第930回 低カロリー甘味料はダイエットに有用?


米国パデュー大学のSusie Swithers教授から「ノーカロリー清涼飲料水は意外にも代謝障害を誘発すること」「ダイエットソーダは肥満→糖尿病→心臓病へと健康上の問題に関連する」との研究報告があり、これに対して米国飲料協会から反論の声が上がっていたことは御貴承の通りです・・・第506回 ノーカロリー清涼飲料水 vs 肥満

亦、ダイエット飲料と2型糖尿病のリスク増加との強い相関関係が2012年に米国臨床栄養学会誌で発表されています。摂取量が同じであれば糖尿病にかかるリスクは果糖飲料より人工甘味料入り飲料の方が高いとしています。2014年3月には、米国アイオワ大学病院が50〜79歳の女性5万9614人を対象として、ダイエット飲料と心臓病の関係を探るものとしては過去最大規模の研究を実施し、上記の研究報告を支持する結論を出しています・・・第640回 ダイエット飲料が寿命縮めるかも!

2015年3月の米国Texas 大学の研究報告では、749名をトータル9.4年間フォローアップした結果、ダイエットソーダを飲まない人で約2.03cm、時々飲む人で約4.65cm、毎日飲む人では何と約8.03cmもウエストサイズが増えたそうです・・・第846回 ダイエットソーダでウエストサイズが増えちゃった!

今般、このような状況の中で英国University of Bristol大学/ Birmingham大学/Sussex大学,スウェーデンUppsala大学、オランダWageningen大学ら研究チームから、「システマティックレビューを行った結果、糖類の代りに低エネルギー甘味料を用いると、子供であろうと成人であろうと、エネルギー摂取量や体重の減少につながる」旨の研究報告が発表されました。


画像


International Journal of Obesity
Nov10 2015
Does low-energy sweetener consumption affect energy intake and body weight? A systematic review, including meta-analyses, of the evidence from human and animal studies

エネルギー密度を小さくすることにより、低エネルギー甘味料はエネルギー摂取量と体重を減じる可能性が期待できそうだ。糖類や無糖代替品と比べて、低エネルギー甘味料はエネルギー摂取量と体重に影響を及ぼさないという帰無仮説を検定するエビデンスの一体性を評価するために、動物モデルとヒトを対象とした“自由食+低エネルギー甘味料”の摂取に関する研究群の系統的レビューを実施した。

動物をモデルとした研究90件の内62件は、低エネルギー甘味料による体重への影響、或いは体重の減少と云ったものは示していなかった。

体重の増加を報告している28件の研究の内19件は、特定の学習パラダイムを用いて低エネルギー甘味料とグルコースを比較したものだった。

ヒトを対象とした12件の前向きコホート研究では、低エネルギー甘味料の摂取とBMIとの間に一貫した関連性がないことが報告されていた(−0.002 kg m−2/年;95%信頼区間 −0.009~0.005)

短期の無作為化対照試験(129件)のメタ解析では、自由食(−94 kcal, 95% CI −122 to −66)の食事前に低エネルギー甘味料を摂取すると、加糖食品や果糖飲料に比べて総エネルギー摂取量が減少したことを示していた。しかし、水(−2 kcal, 95%信頼区間 −30~26)と比べると差異は認められなかった。これは持続的な無作為化対照試験(10件)の結果とも一致していた。

介入期間4週間~40ヶ月に亘る無作為化対照試験のメタ解析では、糖類と比較して低エネルギー甘味料を摂取すると体重減少につながったが(比較9件; −1.35 kg, 95% CI –2.28~ −0.42)、水との比較では同様の体重減少が見られた(比較3件; −1.24 kg, 95% CI –2.22~ −0.26)

動物研究の殆どはヒトによる低エネルギー甘味料の摂取とは類似しておらず、逆の因果性が前向きコホート研究の結果に影響している可能性がある。

ヒトを対象とした総ての無作為化対照試験によるPreponderance of evidence(証拠の優越)は、カロリーのあるもの又は水のようなノンカロリーのものいずれと比較しようが、低エネルギー甘味料がエネルギー摂取量や体重の増加につながらないことを示している。

全体的に、balance of evidence(証拠のバランス)が、糖類の代りに低エネルギー甘味料を用いると、子供であろうと成人であろうと、エネルギー摂取量や体重の減少をもたらすことを示している。水と比べてもおそらく同じであろう。

関連記事
第393回 人工甘味料アスパルテームの真実