は主要評価項目ではありません。

引用論文5(2003年12月付け)は標準体重の14名を被験者として500mlの水がエネルギー消費と栄養素の酸化率に及ぼす影響を調べたもので、その結果は『水500ml飲むと代謝率が30%増加した。増加は10分以内に起こり、30~40分後にピークに達した。トータル熱産生反応は約100kj(=23.9006kcal)であった。熱産生作用の≒40%は水温を22℃から37℃に上げることによるものであった。そのエネルギー源として使われたのは、男性では主に脂肪で、女性では炭水化物であった。水によるエネルギー消費の増加はβアドレナリン受容体を遮断すると減少した。一日当たり水を2リットルの水を飲むと、エネルギー消費は約400 kJ(=95.6024kcal)増えることになる』と報告されている。
引用論文6(2007年8月付け)では過体重/肥満の男女16名を被験者として、水500ml、等張生理食塩水500ml及び水50mlの影響を比較していますが、その結果は『水500mlのみが飲水後60分かけてエネルギー消費量を25%高めたが、等張生理食塩水500ml及び水50mlは何らの影響も認められなかった』と報告されています。

更に、『水をたくさん飲むことが減量や体重維持に有益の可能性は、数多くの研究で示されている(引用論文3)』と書かれていますが、この論文は2013年6月26日にAm J Clin Nutrに掲載された最新のsystematic reviewであり、上記で説明した引用論文1/2/5/6、飲水による長期的な減量効果に関する引用論文8、及びその他たくさんの論文を参考文献として挙げた上で、結論としては、“The evidence for this association is still low, mostly because of the lack of good-quality studies・・・つまり、飲水と減量の関連を示すエビデンスは良質の研究が欠如しており信頼性が低い”と締めくくっています。

因みに、高カロリーの加糖飲料をお水に置き換えることについては、米国ハーバード公衆衛生大学院も “食事のバランス” で推奨していますが、これについては異論ありません。

一つ一つ詳述すると紙面が足らなくなるので、このあたりで手仕舞いとします。

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