第943回 脂肪減少と筋量アップは同時に可能か?


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カナダMcMaster大学のPhillips et al.は、体重1kg当り2.4gの高タンパク食と1.2gの低タンパク食の2種類の食事をエネルギー欠損40%で用意し、レジスタンストレーニングとHIITなど激しい運動を組み合わせて行わせ、脂肪減少と筋量維持(& 筋量アップ)が同時に可能であることを示しました。下表の通り、体重は両群にほとんど差はなく、LBMは高タンパク食群で増え、体脂肪は高タンパク食群で大きく減少しています。研究チームは、脂肪が予想を上回って減少したことに驚いているとコメントしています。また、今回は過体重の若い男性のみを被験者としていますが、女性でも可能だろうとの見方をしています。

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(註)出典:Sweat Science
BMは体重(body mass)、LBMは除脂肪体重(lean body mass)、FMは体脂肪量(fat mass)のことです。


American Journal of Clinical Nutrition
First published Jan27 2016
Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss: a randomized trial

背景:
負のエネルギー収支の状態で、食事性タンパク質の摂取量を栄養所要量(RDA:recommended dietary allowances)より高めると、運動と組み合わせる場合とりわけLBM(除脂肪体重)の維持に有用である。

目的:
著しいエネルギー欠損時に、高強度トレーニングに加えて食事性タンパク質の多い食事をすると体組成の変化に影響を及ぼすかどうか実証実験を行った。

デザイン:
単一盲検、無作為化、並行群間前向き試験
期間は4週間
低エネルギー食(必要量の40%減)で高タンパク食(体重1kg当り2.4g:PRO群)又は低タンパク食(体重1kg当り1.2g:CON群)の2種類の食事を用意し、過体重の若い男性40名(BMI > 25; 23 ± 2歳; 184 ± 8cm; 97.4 ± 16kg;レクレーショナリーにアクティブだが定期的なレジスタンストレーニング経験は無い)をいずれかに無作為に4週間割り付けた。
全員にレジスタンストレーニング+HIITを6週間やってもらった。全員にレジスタンストレーニング+HIITを6週間やってもらった。
体組成の評価は人体を4つのコンパートメントに分ける方式で介入前と介入後に行った。

(註)運動は週に6日で、2日間はレジスタンストレーニング、2日間はバイクでHIIT、1日はバイクでタイムトライアル、1日は自重プライオメトリックトレーニング


結果:
LBMはCON群(0.1±1.0kg)に比べてPRO群(1.2±1.0kg)で増加した。(P <0.05)
脂肪の減少もCON群(-3.5±1.4kg)に比べてPRO群(-4.8±1.6kg)の方がおおきかった。(P <0.05)
運動パフォーマンスは両群共に同様に改善した。
介入中の血漿コルチゾールの変化は体脂肪(r = 0.39, P = 0.01)とLBM (r = −0.34, P = 0.03)の変化と相関した。

結論:
本研究では、エネルギー収支バランスが著しく負の状態で、特に高ボリュームのレジスタンス/無酸素運動を行う場合には、タンパク質2.4g/体重1kgの高タンパク質の食事は1.2gの低タンパク質の食事に比べて、LBMの増加と体脂肪量の減少の点でより効果的であることが示された。
血漿コルチゾール濃度の変化は体脂肪量とLBMと正相関したが、大きな群間差は認められなかった。

参照記事
・Sweat Science
“Gain Muscle, Lose Fat” by Mr Alex Hutchinson
・Science Daily dated 2016 Jan27
“Losing fat while gaining muscle: Scientists close in on 'holy grail' of diet and exercise”

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