第940回 2015-2020食事ガイドライン


飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、Added Sugar(加糖)、塩分は制限あり!
Red Meat(赤肉)および加工肉は特にお咎めなし!



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“Dietary Guidelines for Americans” は1980年以降5年毎に、最新の科学的エビデンスに基づき更新されていますが、今般 “2015-2020 Dietary Guidelines(改訂版)”が米国保健福祉省(HHS)/米国農務省(USDA)から1月7日付で発表されました。
健康を促進し、且つ、慢性病を予防するためのヘルシーな食事パターンが焦点となっています。

主要な勧告
適切なカロリーレベルの範囲内で、総ての食品と飲料で構成されるヘルシーな食事パターンにしてください。

(註)適切なカロリーレベルは、Appendix 2/able A2-1を参照してください。
取りまとめますと、推定量の範囲は成人の女性で1,600~2,400kcal、男性では2,000~3,000kcalとなっています。ロウエンドの数値はsedentary(座りがち)、ハイエンドはactive(活発)な人たちです。若年小児は1,000~2,000kcal、年長児および思春期では1,400~3,200kcalと幅が広くなっています。


ヘルシーな食事とは:

野菜
5つの野菜サブグループ:濃緑色、赤/オレンジ色、豆類(豆、エンドウ豆)、でんぷん質、及びその他
野菜の推奨量は fruits推奨量はHealthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie level で、1日当たり2½カップ相当
加えて、1週間当たりの量は全ての野菜サブグループから万遍なく摂り、且つ、必要栄養素を満たすようにしてください。

フルーツ
特にwhole fruits(総てのフレッシュ、冷凍、缶詰、及びドライフルーツ)
フルーツジュースは除きますが100%フルーツジュースは含む。
whole fruits推奨量はHealthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie level で、1日当たり2カップ相当
100%フルーツジュース1カップ相当=whole fruits1カップ相当

穀物
全粒穀物
精製された穀物やそれでつくられた食品(特に、飽和脂肪酸/added sugars/塩分が多量に含まれたクッキーやケーキなど)は制限してください。
穀物グループには、単一食品(例えば、米/オートミール/ポップコーン)やこれらの粒子を成分とする食品(例えば、パン、シリアル、クラッカー、パスタ)が含まれています。
穀物の推奨量はHealthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie level で、1日当たり6オンス相当です…このうち少なくとも半分は全粒穀物にしてください。

乳製品
無脂肪または低脂肪(1%)の牛乳、ヨーグルト、チーズ、又は豆乳
推奨量はHealthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie level で、1日当たり2カップ相当(2~3歳児)、2½カップ相当(4~8歳児)、3カップ相当(9~18歳および成人)

タンパク質
魚介類、脂身の少ないリーンな赤肉や家禽肉、卵、豆類(豆、エンドウ豆)、ナッツ、種子、および大豆製品など様々な蛋白食品
推奨量はHealthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie levelで5½相当

Oil
Oilとは一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の含有率が高く室温で液状の脂質ものです。
健康的な摂取量:油は一価不飽和および多価不飽和脂肪の高い割合を含有し、室温で液状の脂肪です。2,000カロリーのレベルで健康的な米国型の食生活における油の勧告は、1日あたり27グラム(約5杯)です。

(註)推奨量の詳細については、”Appendix 3/Table A3-1” “Appendix 4/Table A4-1” “Appendix 5/Table A5-1” に詳しく記載されているので参照してください。


飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、Added Sugars(加糖)、及びナトリウムの摂取量を制限することを勧告します。

カロリー制限はAdded Sugarsや飽和脂肪酸を減らすことで行ってください。ナトリウムはカロリーとは関係なく減らしてください。これら成分が多く含まれている食品や飲料の摂取を推奨量の範囲まで減らしてください。

具体的に数値で示すと、
・Added Sugarsの摂取量は1日の総エネルギー量の10%未満に抑えること。
・飽和脂肪酸も同じく1日の総エネルギー量の10%未満に制限すること。
・ナトリウムは1日当たり2,300mg未満にすること。
・飲酒は適量、つまり女性は1日1杯まで、男性は1日2杯までにしてください。

Added sugarsとは、食品に甘味料として使われるシロップやその他カロリー甘味料で、例えば、ブラウンシュガー、トウモロコシ甘味料、コーンシロップ、デキストロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、ハチミツ、転化糖、乳糖、麦芽シロップ、マルトース、糖蜜、原料糖ショ糖、トレハロース、および中白糖と云ったものがそうです。


よりヘルシーな食品や飲料にシフトしてください。健康度の低い食品の代りに、全食品グループの中から栄養価の高い食品を選択してください。シフトの達成と維持をより容易にするため文化や個人の好みを考慮してください。


適切なカロリーレベルは、Appendix 2/able A2-1を参照してください。
取りまとめますと、推定量の範囲は成人の女性で1,600~2,400kcal、男性では2,000~2,000kcalとなっています。ロウエンドの数値はsedentary(座りがち)、ハイエンドはactive(活発)な人たちです。若年小児は1,000~2,000kcal、年長児および思春期では1,400~3,200kcalと幅が広くなっています。


Meatsと Poultry(家禽肉)について

meatとはred meat(赤肉)のことで、あらゆる形態での牛肉、豚肉、羊肉、子牛、ヤギ、および非猟鳥(例えば、鹿肉、バイソン、エルク)を含みます。
家禽肉は総ての形態での鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ギニー、および狩猟鳥(例えば、ウズラ、キジ)を指します。
赤肉と家禽肉は脂肪含有量が一様ではなく、フレッシュなものと加工肉に分けられます。Lean meat/lean poultryとは、脂肪10g未満、飽和脂肪酸4.5g未満、コレステロール100g又は表示1人分の95mg未満(例えば、95%leanひき肉、ポークテンダーロイン、皮なし鶏肉、七面鳥の胸肉)のことです。
加工された赤肉/家禽肉(例えば、ソーセージ、ランチョンミート、ベーコン、ビーフジャーキー)とは、燻製、塩漬け、或いは化学防腐剤が添加された保存製品のことです。

観察研究やランダム化比較試験によるstrong evidence(大半が前向きコホート研究だが)が、成人では赤肉や加工された赤肉/家禽肉の摂取量を少なくした食事パターがCVDリスクの低減と関連することを示しています。
Moderate evidenceは、こういった食事パターンが、成人の肥満/2型糖尿病/幾つかの癌に対するリスク低減と相関することを示しています。
前述したように、食事パターンは複数でかつ相互作用する食品成分で構成されており、健康との関連は全体的な食事パターンに対してであって必ずしも単離的なものではありません。
幾つかのエビデンスはヘルシーな食事パターンでリーンな赤肉とリーンな家禽肉を識別していますが、多くの食事パターンに関する研究は、全ての赤肉/家禽肉を脂肪含有量や加工品の区別なく一緒にグループ化しています。
個別分析では、“Healthy U.S.-Style and Mediterranean-Style Eating Patterns”のようなヘルシーな食事パターンで推奨量を摂取する時には、リーンな赤肉/家禽肉は減塩や飽和脂肪酸や果糖のカロリーや総カロリーを適正範囲内に抑えると重要な栄養素として貢献することが示されています。
Appendixに記載されている”Healthy U.S.-Style Eating Pattern at the 2,000-calorie” の赤肉、鶏肉、及び卵のサブグループへの推奨は1週間当たり26オンス(737g)相当で、2010年の食事ガイドラインと同じです。
第2章で述べたように、10代の少年と成人男性の赤肉、鶏肉、卵の平均摂取量はHealthy U.S.-Style Eating Patternの推奨量を超えています。
動物性製品を食べる人にとっては、肉、鶏肉、卵のタンパク質食品のサブグループへの推奨量は、様々のリーンな赤肉、リーンな家禽肉、および卵を食べることで満たされます。
これら食事パターン内での選択肢として、ナトリウムの摂取量を制限し、飽和脂肪酸/加糖のカロリー並びに総カロリーを適正カロリー内に抑える限り、加工獣禽肉を含めても構いません。

マイコメント

米国では酪農業界から年間3億ドルのお金が、宣伝費/支援金/基金/献金など様々の名目で、栄養士、大学教授、研究者、政治家、スポーツ選手、芸能人など個人や団体に支払われていると言われています。

Harvard T.H. Chan School of Public Healthは “Healthy Eating Plate vs. USDA’s My Plate” で、米国農務省(USDA)が作成した前回の食事ガイドラインに関し、赤肉/加工品が有害であることに触れていないことを指摘し、食品業界のロビイストによる政治的/商業的なプレッシャーが絡み、純粋に科学的エビデンスに基づいたものではないことを示唆しています。

「疑わしきは罰せず」は法曹界および統計学に共通した考え方です。
統計学では、第1種の過誤(真実を見落としてしまうこと)と第2種の過誤(誤りを見過ごしてしまうこと)という言葉があり、刑事事件では第2種の過誤(=冤罪)が起こってはいけないという考え方です。因みに、医療界では第1種の過誤(=病気の見落とし)があってはいけないとことから、「疑わしきは再検査」という考え方に立っています。
今回の赤肉/加工品については「疑わしきは罰せず」のスタンスに立っての決定となっていますが、食品に対してこの考え方を貫くことについて、社会正義の観点から疑問であるという指摘も少なくありません
だからといって、痴漢やセクシャルハラスメントのケースでは「疑わしきは罰する」もどきの判決が散見され、その結果として無実の被告人が社会的にも大きな負担を蒙っていることが報じられているように、食品でも深い配慮も無く「疑わしきは罰する」が安易に適用されると、善意の生産者側が業績不振や倒産と云った憂き目に晒されるリスクが高くなることは明白です。非常に難しい問題です。だからこそ悪しきにつけ良きにつけ政治的/社会的な介入や判断の余地が生まれるのかも知れません。さわさりなん、科学的エビデンスの探求はそんなしがらみに捉われずに単離して進めることが基本中の基本でしょう。

ご参考までに赤肉/加工品に関する当ブログ関連記事を付記しておきます:

第423回 加工肉は死亡リスクを高める

第477回 赤肉は糖尿病リスクを増大させる
第488回 カルニチンは動脈硬化を促進させる
第518回 肉摂取 vs 死亡率
第604回 赤肉が炎症と糖代謝に及ぼす影響
第656回 赤肉の鉄分 vs 心血管疾患リスク
第692回 赤肉 vs 心不全リスク
第756回 加工肉を食べると死亡リスクが増大する
第779回 赤肉はなぜ心血管疾患リスクを高めるのか?
第869回 赤肉と乳製品がインスリン感受性に及ぼす影響
第874回 さようなら低脂肪ダイエット!?
第885回 赤肉は本当に糖尿病リスクの元凶ですか?

その他関連記事
・米国心臓協会
Eat More Chicken, Fish and Beans

・Mayo Clinic
How meat and poultry fit in your healthy diet